<3>その他の新機能に関して
ーーBCC 11から搭載された「Broadcast Safe」はルミナンスやクロマを放送法の制限内に収めるエフェクトですが、なぜこのタイミングで放送用のエフェクトを搭載したのですか?
ヤムニツキ氏:BCCには昔から「Safe Colors」というエフェクトが搭載されていたのですが、イギリスの制作会社ITNから「Safe Colors」を放送用に特化させたエフェクトが欲しいというリクエストがあったので、放送用の機能を切り出すだけでなく多くの人が使ってもミスのないように操作を簡潔にしたものを「Broadcast Safe」として今回リリースしました。
ブレンナンド氏:多くの会社で使われるので、操作を単純化しておかないと間違いが起こるんです。それを避けるためにも特定の機能に特化したエフェクトを別に用意しました。
Continuum 11 - Broadcast Safe
ーーアップデートされた2D/3Dタイトル作成ツールのTitle Studioに関して教えてください。
ヤムニツキ氏:3Dエンジンはこれからも改良していきますが、今回のアップデートでは3Dソフトと同様の操作と被写界深度や立体の影などのレンダーエンジンが追加されました。まるで3Dソフトを使っているかのような感覚で操作が行えます。
Continuum Title Studio
ーー実に多彩なエフェクトが用意されているわけですが、これらを提供するにあたってのBoris FXとしての方針はありますか?
ヤムニツキ氏:Boris FXの製品として重要と考えているのは、まず完全なものを提供するということ、そして一貫性のある操作性です。mochaに関しても、BCCの中のmocha、Sapphireの中のmocha、そしてmocha Pro、いずれも起動してしまえばインターフェイスは同じなので、どれかひとつで操作を学習すれば他の製品に移ってもすぐに使えるという点が特長です。また、ライセンスのしくみも共通化させるためにRLMを採用しています。ライセンスファイルの中で、BCCもSapphireもmochaもすべてコントロールできるしくみです。
ーーBCCとSapphireはカテゴリ別のユニット販売もされていますね。このねらいを教えてください。
ヤムニツキ氏:ユニットのターゲットは予算の低い仕事をされる顧客で、例えばコンプリート版をもっている会社とのプロジェクトで十分な予算が出ないときに必要なユニットだけを購入して参加する、といった方々です。また、コンプリートはたくさんのエフェクトを搭載しているので、最初は何が入っているのかよくわからないかもしれませんが、ユニット化することでどんなエフェクトが入っているのかを知ってもらえる役割もあります。さらに、テスト的にどれかひとつのユニットを購入していただき、操作性や機能が気に入ったら他のユニットを追加する、あるいはコンプリートを購入する、などのステップアップにも役立ちます。
BCC 11のユニット一覧
<4>Boris FXの考えるプラグインとは?
ーープラグインに求められる要素は大きく分けて3つあると思います。ひとつは「クオリティ」、もうひとつは「効率」、そして「クリエイティブ」です。この3つに対してBoris FXではどのようにお考えですか?
ヤムニツキ氏:「クオリティ」はものすごく重要だと考えています。Boris FXのいずれの製品も自分たちができる限りのクオリティを提供しているつもりです。「効率」ももちろん重要ですが、我々はそれに加えて「安定性」も重要だと考えています。他社製品と比べても、Boris FXと同等の効率性と安定性を出している製品は数少ないと思います。「クリエイティビティ」で言うと、例えばSapphireに搭載されたリアルな月をジェネレートする「Luna」や、世界的なアーティストと組んだマルチエフェクトプリセットなどで、新しいクリエイティブを提供しています。
ブレンナンド氏:Sapphireのビルダーエフェクトを使うと楽しすぎて作業が止まらなくなるんですよ(笑)。
Introduction to the Sapphire Builder
クオリティと安定性に絶対の自信をもつBoris FX製品。BCCのFinal Cut Pro対応版も年末のリリースを予定しており、各プラットフォーム版もさらなる強化を進行中ということで今後の進化がますます期待される。