TOOL 01
Tool:emシリーズ
Maker:MOOTZOID
MOOTZOIDのemシリーズはSoftimage ICEのプラグインです。このシリーズは、ICEで流体シミュレーションを可能にする「emFluid」、パーティクルの美しいレンダリングを可能にする「emRPC」、パーティクルのポリゴン化を行う「emPolygonizer」などにはじまり、魚の群れのような挙動を可能にする「emFlock」、万有引力の挙動を制御する「emNewton」など多種多様なバリエーションがあります。どれも非常にユニークでICEには不可欠なプラグインです。
emシリーズ
対応アプリケーション:Autodesk Softimage 2012以降(一部製品はMaya 2012以降、MODO 801以降、CINEMA 4D R15など対応あり)
対応OS:対応アプリケーションに準ずる
価格:299ユーロ(emFluid5)、119ユーロ(emRPC4)ほか
問い合わせ:MOOTZOID
E-mail:info@mootzoid.com
www.mootzoid.com
入手方法
emシリーズは基本的にMOOTZOIDのWebサイト(www.mootzoid.com)から直接購入することになります。サイト内のカートページ上の「Choose a plugin」のプルダウンメニューから購入したいプラグインを選択し、必要事項を記入の上「Send order request」で送信します。
MOOTZOIDのWebサイトの各プラグインページにはサンプルムービーがあり、どういったことが可能なのかがひと目で確認できるようになっています。また、インストール方法から概要、ICEツリーノードの細かい解説まで丁寧に記載されています。動画によるチュートリアルも非常に豊富で、例えばemFlockでは、5分~30分の解説動画が12本も掲載されており重宝します。迷ったらこちらをチェックすると良いでしょう。
さらに、「Download Demo Scenes」からは全部で200シーン以上の膨大なサンプルシーンをダウンロードすることも可能。使い方などはシーンを触りながら覚えていくのがオススメです。
プラグインをダウンロードしたところ。Softimageの各バージョンに対応したアドオンファイル(.xsiaddon)が用意されています
通常のプラグインと同様にインストールします
emFluid 5のサンプルシーンだけでもこんなに数があります。ひと通りの機能が紹介されているので、まずはサンプルシーンを開いて挙動やICEノードを確認するといいでしょう
基本機能
以前本誌で連載していた「ICE Garden」ではemシリーズの解説はあまりしませんでしたが、このような場で紹介できて嬉しく思います。ICE Garden番外編と言ったところでしょうか。今回全てのemシリーズを紹介することはできないので、ここでは主にemFluidについて解説します。また、当社で使用しているものは最新バージョンではなく、emFluid2(最新はemFluid5)ですがご了承ください。最新バージョンのデモ版を見る限り、機能など大きく変わっているようです。
emFluidは、その名の通りICEによって流体シミュレーションを可能にするプラグインです。エミッタとFluidBoxを用意し、コンパウンドに接続します。FluidBoxは計算が行われる範囲の指定に使われます。そして[emFluid Velocity Force from Geometry]ノードなどを使い挙動を制御します。
大まかな動きはemFluidを使ってリアルな挙動にし、それに対してICEでさらに味付けすることで、オリジナリティのある複雑なエフェクトを作成することも可能になります。また、様々なシーンで使える大量のICEコンパウンドをセットにしたemToolsは無償なので、ぜひダウンロードしてみてください。
エミッタとFluidBox。このFluidBoxの中で計算が行われます
シンプルなノード全体像。基本的にはそんなに複雑ではありません
流体シミュレーションの様子。Softimageユーザーならお馴染みのモデルが、きのこ雲のように塵になってしまいました
これをRPCでレンダリングすれば、綺麗な光のエフェクトができるでしょう。ほかにも爆発、炎、煙、流体などアイデア次第で様々な挙動が可能になります
emToolsノード一覧。これでもまだ半分以下です。様々な場面で使える大量のICEコンパウンドが無償でダウンロード可能。ぜひ入手したいところです
活用例
emシリーズはICEによるエフェクトの作成に必要不可欠と言ってもいいでしょう。遊技機案件やゲームムービーでしばしば必要とされる「オーラ」の表現などにはemFluidやemRPCが欠かせません。また、魔法のような光エフェクト、炎エフェクトの味付けなどにも使用しています。ゲームのエンディングムービーのクライマックスを盛り上げる派手なエフェクトにも役立ちましたし、ある実写映画の熔鉄エフェクトもemシリーズを使って表現しました。熔鉄の挙動はICE Gardenでも紹介したLagoa Multiphysicsを使用し、emPolyginizerでメッシュ化、熔鉄から発生する火花などはemFluidとemRPCを使用しました。
映画に使用した熔鉄エフェクトのテスト。熔鉄の挙動をLagoa Multiphysicsで作成し、emPolygonizerでメッシュ化しています。火花はICEで制御し、レンダリングにemRPCを使っています
emPolygonizerによりドラゴンの形を形成する液体。emPolygonizerは連載ICE Gardenでも何度か紹介しました。パーティクルにメッシュを張りポリゴン化するもので、液体などの表現に有効です