2023年の本格始動からわずか数年で急成長を遂げているMAPPA大阪スタジオ。『チェンソーマン』をはじめ、話題作を次々と手がける同スタジオでは、若手クリエイターの育成と並行して、制作環境の最適化が常に課題となっている。
今回は大阪スタジオ立ち上げのキーマンである淡輪雄介氏と坂本拓馬氏にスタジオの展望と、制作の要となるマウスコンピューター製クリエイターPC「DAIVFX-I7G60」の導入効果について話を聞いた。
劇場版『チェンソーマン レゼ篇』 © 2025 MAPPA/チェンソーマンプロジェクト ©藤本タツキ/集英社
立ち上げからわずか3年で
急成長を遂げる大阪スタジオの現在地
——おふたりのMAPPAでの役割について教えてください。
淡輪雄介氏(以下、淡輪):入社12年ほどになり、現在は主に各作品のクリエイティブ面のプロデュースや、数年前に立ち上げた大阪スタジオの統括を行なっています。
淡輪 雄介氏
MAPPA 取締役 / CGI局 局長
前職STUDIO4℃では、3DCGと作画を連動させた画づくりを追求し、多くの作品でCGI監督を務める。同僚だった現代表・大塚 学氏からの誘いで2014年にMAPPAへジョイン。CGI部を立ち上げ、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』や『進撃の巨人 The Final Season』など、数多くの作品に携わる。2023年の大阪スタジオ始動に際し、関西圏での長期的な仕事の創出と人材育成を目指している。
坂本拓馬氏(以下、坂本):私は3年前にMAPPAに合流し、1年ほど前に大阪スタジオの所長になりました。以前は京都の大学で教員として勤務していましたが、やはり現場で手を動かしたいという思いが強くなり、淡輪に相談したことがきっかけで今に至ります。
坂本 拓馬氏
MAPPA 大阪スタジオ 所長
京都精華大学での教員を経てMAPPAにジョイン。大阪スタジオの立ち上げに深く関わり、現在は所長としてスタジオ運営と若手育成、自身のクリエイティブワークを兼務。『LAZARUS ラザロ』や『チェンソーマン』などの作品に携わる。
——大阪スタジオの立ち上げはどのような経緯だったのでしょうか?
淡輪:コロナ禍において遠隔での協業に手応えを感じたこともあり、人材確保や社員の勤務地の選択肢を増やす目的で構想を練っていました。同時期に坂本を頼ってみたところ反応がよかったので、本格的に場所を探し、2023年春に開所に至りました。
——大阪スタジオの現在の規模は?
淡輪:立ち上げ時は東京から移籍したスタッフ含め8名ほどでスタートしましたが、そこから新卒や中途採用を経て、勤務地移動したスタッフも含め現在は約25名規模になっています。毎年コンスタントに増員しており、最近では自ら希望して、東京から移籍してくるスタッフもいますね。
――大阪スタジオではどのようなツール、マシンを使用していますか?
淡輪:メインツールは3ds MaxとBlenderです。制作用マシンはほとんどがDAIVで、部署によって構成を変えています。3DチームはGPUでの描画やリアルタイムのセルルック確認を重視、撮影チームはメモリを増設しキャッシュ量を確保する、といった構成です。
劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の背景制作を支えたDAIV
CGW:直近では劇場版『チェンソーマン レゼ篇』(以下、『レゼ篇』)が話題ですが、実際の制作現場でDAIVはどのように貢献しましたか?
坂本:『レゼ篇』では、大阪スタジオが背景CGをメインで担当したシーンがあったのですが、その全てをBlenderで制作するという新しい取り組みを行いました。その結果、データ量が膨大となり、非常に負荷の高い作業となりました。
——そうした高負荷の作業の中で、DAIVの動作はいかがでしたか?
坂本:制作では悪戦苦闘する場面も多々あったんですが、安定した動作のおかげで、なんとか乗り切ることができました。その試みから、BlenderはGPUの性能がパフォーマンスに直結すると痛感しました。
CGチームの主力マシンはDAIVのGeForce RTX 4060搭載モデル
——現在まで継続してDAIVシリーズを多数導入されている理由を教えてください。
淡輪:最大の理由は「カスタマイズ性の高さ」と「コストパフォーマンス」ですね。私がCGI部門を立ち上げた2014年にクリエイター目線でDAIVを選んで以来、大きなトラブルもなく、現場からの信頼も厚いため継続して採用しています。大阪スタジオのように人数が増え続けている環境では、大量導入時のコストバランスと、必要なスペックを細かく調整できる点が非常に助かっています。
——スペック選定で意識するポイントは?
淡輪:会社全体での導入コストとのバランス、そして社外の協力会社さんとの連携という観点から、ベースはミドルエンドで統一しています。ただ重い処理が必要な場合は、一部メモリ増設やGPUのグレードアップなど、柔軟にカスタマイズして対応しています。このあたりの柔軟性もDAIVシリーズの魅力ですね。
——協力会社さんとの連携というのは?
淡輪:仮に当社がハイスペックな環境を標準化してしまうと、自社では問題なくても他社さんでデータが開けない、という問題が起きてしまうんです。なので業界標準的なスペック構成で制作することで「しっかりと動くデータ」になるようコントロールしています。
後半では、大阪スタジオが実際に採用するマシンスペックを深掘り!
MAPPAでは、協力会社との連携や制作フローを踏まえ、“どの環境でも安心して扱えるデータ”を前提にマシンスペックを選んでいるとのこと。
その具体的な構成や部署ごとの使い分け、新人育成とPC運用の関係などは、マウスコンピューター特設サイトに掲載している記事後半でご紹介。
TEXT_kagaya(ハリんち)
EDIT_柳田晴香