TOOL 02
Tool:ReelSmart Motion Blur
Maker:RE:Vision Effects
ここで紹介するには心苦しいほど有名なプラグインだと思いますが、せっかくなので紹介しようと思います。ReelSmart Motion Blur(以下RSMB)は、映像に対して後からモーションブラーをかけることのできるAfter Effectsプラグインです。3DCGでのレンダリング時にモーションブラーをかけると処理が重くなる上、レンダリング後の調整が難しいため、非常に有益なプラグインと言えます。
ReelSmart Motion Blur
対応アプリケーション:After Effects CS5以降、Premiere Pro CS5以降、Final Cut Pro X 10.0.8以降、Motion 5.0.7 以降、Avid Media Composer 6.0 以降(64bit)、Vegas Pro 10.0e 以降、NUKE 5.1 v2 以降(64bit)ほか
対応OS:対応アプリケーションに準ずる
価格:12,740円(AE/Premiere対応スタンダード版)、21,160円(AE/Premiere対応Pro版)ほか
問い合わせ:(株)フラッシュバックジャパンほか
www.flashbackj.com
toolfarm.co.jp
基本機能
基本的には映像素材に直接適用すればその映像に対してモーションブラーをかけることができます。モーションブラーの強さも調節可能。ただ、ピクセルの移動距離を自動認識しているため、同じようなパターンのくり返しや、花びらやパーティクルなど細かいものなどは移動が識別しにくく、ブラーが破綻することがあります。また、手前に動いているものがあると、動いていないはずの背景なども引っ張られて歪んでしまう場合もあります。そのようなときは、移動速度情報であるベクターを3Dでレンダリングし、そのベクター情報を「RSMB Pro Vectors」で参照、正しい移動値をRSMBに教えてあげることにより、破綻のないモーションブラーが可能となります。また、背景、キャラクターなど空間的に移動ベクトルの異なるものは別々にレンダリングし、RSMBも個々に適用すると破綻も少ないためオススメです。
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RSMBのコントロールウインドウ。「Blur Amount」でブラーの強さを調節できます -
花びらのような色の似た細かいパーティクルが高速で動いていたりすると、それぞれの花びらが1フレーム後にどこに移動したのか判断しにくくなり、ブラーが破綻してしまう場合があります。この画像では右上の方が大きく破綻しています
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停止している背景と高速で動いている花びらというように、前後で速度のベクトルが異なるものが重なる場合も、ブラーが破綻することがあります。この画像では花びらが通過した後の山にブラーがかかってしまっています。このような場合はRSMBに「そのピクセルがどれだけ移動したのか」を教えてあげる必要があります -
3DでVectorをレンダリングしたもの。画面に対してXとYの移動値がそれぞれG(緑)とR(赤)となって出力されます
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Vectorを適用することが可能な「RSMB Pro Vectors」。Motion VectorsでVector画像を指定します -
RSMB Pro Vectorsを適用したもの。破綻なくモーションブラーがかかっているのがわかります。アルファ付きのVectorを使い、それぞれのレイヤーにエフェクトを適用するのが良いでしょう
活用例
RSMBは非常に使い勝手の良いプラグインで、当社ではほぼ全ての案件で使用されています。非常に細かい火の粉のようなものこそ3Dでモーションブラーをかけるものの、それ以外はほとんどRSMBを使用しています。権利上実例として挙げることはできませんが、映画やゲームムービーなどキャラクターものの映像作品にももちろん使用しています。また、実写素材にRSMBをかけることにより、実写特有のノイズ感を軽減し滑らかにするという応用的な使い方もあります。
このような細かい映像に適用することも可能
実写素材。ノイズが目立ちます
実写素材に対して処理することにより、実写特有のノイズ感を軽減することも可能です。単純なブラーではなく、動きに合ったモーションブラーなので、動画として再生すると違和感はありません