メイキング(3):敵兵たちもフルCGで作成
ーーフルCGで作成したという「マローダー」たちの制作についてはいかがでしたか?
リー:マローダー(クラールの兵士たち)は全てCGアニメーションで仕上げています。キャラクターモデルは提供されたものですが、バリエーションを出すためにテクスチャについてはBase FXで作り直しました。23ショット分をアニメーター約10名とロト・ペインター約30名で分業しました。実写プレートはマローダー役のスタンドイン込みで撮影されているので、全てロトスコープやペインティングでクリーンアップする必要がありました。またキャラクターアニメーションについては、今回はモーション・キャプチャではなく、全て手付け(キーフレーム)で作成しています。
メイキング(4):エンタープライズ号のセット・エクステンション
ーー4つ目のセット・エクステンションについてお聞かせください。
リー:エンタープライズ号内部のセット・エクステンションの一部を担当したのですが、全部で62ショットを制作しました。大きくは2種類あって、ひとつは冒頭のクラールたちがエンタープライズ号に乗り込んでくるという強襲シーン。もうひとつはエンタープライズが撃破され、謎の惑星に不時着した後、夜になってからカーク船長たちが船内に戻ってくるシーンです。こちらでは、カラーラ(保護した異星人)が実はクラールとつながっていたことわかり、戦闘がはじまるのですが、激しいアクションを伴うためスタントマンが演じています。そのため、フェイスリプレイスメント処理も施す必要がありました。こうしたセット・エクステンションも、Base FXが得意とするところだったりします。
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image courtesy of Base FX
不時着したエンタープライズ号内部にカーク船長たちが潜入するシーンのセット・エクステンション。(上段・左)実写プレート。危険なアクションを伴うため、図中のチェコフ(アントン・イェルチン)はスタントマンが演じている/(上段・右)クリーンアップされた実写プレート/(中段・左)スタントマンの顔周りに、アントン・イェルチンの3Dスキャンデータから作成したフェイシャル・アニメーションを合成/(中段・右)背景CGを合成し、CGと実写素材を馴染ませる/(下段・左)ルックを整えた完成形
ーー今回VFXスーパーバイザーとして参加されしたとのことですが、プロジェクトをふり返っていかがでしたか?
リー:非常に短い期間で多くのことをやりとげる必要があり、これまで私の関わった作品の中では最も複雑でチャレンジングなプロジェクトになりましたね。ですが、苦労しただけ成長できたと思います。
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作品情報
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映画『スター・トレック BEYOND』
2017年2月22日(水)Blu-ray&DVD発売(予定)
<ブルーレイ+DVDセット>
価格:3,990円+税/品番:PJXF-1075
※その他のパッケージも複数ラインナップ(詳しくは公式サイトを参照)
監督:ジャスティン・リン
脚本:サイモン・ペッグ&ダグ・ユング
キャラクター原案:ジーン・ロッデンベリー
製作:J・J・エイブラムス、ロベルト・オーチー、リンジー・ウェバー、ジャスティン・リン
プロダクションVFXスーパーバイザー:ピーター・チャン
VFX制作:Double Negative、Atomic Fiction、Kelvin Optical、Rodeo FX、Base FXほか
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