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コンセプト次第で変幻自在。モンブラン・ピクチャーズのモーショングラフィックス

コンセプト次第で変幻自在。モンブラン・ピクチャーズのモーショングラフィックス

『Montblanc A Tribute To Imagination』

▲『Montblanc A Tribute To Imagination Essential Moment Japan Installation』

キネティックライトとの融合で空間へ展開

本インスタレーションは、ドイツの高級筆記具ブランドのMontblancによる『星の王子さま』をモチーフにした新作コレクションのリリース記念イベントで披露されました。同作の「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない」という有名な一節をテーマに、キネティックライト、プロジェクションマッピング、音楽の3要素を組み合わせた新しい視覚体験を生み出しました。

キネティックライトは、モニタやスクリーンでしか成立しなかったモーショングラフィックスの表現を空間に展開できるツールだと捉えています。また、そのミニマムで普遍的な美しさは、前述の抽象的なテーマや、Montblancのトンマナにもピッタリでした。その構造上、動かすスピードや輝度の階調に制約があるものの、最大限まで魅力を引き出す演出をしています。各要素の組み合わせによる新しい視覚体験を生み出すため、単体で成立する表現は極力排除し、組み合わせることでしか実現しない表現のアイデアをたくさん出し、何度も実験しながら効果的な演出を絞り込んでいきました。

mtblanc.jp/ourworks/2573/
ディレクター・猪口大樹

単体で成立する表現はなるべく排除

#目的を常に意識する

▲プロジェクトの初期段階で、キネティックライト、プロジェクションマッピング、音楽の3要素を組み合わせることでしか実現しない演出を何度も実験しました


▲冒頭のシーンでは、キネティックライトとプロジェクションマッピングを組み合わせた表現の面白さをわかりやすく伝えることで、その後の展開への期待感、ワクワク感を高める演出を意識しました

飽きさせない構成

#期待に応え、予想を裏切る

▲全体を通して飽きさせない構成にするため、キネティックライトの役割をシーンごとに変えています。最初はただの照明だったものが、【上】【中】宇宙や砂漠のシーンでは太陽に見えたり、【下】海のシーンでは月に見えたりする演出にしています


 

▲キネティックライトを動かすことで、【上】引力や【下】重力も表現しており、観る人の想像を膨らませることを意識しました

アニメーションのプリミティブな面白さを活かす

#シンプル&ボールド

▲【上左】【上右】キネティックライトの光がテーブルに落ちて波紋が広がるシーンや、【下左】【下右】テーブル上のパーティクルが集まってキネティックライトに乗り移るシーンでは、単純にキネティックライトとテーブル上の光のON/OFFを切り替えているだけですが、動いていないのに動きを感じるというアニメーションのプリミティブな面白さが、メディアをまたぐことで新鮮な表現になったと思います。キネティックライトとプロジェクションマッピングのタイミングがずれてしまうと成り立たない表現ばかりなので、全てのシーンの同期が完璧に合うように、キネティックライトのプログラミングを1フレーム単位で細かく調整してもらいました

オリジナルのシミュレータを作成

#サムシングニュー

▲様々なアングルからの見え方を検証するため、オリジナルのシミュレータを作成しました


▲After Effectsでキネティックライトの動きと光のON/OFFや、【上】【下】プロジェクションマッピングの映像を表現し、それらのデータをSyphonでシミュレータに送り、リアルタイムに様々なアングルで確認しながら制作できるようにしました

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