>   >  コンセプト次第で変幻自在。モンブラン・ピクチャーズのモーショングラフィックス
コンセプト次第で変幻自在。モンブラン・ピクチャーズのモーショングラフィックス

コンセプト次第で変幻自在。モンブラン・ピクチャーズのモーショングラフィックス

『福岡市政PR CM』

▲福岡市政PR『子育てしやすいまちづくり篇』


▲福岡市政PR『福岡100 ずっと働けるまちへ篇』

簡潔にまとめつつ、常にどこかを動かす

本作は、小難しく捉えられがちな福岡市の取り組みを市民に知ってもらう目的でつくられたシリーズで、2014年から現在までに約20本が公開されています。勢いと活気のある福岡市の雰囲気やイメージが、本作の方向性を決める上で重要なポイントになりました。「洗練」や「スタイリッシュ」よりも「親しみ」「温かみ」を重視したため、実写ではなくイラストを使い、「ただ動かす」だけではなく、観ていて楽しくなるような映像を目指しています。

人物はアイコン的なデザイン、物体は擬人化したデザインで表現している点が本作の特徴です。主婦、サラリーマンなどの具体的なビジュアルで人物を表現すると、市政に対する余計な誤解を生む可能性があったため、年齢や性別がわからないデザインにしました。その結果、「誰にでも当てはまること」、言わば「自分のこと」として市民が情報を受け取れる映像になったと思います。本作は30秒の尺で多くの情報を伝える必要があり、難しい言葉も出てくるので、構成段階から、いかに簡潔にまとめるかがポイントとなりました。また、常にどこかを動かし、観る人を飽きさせない演出を心がけました。

mtblanc.jp/ourworks/1076/
ディレクター・山代竜也/プロデューサー・江藤浩輝

少ない手数で、最大限の情報を伝える

#目的を常に意識する

『子育てしやすいまちづくり篇』では、従来の幼稚園や保育園とはちがう、企業主導型保育施設という新しい施設の設置が進んでいることを伝えています。【上左】【上右】【下左】企業を象徴するビル君が水をあげて育てた企業主導型保育施設が、【下右】新入生の帽子をかぶり、桜が舞う中で独り立ちしていく様子を表現することで、「今までにない新しい施設ができた」という情報が、短い尺で伝わる映像になったと思います


▲【上左】『福岡100 ずっと働けるまちへ篇』ではTV君を使ってグラフと数字を見せた後、【上右】チャンネルを切り替えて福岡市の地図を見せます。さらにTV画面の中へ飛び込むように地図をズームアップし、勢いよく福岡市を7区に分けた後、【下左】高齢者施設を出現させます。これにより、まち全体の元気のよさと、7区それぞれに施設があるという情報を伝えています。【下右】ラストカットで再びTV君を登場させることで、まとまりのある構成に落とし込みました。また、ナレーションに合わせたテンポのいい動きを付けることで、福岡市のアクティブで元気なイメージを強調しています

ふりきったデザインと構成

#シンプル&ボールド

『福岡100 ずっと働けるまちへ篇』の作中カット。人物は、年齢や性別がわからない、アイコン的なデザインにしています。ただし、視聴者の目を引きつけるため、単調ではない、活き活きとした動きになるよう心がけました


『子育てしやすいまちづくり篇』の作中カット。子育てしやすいまちをつくるため、福岡市は様々な政策を行なっています。しかし本作では、「保育施設が年々増えている」という一点に集中して情報を伝える構成にしました。冒頭の福岡市役所君の踊りに合わせて保育施設が増えていく演出や、前述の企業主導型保育施設の演出を通して、「新しい保育施設が続々と建設されている」という情報をわかりやすく伝えています

キャラクター的なかわいさを強調する

#シンプル&ボールド

▲【上左】『福岡オープントップバス篇』、【上右】『MICEの積極誘致篇』、【下左】『ウォーターフロントネクストで魅力ある海の玄関づくり篇』、【下右】『子育てしやすいまちづくり篇』の作中カット。物体を擬人化して動かすときには、動きの気持ち良さに加え、キャラクター的なかわいさを強調するよう心がけています。その結果、文字だけでは伝わりづらい情報を補完する役割も担うことができます



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    cgworld.jp/magazine/cgw264.html

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