「君も、スポットライトに」――アイドルを輝かせる映像とビジュアルを現場でつくる、imaginateの仕事
iLiFE!、のんふぃく!、夜光性アミューズ、AdamLilith、と個性豊かなグループを送り出す株式会社imaginateはアイドル・YouTuber・インフルエンサーの発掘からマネジメント、ライブ企画・制作、音楽・映像制作までを一貫して手がける総合エンターテインメント企業だ。
各グループが目まぐるしい勢いでライブやイベントを重ねている同社だが、そのパフォーマンスを支えているのが、背景に流れるリリック映像やオープニング映像、アーティスト写真などの凝ったアートの数々だ。今回は、これらの制作を担うディレクターの佐藤氏やなに、同社におけるモーショングラフィックスデザイナーとコンセプトアーティストという2職種の仕事内容とその魅力を尋ねた。
※imaginateでは映像・ビジュアル制作スタッフを積極採用中!
①アイドル所属事務所のCG・グラフィッククリエイター
②アイドル所属事務所のモーショングラフィックデザイナー
③アイドル所属事務所のYouTube動画編集クリエイター
声が出せないなら、映像で盛り上げる
――まずは佐藤さんの経歴から教えていただけますか。
佐藤:
東京デザイナー学園(現:専門学校 東京デザイナー・アカデミー)を卒業してから、ずっと映像の仕事をしています。最初はYouTube系の映像制作会社でショーのプロモーション映像などを手がけて、その次の会社ではeスポーツ系のプロモーション映像をつくっていました。imaginateに入ったのはコロナ禍のころで、今年で5年目になります。
――もともとはアイドル分野ではない映像制作をされていたと思うのですが、imaginateに入られたきっかけは何だったのでしょう?
佐藤:
元々コンセプトアーティスト志望だったのもあり、コンセプトや世界観をビジュアルに落とし込んでいくという作業は好きでした。前職までの仕事でも、人をどう捉え、表現していくかを1から考えて世に出していくのを楽しみながら働いていたんですが、転職当時一番勢いがあったのがアイドルの分野だったので、アイドル業界に飛び込んでみることにしました。
――今年で5年目ということは、転職当時はコロナ禍の頃ですよね? アイドルの現場も大変だったんじゃないですか?
佐藤:
そうですね。実際、当時は感染対策で声出し禁止、ライブの熱量が下がろうとしていた時期ではありました。ただ、そこで弊社は「声が出せないなら、映像で盛り上げる」ということに取り組むことになったんです。それで、声に出せないファンの声援を補って余りあるものを目指してライブの映像演出を制作し始めましたね。
――入社してすぐにアイドルのライブ用映像を制作開始されたんですか?
佐藤:
はい。最初に手掛けたのが2022年初頭に行われたIll(imaginateがマネジメントするアイドルグループ。当時のグループ名はtwinpale)のワンマンライブ用の映像制作で、本当に入社してすぐやらせてもらいました。
ステージ背面に設置された大型LEDビジョンを活かしてほしいという依頼で、オープニングのSE映像と、歌っている際の背景に流れるリリック映像を合計15、16曲分を一気に制作しました。
リリックビデオは作るのが初めてだったので、周りのクリエイターに聞きながら試行錯誤した記憶があります。初挑戦だらけで演出にはだいぶ苦労したのですが、ライブ本番で会場のLEDビジョンに自分のつくった映像が流れた瞬間、現場の熱量と達成感で泣いちゃいましたね(笑)。
SNSやYoutubeなど、インターネット上で公開される映像を作ることが多かったので、リアルな会場でお客さんの目の前に自分の作った映像が映し出され、大勢の人々が盛り上がるというのは鮮烈な感動がありました。
――この数年でimaginateさんの企業規模はかなり拡大しましたよね。
佐藤:
はい。僕が入社したころは所属タレントも6、7グループしかいなかったのが、いまや20グループ以上所属するようになりました。会場規模も1,000名以下のライブハウスから、徐々に大きくなってきて、ありがたいことにZeppクラスを毎週のように押さえさせていただくまでになりました。
ライブ用の映像制作も以前は僕を含めて4、5人で回していましたが、おかげさまで流石にもう厳しくなりましたので、一緒に制作してくれる仲間を一気に増やしたいと思っています。
グループと会場に合わせたライブを演出する
――imaginateにおけるモーショングラフィックス担当のお仕事内容を教えてください。
佐藤:
メインになるのはライブのLEDビジョンに投影する背景映像制作です。開演を告げるオープニングのSE映像、楽曲に合わせて歌詞を流すリリック映像、ワンマン時の転換映像の3種が主になっています。割合でいうと、リリック映像が8割ほどですね。
――ではまずSE映像の制作からお伺いできますか。
佐藤:
大きなライブでのオープニングSE映像はまず、カウントダウンでお客さんをワクワクさせることから考えていきます。基本的に音が先に決まるので、まず音を聴いて、そこに合う背景や演出をあてはめていくことになりますね。たとえば夜光性アミューズは「夜にきらめくテーマパーク」がテーマで音にもテーマパーク感があるので、遊園地やチケットといった要素を組み合わせています。
一方、iLiFE!は積み重ねてきた歴史もたくさんあるグループなので、SE映像に過去のメンバーの映像も入れ込んだりもします。そういった今回伝えたいモチーフが決まったら、制作をスタートします。会場によってLEDビジョンが複数台あるときは何をどこに映すかまで含めて設計したりもしますね。
――制作期間はどれくらいかけられているのでしょう?
佐藤:
ワンマンライブ用のSE映像制作で約2週間ほどでしょうか。流す曲が先に作られて、それに合わせて映像を制作していくので、スケジュールは曲の納品タイミングによる部分もありますね。いずれにしろ、音があがり次第すぐに演出を決めて制作に入り、僕たちが制作した映像に合わせて照明の計画が作られていきます。
――グループや公演ごとに異なるテーマがあると思うのですが、そうした違いはどのように映像に落とし込むのでしょうか?
佐藤:
それこそ様々なのですが、例えば、iLiFE!で毎年行なっているZeppツアー「TRAVELiFE!」では、「TRAVEL(旅)」というのがツアー全体のテーマになっているので、毎年ベースの雰囲気はそのままに、そのツアーごとの道のりを加えていくような構成で考えています。公演のコンセプトに合わせて、映像に組み込む乗り物も、バスや飛行機に変更しています。
▲2026年6月開催の、iLiFE! Zepp tour「TRAVELiFE!2026」のSE映像。クラフト感のある2Dでのキュートなカウントダウンから、3DCGで制作されたバスが走る疾走感のある映像へ。メンバーカラーなども取り入れたポップな演出になっている。
あとは、可愛い系のグループなので、映像もポップで分かりやすく、盛り上がりやすい疾走感のあるモーションを入れるようにしています。
他方、AdamLilithというダークなコンセプトのグループもいるのですが、こちらでは中世ファンタジーな世界観で3Dをしっかり作り込んでいます。
▲AdamLilithのライブSE映像。グループのコンセプトにあわせ、ゴシック・ダークなモチーフが多く用いられている。実際のライブではこの映像とともに、メンバーが登場するため、文字の配置などは意図的に小さく・映像よりも舞台上のメンバーに目が行くように設計されている。
AdamLilithの映像やアーティスト写真にはヘビのモチーフも多く登場します。これはダーク・ゴシックな世界観とのマッチというのもありますが、ヘビを飼っているメンバーがいるので、そうした繋がりもあります。ツアーのテーマや、グループの色、メンバーのエピソードなどいろいろな要素を見せていく重要な映像です。
また、SE映像はライブ会場で流れるものですので、メンバーがステージ上に登場しているタイミングでは、視線がアイドルに向くよう映像の動きや演出をあえて控えるなどの工夫もしています。
会場を盛り上げるため、アップデートを繰り返すリリック映像
佐藤:
リリック映像は、ライブ会場でアイドルが楽曲を披露している時、LEDビジョンに映している歌詞を含んだ演出映像になります。After EffectsやCinema4Dで作成していて、歌詞やエフェクトなどの2D要素だけのもの、背景などに3DCG要素を含むもの、そして最近は書き下ろしのイラストを含むもの、のおおむね3種類を制作しています。ライブ会場でLEDビジョンにステージ上の様子とは別に、事前に作りこまれたリリック映像が流れているのは珍しいかと思います。
――リリック映像では文字やタイポグラフィも重要かと思いますが、それらはどう設計されているのでしょう?
佐藤:
まず歌詞の読みやすさが最優先、あとは楽曲の雰囲気を壊さないようにシンプルさやデザイン性を調整したり、Aメロ・Bメロとサビでバランスをとったりしています。ただ、リリックに関しては公演ごとにブラッシュアップしている部分も結構ありますね。
例えば、iLiFE!の人気曲の「sweet timer」は、初披露時の映像と最終形ではキラキラ感や音ハメの細かさが変わっていっています。
――公演ごとにブラッシュアップするためのフィードバックはどう得られているのでしょう?
佐藤:
フィードバックは本番の会場で映像を流した際のお客さんのリアクションや、僕たち自身が会場で見て感じたことから得ています。高い頻度で現場(ライブ)があるからこそ出来ることでもありますし、社内で映像を制作しているからできることでもありますね。
作るときに実際の会場と同じサイズで見ることはできないのもあり、どうしても机上での制作時と大きな会場で実際に流したときの印象が変わってしまうこともあります。過去には、会場での反応が芳しくなく、リリック映像を丸ごと作り直したこともありました。
ファンの方にも楽しんでもらえるアーティスト写真を
――ここからは、貴社における“コンセプトアーティスト”のお仕事についても訊かせてください。どういった業務を担当されているのでしょうか?
佐藤:
各タレントのアーティスト写真において、つくられた衣装やテーマに合わせて、世界観に沿ったアセットの作成・配置をしていくようなお仕事です。基本は衣装が先に上がるので、それに合わせて制作します。最終的なレタッチは社長が自らやっているので、その手前までを作っていく役目ですね。
たとえば、2026年6月に公開したiLiFE!のアーティスト写真は「魔法少女」がコンセプトでしたので、そのイメージに合わせた星やお城のモチーフ、各アイドルにはメンバーカラーに合わせたエフェクトなどを配置しています。
――アイドル事務所がCGまで制作してアーティスト写真をつくっているというのはかなり珍しいですよね?
佐藤:
元々、社長がクリエイター出身で、音からグラフィックや映像をつくる経験を積んできた人間なんです。その表現をアイドルに持ち込んだ結果、いまのような形になりましたね。一般的なアーティスト写真は黒や白など単色の背景が多いと思うんですけど、そこにCGでしか表現できない世界観づくりを持ち込んで差別化を図ろうという意図があります。最近では他社の事務所さんでも同様の試みが増えてきましたが、常に最先端を走れるよう年々アップデートしています。アーティスト写真から世界観が一目で伝わるように心がけていますね。
――制作プロセスとツールを教えてください。
佐藤:
社長が現場で立ち位置と構図を決め、撮影された写真からベストな一枚を選んで制作をスタートします。Cinema 4Dでステージや地面などの土台を作り、衣装の雰囲気に合わせて城やカーテンなどの背景を3DCGで制作・配置・調整します。あとは素材をバラで足してPhotoshopで合成・微調整し、キラキラなどのエフェクトもここで追加して完成、という感じです。
――制作の上で気をつけていることはありますか?
あくまで主役のアイドルを際立たせるのが大前提なので、やりすぎないように気をつけています。また、アーティスト写真はメンバーひとりずつ順番に公開していて、しかもチラ見せのティザー映像が先行して公開されるので、注目度や期待値も高くなります。なので、その期待に応えられるかにはいつも気を使っています。
また、メンバー個人のコンセプト要素を初めて見せる場でもあるので、ファンの方が「なるほど」と楽しめる要素を散りばめるようにもしています。例えば、食べることが好きな子には、背景に白米ご飯を置いたり、元々バレーをやっていた子のアーティスト写真にはバレーボールを入れたりですね。
長く応援してくれているファンの方々がひとつひとつの要素に頷いて、楽しんでもらえたら、と仕掛けを毎回入れているので、気づいてもらえたかSNSの反応はつい見てしまいます(笑)。
アイドルを照らす"スポットライト"になる
――スタッフを募集されているとのことですが、imaginateさんが応募者に求める特徴や性格などがあれば教えてください。
佐藤:
まず、モーショングラフィックスに関していうと、素材サイト頼みではなく自分でアセットを作れる方が望ましいです。うちはグラフィックとモーションを分担せずに一人で完結させるので、欲を言えばIllustratorも触れて素材から構成できると理想的です。
モーションが作れるという人は多いですが、アセットから自作できるかどうかで、クオリティや表現も一歩先に行けると思っています。
コンセプトアーティストに関しては「自分で世界観を作れる方」。先ほどの通り、アーティスト写真の世界を作り上げていくので、モデリングひとつとっても、技術力だけでなく「何を考えて作る人なのか」を見たいと思っています。
ただモデリング・配置するのではなく、表現の意図や目的があったり、新しいものを生み出そうとしているような人であってほしいですね。
ひとつのグループを長く担当して、ずっとそのグループに合う表現をアップデートし続けるので、ひとつに打ち込める素質がある方がやりやすいと思います。また、現場に通って理解を深めたり、「誰かを魅せること」が好きで楽しくやれる人がいいと思いますね。
――最後に、imaginateで働く魅力を教えてください。
佐藤:
やはり「現場」があることです。自分のつくった映像が何千人もの前で流れて、その場で声援を浴びる。MVやティザー映像などのオンラインのみでの反響とは違って、会場に飲み込まれるような熱量がある。そこに直接打たれるんです。裏方というより、自分も一緒にライブを作り上げているパフォーマーに近い感覚かもしれません。
HEROINES(imaginateに所属・または同社がマネジメントする女性アイドルグループの総称)には「君も、アイドルを照らすスポットライトに。」というスタッフ募集のキーワードがあります。映像も、イラストも、3Dも、衣装も、作り手ひとりひとりがアイドルを照らすスポットライトになる。そういう気持ちで一緒に作ってくれる方を待っています。
採用情報
①アイドル所属事務所のCG・グラフィッククリエイター
②アイドル所属事務所のモーショングラフィックデザイナー
③アイドル所属事務所のYouTube動画編集クリエイター
TEXT_稲庭 淳
EDIT_遠藤佳乃(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充