>   >  「SIGGRAPH 2017」が米ロサンゼルスで開催。VRからファインアートまで、より幅広い層をターゲットにすえる。
「SIGGRAPH 2017」が米ロサンゼルスで開催。VRからファインアートまで、より幅広い層をターゲットにすえる。

「SIGGRAPH 2017」が米ロサンゼルスで開催。VRからファインアートまで、より幅広い層をターゲットにすえる。

<2>GPUとAIがデジタルコンテンツを進化させる

Technical Paperは、439の応募から126を採択(採択率28.7%)。今年も様々な研究成果が発表されており、Playful Palette: An Interactive Parametric Color Mixer for Artists(描いている絵の色調に応じてインタラクティブに使いやすいカラーパレットが生成される技術)のようなすぐに実用化を望むものに加えて、ディープラーニングに関するものも目についた。

SIGGRAPH 2017 : Technical Papers Preview Trailer

SIGGRAPH 2017 Technical Papers Image Texture & Completion
早稲田大学 利口学術院総合研究所のメンバーが発表した「Globally and Locally Consistent Image Completion」は、インターネット上の膨大な画像から機械学習によって欠けているイメージを再現するというもの。デジタルコンテンツに応用すると面白そうである(発表は、1:22:00過ぎから)


DCC(Digital Contents Creation)におけるAIの活用について積極的だったのがNVIDIAだ。全世界で2,500万人存在するデジタルコンテンツ制作者向けに提供するグラフィックスボードならびに各種SDKに対してAIを採り入れることで、より高いパフォーマンスを提供できるとして、今年も展示ブースにおける各種デモから技術論文の発表まで様々な動きをみせていた。

SIGGRAPH 2017: NVIDIA News Highlights

SIGGRAPH 2017ダイジェスト

7月31日(月)午後に開催されたプレス向け発表会スライドより。(図・左)レイトレーシングエンジンOptix 5.0では、レンダリングにAI技術を採り入れることで高速化、NVIDIA DGX Stationで実行すれば標準的なCPUベースのサーバ150台分のパフォーマンスを発揮(※参考リンク)/(図・中)多人数同時参加型のVRコラボレーションシステムHolodeck。SIGGRAPHでは、ロボットAI学習シミュレータIsaacを組み合わせて来場者とVR空間でドミノで対戦するデモを披露した/(図・右)新製品のQuadroシリーズを外付けできるグラフィックスボックス「eGPU」(後述)

  • SIGGRAPH 2017ダイジェスト
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(左)TITAN X並びにQuadroシリーズを搭載できるeGPU(External GPU)。MAGMAやSonnet Technologiesなどのパートナーから複数の製品が発売予定とのこと/(右)eGPUの開発根拠となるデータ。デスクトップ用GPUとノートブック用GPUとでは、2017年現在ではパフォーマンスに約7倍の差が生じているという

Audio-Driven Facial Animation by Joint End-to-End Learning of Pose and Emotion
Remedy Entertainmentが保有する膨大なアニメーションデータ、NVIDIAのGPUおよびディープラーニング技術を用いて、生身の俳優の動画から直接フェイシャルアニメーションを作成するためのトレーニングをニューラルネットワークに実行。約5分間のトレーニングが済んだネットワークでは、シンプルな動画ストリームからゲーム全体に必要な全てのフェイシャルアニメーションを自動的に生成できるとした


一方、ライバルのAMDは、SIGGRAPH初日の7月30日(日)夜に、ユーザー向けイベント「Capsaicin」(カプサイシン)を開催。NVIDIAが近くリリース予定の製品やサービスの紹介が中心だったのに対して、Radeon(GPU)とRyzen(CPU)の新製品を具体的に紹介していた。

AMD Capsaicin at Siggraph 2017

本イベントで興味深かったのが、メインパートのプレゼンテーションを務めたRadeon Technologies Groupのリーダーであるラジャ・クドリ/Raja Koduri氏が呼ぶかたちで主要DCCツールメーカーのトップが続々と登壇したことである。最初に登場したのは、Epic Games創業者であり、UEチーフアーキテクトのティム・スウィニー/Tim Sweeney氏。続いて、CINEMA 4Dを開発・販売するマクソン・コンピューター米国支社CEOのボール・バブ/Paul Babb氏、そしてRED RED Digital Cinema(以下,RED)のCEO、ジャレッド・ランド/Jarred Land氏が壇上に姿を見せた。

ティム氏とのやりとりは、ラジャ氏がリアルタイムグラフィックスで業界を牽引するEpic Gamesへの感謝のしるしとしてRadeon RX Vega 64のNano版(試作モデル)や当日に発表されたばかりのRyzen Threadripperをプレゼントするというパフォーマンスであったが、C4DとREDについてはAMD製品を用いることのメリットを具体的なデモを交えて紹介していた。

SIGGRAPH 2017ダイジェスト

Ryzen Threadripperをプレゼントされ、笑顔をみせるEpic Games/ティムCEO

SIGGRAPH 2017ダイジェスト

RED Digital/ランドCEOとのやりとり。当日発表されたSSD搭載グラフィックスボード「Radeon Pro Solid State Graphics(SSG)」を用いることで、8KサイズのR3Dファイルがコマ落ちせずに再生されるデモを披露した。SSGは、2TBという大容量SSDを搭載していることもあり、価格は6,999米ドルと、なかなかのインパクトだ

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