>   >  新劇場版の世界を3Dで再現『エヴァンゲリオン バトルフィールズ』- No.2 - シンジ&ミサト篇
新劇場版の世界を3Dで再現『エヴァンゲリオン バトルフィールズ』- No.2 - シンジ&ミサト篇

新劇場版の世界を3Dで再現『エヴァンゲリオン バトルフィールズ』- No.2 - シンジ&ミサト篇

動かす技量だけでなく2Dの絵心も求められた

ドラマパートの試作段階では、汎用的なモーションライブラリの作成や、モーションブレンドの活用による効率化も検討されたが、『エヴァ』らしい動きを表現できないという理由で導入は見送られた。「スペーシングの気持ち良さが一番大事という結論になり、カット単位でアニメーターが動きを調整することになりました。人間のリアルな動きの情報は削ぎ落とし、ポーズtoポーズのシンプルな動きを目指しています。Mayaのキーフレームは必要に応じてコマ抜きし、3コマ打ちを基本とし、UE4のキー補間もConstant(階段状の補間)に設定しました」(西原氏)。また、カメラの設定を変えるとキャラクターが似なくなるという問題が頻繁に起こったため、アニメーターがカット単位で顔を変形させることになった。「動かす技量だけでなく、2Dの絵心も求められたので苦戦しました。どうしても似ない場合は、部分的に2D班にレタッチしてもらい、それに合わせて変形させるという力技で対応しています」(西原氏)。

とにかく似せるため、アニメーターがカット単位で顔を変形

▲アニメーターが変形させた後のシンジ。「シンジは特に3D化に適しておらず、アオリ・俯瞰・斜めなど、カメラの角度を少し変えただけでシンジらしさが消えてしまいます。そのためカットごとに繊細な変形を施しています」(西原氏)


▲先の画を別角度から映したもの


▲先の画の完成映像


▲別カットのシンジ。長く本作に携わってきた声優陣のアフレコ時の反応も、似せるための有力な判断材料となった。例えば上のシンジは、当初、怒ったような表情をしていた。しかし、こういう場面で、シンジは相手に感情をぶつけるような反応はしないのではないかという指摘を受け、この表情に修正された

どうしても似ない場合は、部分的に2D班がレタッチ

▲ミサトのドラマパートの絵コンテ。本作のドラマパートは、シナリオ→絵コンテ→アニメーション→コンポジットのフローで作成している


▲【左】先のカットのアニメーション/【右】アニメーターだけでは似せることが難しかったため、2D班がレタッチしたミサト


▲先のレタッチに合わせてアニメーターが変形させたミサト。2Dの絵心のあるデザイナーが、どう修正すれば良いのかを具体的に示したことで、一気にミサトらしい画になっている


▲先の角度からの見映えを最優先にしているため、別角度から映すと不自然な見映えになっている


▲先のカットの完成映像


©カラー ©EVABF

次ページ:
2D班が50点以上のリファレンスを作成

特集