>   >  累計75万部突破の人気童話「おばけずかん」をイワタナオミ監督がアニメ化
累計75万部突破の人気童話「おばけずかん」をイワタナオミ監督がアニメ化

累計75万部突破の人気童話「おばけずかん」をイワタナオミ監督がアニメ化

「おばけずかん」の投影シーンでは、3DCGによる印象的な画を実現

▲ バケホで「おばけずかん」を投影するシーンは3DCGで制作。立体的なカメラワークにすることで、ほかとはちがう印象的な画を実現している。【上】Mayaの作業画面/【下】先のシーンのレンダリング画像


▲ 背景はAE上で合成しており、様々な色とデザインのアイデアが出された。最終的に【下】の青地に火の玉が浮かぶ背景が選ばれた


▲ 背景を設定中のAEの作業画面


  • ◀完成映像

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メリハリのある動きで、ヒロシの驚きとおびえを表現

▲ 【左列】第1話のヒロシのアニメーションの初期テイク/【右列】完成テイク。前者は手足をバタバタと上下に動かすことで驚きを表現している一方、後者は足だけを動かして椅子ごと後ずさり、最後にギュッと手足を縮め、涙目になって上唇を咬むことで驚きとおびえを表現している


本作ではメリハリのある動きが重視された。第1話では前述のようなアニメーションや演出の方向性が試行錯誤されたので、とりわけ長い制作時間を要した。「3DCGは素材をつくらなくても柔軟にカメラワークを変更できるメリットがある反面、間延びしたカットをつくりがちです。一方、2Dアニメーションは素材制作の手間がかかるからこそ、カットを計画的に切るようになり、結果としてテンポの良い映像になるというメリットがありますね。カットのつくり方がシンプルなので、リテイクに応じてもらいやすいというメリットもあります」(イワタ監督)。

名作映画へのオマージュをはじめ、数多くのこだわりが詰まったノーマン・バスの飛翔カット

▲ 第7話で、ノーマン・バスが真夜中の商店街を走行した後に飛翔し、月を横切るカットの絵コンテ


▲ 先のカットの美術


  • ◀先のカットのアニメーション

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イワタ監督はスタッフの意見に耳を傾けながら制作を進める性格で、いつもは強く主張しないが、本カットでは珍しく「ぜひ月を横切ってほしい」と譲らなかったという。「映画『E.T.』をリアルタイムに観ていた世代は "月があったら横切らなくてはいけない" と刷り込まれているんです。親世代の視聴者の中には、共感してくれる人もいると思います」とイワタ監督は笑った。商店街を走行していたノーマン・バスが、その直後に月を横切る演出は無理があるのではとスタッフは危惧していたが、美術の月の高さや大きさ、ノーマン・バスの飛翔時の角度やタイミングを細かく調整し、違和感のない映像がつくられた。加えて、絵コンテ段階では真横を向いていたノーマン・バスの顔の角度が途中で変更され、常に顔が見える角度で描かれるようになった。「物理的には不正確ですが、キャラクターの描き方としては正解なんです」とイワタ監督は解説した。よく見ると、ヒロシと運転手の位置関係にも2Dならではの噓が含まれており、細部までこだわり抜いた渾身のカットに仕上がっている。

今も制作が続いている本作について、西山氏は「本作で培ったノウハウが、次の作品につながるだろうと期待しています」と話った。さらに高山氏は「子供たちの間で話題になるような作品にしたいです」と続け、イワタ監督は「1話完結のお話ですが、シリーズ全体を通してヒロシとボーニャンの成長も描く予定です。子供はもちろん、お母さんやお父さんも共感してくれる物語にしたいです」と話してくれた。


©斉藤洋・宮本えつよし・講談社/「おばけずかん」製作委員会 

info.

  • TVアニメシリーズ『おばけずかん』
    テレビ東京系列『おはスタ』にて毎週水曜日あさ7時20分頃から絶賛放送中!
    原作:斉藤 洋・作/宮本えつよし・絵「おばけずかん」シリーズ(講談社 刊)
    監督:イワタナオミ
    脚本:田辺茂範
    プロデュース:EGG FIRM
    アニメーション制作:ファンワークス
    製作:「おばけずかん」製作委員会
    www.shopro.co.jp/tv/obakezukan/



  • 「レストランのおばけずかん ふらふらフラッペ」
    斉藤 洋・作/宮本えつよし・絵
    発売日:2020年7月28日
    本体価格:1,100円
    累計75万部突破!大好評の「おばけずかん」シリーズは、たのしいおばけがいっぱい登場する、「図鑑」という名前の童話です。それぞれのおばけが、どんなふうに怖いのか。そうならないためには、どうしたらだいじょうぶなのかを、ユーモラスな短いお話仕立てで紹介しています。登場するおばけはちょっと怖いけど、ちゃんと対応してあげると、意外になさけなくて、かわいいところもあったりします。怖くて、笑えて、最後はホッとする、「こわいけど、おもしろい」おばけの童話シリーズです!
    book-sp.kodansha.co.jp/obakezukan/lineup.html



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    cgworld.jp/magazine/cgw265.html

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