>   >  「SIGGRAPH 2017」が米ロサンゼルスで開催。VRからファインアートまで、より幅広い層をターゲットにすえる。
「SIGGRAPH 2017」が米ロサンゼルスで開催。VRからファインアートまで、より幅広い層をターゲットにすえる。

「SIGGRAPH 2017」が米ロサンゼルスで開催。VRからファインアートまで、より幅広い層をターゲットにすえる。

<3>独Filmakdemie学生作品がCAF最優秀賞を獲得

「Computer Animation Festival(CAF)」は、昨年の路線を継承するかたちだったと思う。CAFのメインプログラム「Electronic Theater(ET)」では、今年も昨年と同じく25作品を厳選し、各賞もデフォルトの3種類(最優秀賞、審査員賞、優秀学生プロジェクト)であった。ただ、例年は日中に上映されていたET選外から選ばれたデイリーが今年は行われなかった。その代わりにVR Theaterが新設されたと解釈できるが、VR Theaterで一度に体験できるのは20名ほどなので、CAF目当ての参加者は物足りなかったかもしれない。

SIGGRAPH 2017 Computer Animation Festival Trailer

そんなCAFで印象的だったのが、フィルムアカデミー・バーデン=ヴュルテンベルク/Filmakademie Baden-Wuerttembergの学生チームの作品が最優秀賞を獲得したことである。同校は、ドイツを代表する名門であり、ETの常連なのだが、改めて欧米の映像美術学校の教育水準の高さを実感した。
そう感じた背景には、日本勢が1作品も入選できなかったことがあるのかもしれない。もちろん、『FINAL FANTASY XV - Omen』トレイラーがETに選ばれたが、本作のアニメーション制作はハンガリーのDigic Picturesである。

今年の最優秀賞(Best In Show)に輝いた、『Song Of A Toad』のメイキング動画。キャラクターアニメーションやカメラワークのベースをあえてアナログのパペットアニメーション技法を用いて、それをデジタルで再現するというユニークなアプローチが採られた。Making Of - Song Of A Toad from Kariem Saleh on Vimeo.

審査員賞(Jury's Choice)に輝いた、John Lewis Christmas Advert 2016『Buster The Boxer』キャンペーン映像。MPCによる、躍動感あふれる動物たちのCG・VFXが実に見事だ

最優秀学生プロジェクト(Best Student Project)に輝いた、『Garden Party』Trailer。仏MOPAの学生チームによるブラックユーモアの効いた作品である

8月1日(火)から4日(木)までの3日間にわたり開催されたExhibition(企業展示)では、53の企業が初参加。そのうち、日本からの初参加は日本カーバイド工業、東京エレクトロン デバイス、そしてModelingCafeのバンクーバー支社の3社であった(後述)。

SIGGRAPH 2017ダイジェスト

image courtesy of ACM SIGGRAPH

今年もNVIDIAがひときわ大きな展示スペースを設けていたほか、今年3月上旬にThinkbox Softwareを買収したAmazonが、同製品のブースに加え、ゲームエンジンLumberyardのブースもかまえており、存在感を放っていた。

SIGGRAPH 2017ダイジェスト

Amazon傘下としての初出展となったThinkbox Softwareブース。SIGGRAPHに合わせて、ディスパッチャーとして日本でも定評あるDeadline バージョン10の発表を行なった。新バージョンではAWSとの連携を強化し、クラウドレンダリング機能の利便性が向上する見通しだ

  • SIGGRAPH 2017ダイジェスト
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(左)Exhibitionの新コーナー「THE GARAGE」。創立3年以内の企業を対象に(※その他にも規模、提供製品やサービス等が審査基準となる)、破格でスペースを提供するというもの。今回は13のプロダクションやベンダーが出展していた/(右)THE GARAGEで出展した、ModelingCafeバンクーバー。同社COOの長 勝博氏(向かって左)は、SIGGRAPHを通じて自分たちの表現・技術力を知ってもらい、北米の案件を日本でも手がけられるようにしたいと意気込みを語ってくれた

ちなみに日本人の活躍という意味では、Phase-Functioned Neural Networks for Character ControlというTechnical Paperも必見だ。現在はMethod Studiosで、Senior Character R&Dとして活躍する齊藤 淳氏が、エジンバラ大学 博士課程のダニエル・ホルデン/Daniel Holden氏、同大学のコムラ タク/Taku Komura准教授と共同で発表した、起伏の激しい地形上を自然な歩行/走行アニメーションを可能にするリアルタイム制御メカニズムに関する研究である

来年のSIGGRAPHは、2018年8月12日(日)から8月16日(木)にわたり、バンクーバーでの開催が決定している。ぜひ、今回の盛り上がりを持続させ、その先の発展へとつながることを期待したい。

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image courtesy of ACM SIGGRAPH

info.

  • SIGGRAPH 2017ダイジェスト
  • SIGGRAPH 2017
    会期:2017年7月31日(日)〜8月3日(木)
    場所:Los Angeles Convention Center
    主催:ACM SIGGRAPH

    公式サイト


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