Topic 4
「~アイドルの個性を引き出すLive2Dの表現方法~」
by KLab株式会社
『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live』
対応OS:iOS 9 以降、Android 4.4 以降/ジャンル:リズムアクションゲーム/価格:基本プレイ無料(アプリ内課金あり)/www.utapri-shining-live.com
©早乙女学園 ©KLabGames
大人気アプリにおけるアイドルの個性をLive2Dで表現
メインホールでは、『デスティニーチャイルド』や『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』等のスマートフォンアプリをはじめ、映像制作やアバターサービス、個人の制作者など8つのユーザー事例セッションが実施された。その中からKLab株式会社によるスマートフォン向けリズムアクションゲーム『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live』のメイキングセッションを紹介しよう。大人気タイトルの制作陣による講演というだけあって、会場は立ち見が出るほどの人気であった。
同セッションでは、男性アイドル作品として圧倒的な人気を誇る『うたの☆プリンスさまっ♪』のスマートフォンアプリ化にあたって11人のアイドルの個性をいかにLive2Dで表現したか、その制作事例が紹介された。本作では、「ストーリーパート」、「ホーム画面」、「衣装替え」の3箇所にLive2Dが活用されており、キャラクターが最大で3体同時に表示されるストーリーパートでは、お互いに相槌を打ったり目線を合わせたりとキャラクター同士の繊細なインタラクションを表現し、ホーム画面ではタップする場所でキャラクターの反応が様々に変わるよう顔だけで当たり判定が4つ以上設定されている。
登壇した同社CGクリエイター/Live2Dデザイナーの原 脩司朗氏は、本作でLive2Dを使用するにあたり、アイドルたちを「実際に生きているアイドルとしてゲーム上で表現する」ことをテーマとして制作を進めたと語った。このテーマを実現する上でポイントとなったのは、「自然な動きの追求」と「いかにアイドルの個性を引き出すか」の2点。ひとつめの「自然な動きの追求」では、アイドルが目の前にいる臨場感を損なわないよう、腕を下ろした状態から挙げる動作を正面から見た場合の「手前方向への腕の動き」の滑らかさには特にこだわったようで「これまでのLive2D作品にはない同作ならではの自然な動きだと思います」と原氏は自信をみせた。Live2D作品で一般的に使用されている「パーツの切り替え」や「モーションフェードによる自動補完」は検討の結果採用せず、奥行きのある動きを表現するため手付けによるモーションで表現したとのことだ。
また2つめの「いかにアイドルの個性を引き出すか」については、アイドルをもっと好きになってもらうために①共通の表情モーションを使わない、②ひとつの感情に対して複数の表情パターンを用意する、③眉の表現にも工夫する、の3点にとりわけ注力したと、同じくCGクリエイター/Live2Dデザイナーの青柳里奈氏は話す。青柳氏は「各アイドルごとに20種類以上の表情を用意し、他のアイドルと共通のモーションはいっさいありません。反面、アイドルごとに表情やモーション、さらに体格を共通化できる部分がほぼなかったことで制作コストが増えてしまった。コストを重視するのか表現を重視するのか、仕様を早い段階で確定しておく必要がありました」と率直に反省点を述べたが、テーマとして掲げていた「Live2Dを使って実際に生きているアイドルのようにゲーム上で表現する」ことは達成できたと報告してセッションは終了した。
自然な動きの追求
※上画像をクリックするとアニメーションを確認できる
腕を上げる動作を正面から見た場合の動きを自然に見せるため、前腕部を縮めつつ腕を前方に動かすパラメータを用意。奥行き表現として、一定の数値で袖口のテクスチャを切り替えて手前方向への自然なパース感を表現
上腕部に奥行きをもたせる動きの例。上腕を縮めることで奥行きをもたせ、より立体的に見えるよう上腕の動きに連動してケープの裏側が見える工夫がされている
前腕部の回転パラメータのプラス値とマイナス値の可動域を合わせ拡張することで360度全ての角度の動きを表現
腕のモーション付けのながれ
アイドルの個性を引き出す
アイドルごとに20種類以上用意されたモーションで個性を表現。可動範囲を大きくとることで別のアイドルとかぶらない多彩なバリエーションを用意できた
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ポーズに魅力をもたせるためコントラポスト(中心軸から左右非対称のポーズをとらせることでモデルに躍動感を出す技術)を意識したポーズがとれるようにパラメータを実装。個性的なポーズの演出をサポートしている
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セリフに合わせてモーションに最適な表情を組み合わせている。非常に微妙なちがいだが心理的な効果は抜群だ