>   >  『Monument Valley2』は家族の物語であり、個人的な体験の結晶......人気スマホゲームのデザイン思想~GDC 2018レポート(3)~
『Monument Valley2』は家族の物語であり、個人的な体験の結晶......人気スマホゲームのデザイン思想~GDC 2018レポート(3)~

『Monument Valley2』は家族の物語であり、個人的な体験の結晶......人気スマホゲームのデザイン思想~GDC 2018レポート(3)~

<2>MV2のアートデザインとその背景


『MV2』のコンセプトが決まったところで、Huerta氏はキャラクターのアイディアを広げ始めた。合計で100体程度描いたという。もっとも、ここから採用されたキャラクターは1体もいない。それでもゲームの芯を固めるのに役だったという。また、『MV2』ではテクスチャやマテリアルをよりリッチにすることで、画面の色使いを多彩にしたり、よりイラスト風に見せたいというアイディアもあり、その上で、さまざまな参考資料が探されていった。


ここでポイントとなったのが画家マウリッツ・エッシャーの作風からの脱却だ。「『MV1』はエッシャーの作品から多大な影響を受けました。しかし、『MV2』ではより多くのアーティストをテーブルの上に並べて、その要素を取り込みたいと思いました。そのため我々はエッシャーにさようならを言わなければならなかったのです」(Huerta氏)。実際に収集された資料は、建築・彫刻・アート・ポスター・インテリア・ファッションなど、さまざまな領域に渡った。


このように収集された資料は、当初Huerta氏によって写真共有サイトPinterestにまとめられた。属性ごとにわけられ、5枚のPinterestのページにまとめられたという。しかし、これでは制作チーム内での一覧性や共有性に欠けるとして、最終的にプリントアウトされ、スタジオの壁に大量に掲示された。

大量に集められた資料の中でも影響が大きかったのが、現実の風景だ。特にHuerta氏の出身地であるスペインのバレンシア地方は、『MV1』の世界観やビジュアルアートに、さまざまな影響を与えている。


同じように『MV2』のアートワークには、休暇中に訪れた街並みの風景や、ポスター、ドールハウス、キャンディー、他のアート作品など、さまざまな素材から引用されている。Huerta氏だけでなく、4人のアートチームからの引用も多いという。もっとも、実際に使用する際は各々の要素を分解し、抽出して再構成するように留意したとのこと。より詳しく知りたい場合は、書籍『Steal Like and Artist』(Austin Kleon著)が参考になると補足された。

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<3>MV2のレベルエディタとシェーダ

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