<3>DMXとUE4をシームレスにつなげる~今後の展望~
映像、照明、そして音声、さらなる一体化を追求する
本イベントには実装できなかったリアルタイムで制御できるムービングライトだが、イベント後も開発を続け現在は実装できる段階にこぎつけたという。「通常のライブイベントでも使用される照明卓Avolites Titan QuartzからArt-Netを用いてDMX信号をLAN経由で送信し、UE4内のムービングライトを制御しています。同じDMX信号をライブ会場の照明機材に送ることで動きやカラーなどを同期させることもできるので、ライブとVRを組み合わせた新しい演出も可能です。DJの楽曲に合わせてライトが稼働し色を変化させることで今まで以上にライブ感を演出することができますし、曲の変わり目に全てのライトが消える暗転演出などライブ会場と同じ感覚でコントロールできるので助かります」(本池氏)。
照明機材なども瞬時に切り替えることができる上にライトの色や太さなどもリアルタイムで調整可能。「レーザー光やフォグなどの演出もUE4のパーティクルを駆使すれば表現可能だと思います。VRに特化した演出家という職業が誕生するかもしれませんね」(嶋田氏)。さらに今後はHTC VIVE Trackerの導入も検討しており、BlueprintやC++、Pythonなどプログラミングに長けたパートナーを求めているという。「VRコンテンツの開発は、従来のVJ向け映像制作に比べると何かとコストがかかりますが、コロナの影響もありライブイベント業界ではニーズは高まっています。新しい演出技法やVRの技術も日々進化しているので、この波に乗れるか否かでVRにとって大きなターニングポイントになるのではないでしょうか」(中市氏)。
Art-Netを用いたDMXとUE4の同期
▲照明機材のAvolites Titan QuartzからArt-Netを使用し、LAN経由でDMX信号を送り、UE4との同期を図る。次のイベントから導入予定とのこと
▲Titan Quartzから送られたDMX信号の情報がUE4上でリアルタイムに反映される