豊かな表情の肝「福笑い表情システム」
テクスチャマップの切り替え、UV値の操作、板ポリゴンの位置制御等、複数のパラメータを管理するための専用の操作UIツールが作成された。オブジェクトをまたいだ複数のパラメータのキーフレーム編集が可能で、テクスチャマップもビューア上から指定できる。ただ、ビュー上の作業は処理が重くなりやすいため、描画更新頻度が高いマテリアルはShaderFXを用いたビューポート表示専用のシンプルなものにし、ShaderFX上で必要最低限の描画のみを行うことで負荷を低減している。またテクスチャマップは、目・眼球・眉・口で独立させ、正面や横など、顔の向きに合わせた素材が用意された。
表情操作用の専用ツール
ビューポート表示専用マテリアル
目のテクスチャ
口のテクスチャ。口だけは俯瞰やアオリも用意された
作画の表現に寄せた頭部の描き方
板ポリゴン上の表情パーツは立体形状として成立していないため、シーン上、コンポジット上で、カメラごとに位置を調整する必要がある。このとき、画角によっては、顔の輪郭、奥の前髪など、作画アニメ特有の表現の処理も同時に行う。また、表情の位置の調整は自由度が高いため、アングルごとの目安となる指示サンプルを配布することで、作業者によって仕上がりにばらつきが出ないように運用している。以下の画像はメインキャラクターのアニメーター向け指示サンプル。アングルに合わせた表情調整ポイントをまとめたものだ。
アニメーター向け指示サンプル(大野 晶)
アニメーター向け指示サンプル(日高小春)
アニメーター向け指示サンプル(矢口春雄)
斜め顔の調整前【左】と斜め顔の調整後【右】。口の位置、顔の輪郭、奥の前髪が調整された。真正面から見ると破綻しているが、カメラから見るとよりアニメ的に映る
横顔の調整前【左】と横顔の調整後【右】。横顔用のテクスチャに切り替え、顔の輪郭はモーフで調整している