>   >  累計75万部突破の人気童話「おばけずかん」をイワタナオミ監督がアニメ化
累計75万部突破の人気童話「おばけずかん」をイワタナオミ監督がアニメ化

累計75万部突破の人気童話「おばけずかん」をイワタナオミ監督がアニメ化

Topic 2:イワタ版『おばけずかん』ができるまで 〜カット制作〜

キャラクターや美術と並行して、11月からはシリーズ構成・脚本の制作も始まった。12月には第1話の絵コンテ制作もスタートし、Vコンテ制作、カット用のキャラクターおよび美術の素材制作、3DCG制作、AEによる2Dアニメーションやエフェクト制作にも順次着手していった。その間、要所要所でイワタ監督や製作委員会によるチェックも行われ、第1話が完成したのは2020年の3月だった。「第1話は本作のつくり方や演出の方向性を試行錯誤するパイロットフィルムのような側面ももっていたので、特に時間をかけました」と高山氏は語った。なお、第2話以降は第1話で定まった指針の下、スピードを上げつつ制作しているという。

イワタ監督のデザインをしっかり再現できるしくみを構築

本作の指針のひとつとして "イワタ監督のデザインをしっかり再現する" ことが掲げられた。2Dアニメーションの制作ツールにAEを選択したことも、この指針が関係している。AEであれば、イワタ監督がIllustratorで描いたデザイン画をそのまま2Dアニメーションの素材に転用できる。足りない素材は前述のデザイン画を参考に作画スタッフが新たに作成した。その結果、イワタ監督のデザイン画の絶妙なバランスを崩すことなく、効率的に各話のカットを量産できるしくみが構築できた。なお、各素材はIllustratorのレイヤーで管理されており、素材名がレイヤー名にもなっている。打ち合わせやディレクション時にも前述の素材名を用いることで、情報伝達に齟齬が起きないよう配慮されている。

イワタ監督が描いたデザイン画を、2Dアニメーションの素材に転用

▲イワタ監督によるヒロシの表情集。初期の試行錯誤の段階で描かれたものだが、本作の方向性に合わないという理由でボツになったもの以外は、2Dアニメーションの素材として転用されている


▲バケホ、ヒロシ、ボーニャンの表情差分を含む全素材を格納したIllustratorデータ


▲各カットで用いる素材を打ち合わせで決定した後、その素材を先の全素材格納データからコピーして、カット制作用のデータがつくられる


▲カット制作時のAEの作業画面。先のカット制作用のデータや美術のデータをAEにインポートし、各パーツにアニメーションを付けている。カット制作用のデータは黒目・白目・シワ・口などのパーツ単位に細かく分かれており、表情やポーズの差分も格納されているので、組み合わせや移動・変形によって様々な表情とポーズを付けることが可能。打ち合わせでは、目パチのタイミングにいたるまでイワタ監督が細やかな指示を出している

ポップなデザインであると同時に、懐かしさも内包している美術

美術に関しても、初めて登場する場所はイワタ監督がデザイン画を描き、それを基に美術監督の白佐木氏と美術スタッフが各話の美術を作成している。昨今のアニメは写実的な美術が主流で、写真をトレスすることも多い中、手描きのような柔らかさをもつ本作の美術は異質だ。白佐木氏は本作の独特の作風をしっかり理解し、アニメの美術として展開してみせた。余談だが、白佐木氏は『ウゴウゴルーガ』のCGアニメーションコーナーに登場した「ミカンせいじん」の生みの親でもある。こうした敏腕クリエイターたちがイワタ監督のイメージをズレなく再現していく体制が、本作の魅力を支えている。

▲ 【上】イワタ監督による音楽室のデザイン。デザイン画であると同時に、イラストレーションとしても成立する画になっている/【中】先のデザイン画を基に描かれた第2話の美術/【下】先の美術を使った作中カット


▲ 【上】イワタ監督による病院のデザイン/【下】先のデザイン画を基に描かれた第3話の美術。ポップなデザインであると同時に、昭和を彷彿とさせる懐かしさも内包している


©斉藤洋・宮本えつよし・講談社/「おばけずかん」製作委員会 

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