>   >  韓国最大級のゲーム開発者会議「NDC 17」、日米をはじめ海外クリエイターの講演も実施~「Nexon Developers Conference 2017」レポート~
韓国最大級のゲーム開発者会議「NDC 17」、日米をはじめ海外クリエイターの講演も実施<br />~「Nexon Developers Conference 2017」レポート~

韓国最大級のゲーム開発者会議「NDC 17」、日米をはじめ海外クリエイターの講演も実施
~「Nexon Developers Conference 2017」レポート~

③キャラクターデザイン(男性編)

男性のキャラクターデザインでは変形ヘルメットが導入された。「ゲーム内ではキャラクターを後ろからしか見ないのに、わざわざ手間をかけてデザインする必要があるのかという議論もありました。しかし、プレイヤーをグッと鷲掴みにする要素が必要だったんです」(キム氏)。なお、デザインを進めるうえで映画『ロボコップ』や日本のアニメキャラと被らないように注意したという。

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ヘルメットのアイディアスケッチ 有機体のイメージが強調された

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決定したコンセプトアート。顔・マスク・ヘルメット・左右非対称の鎧がポイント

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完成した頭部の3Dモデル。ヘルメットだけで100パーツに分割されており、それらがアニメーションして頭部を覆い隠すようになっている

④プリビジュアライゼーション

韓国側のキャラクター作成と並行して(トレイラーとインゲームの両方で使えるように、最初からハイクオリティなものが作成された)、中国側ではゲームの具体的な仕様が詰められ、仮モデルで戦闘モーションなどがつくられていった。それにもとづいてトレイラーの絵コンテがつくられ、プリビズが制作された。これにはキム氏自身がアーティスト出身で、動く絵で早期にイメージを固めたいという思いがあった。

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荒野をオートバイで爆走する男性アサシン

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ヘルメットが変形し、頭部を覆い隠したところ

⑤ゲーム内のバトルをモチーフにムービーを作成

トレイラーの大半はアサシンによる激しいバトルシーンで占められている。そのためにはゲーム内の特殊能力をベースに、より詳細なビジュアルで内容を補完するようなアクションが必要だ。そこでゲーム内のバトルに関する仕様が固まると、それにもとづいてプリビズが修正されていった。プリビズが固まると韓国側で実際のムービー制作がスタート。名トルの資料も韓国側に共有され、活用されていった。

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必殺技に関する様々なアイディアスケッチ

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仮モデルを用いて作られた必殺技のモーション

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ゲーム内で繰り出される必殺技(左)と、それを元にしたムービー中でのバトルシーン(右)

⑥バイクの変形

『Revelation Online』では、「全ての乗り物が飛行する」という仕様が入っている。アサシンが操るバイクも同様だ。ここでキム氏は「飛行形態に変形させたい」と考えた。「男性(そして自分)の夢をゲーム中で叶えたい」というわけだ。もっとも、他に手空きのアーティストがいなかったため、自分でやらざるを得なくなったという。変形を簡素化させるため、できるだけシンプルなリギングが心がけられている。

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バイクのフォルム(左)が飛行形態(右)に変形する。バイク自体もサソリの外骨格のイメージでデザインされており、飛行形態はカラスをモチーフとしている

バイク形態のフォルム(左)から、翼と角が飛び出し、飛行形態になる(右)

なお、プリビズの段階ではバイクが生き物のようにアクロバティックな動きをしながら敵陣の中に切り込んでいく演出がつけられていた。しかし、実際にムービーの制作を開始してみると、思った以上に時間がかかることに気がついたという。少女のフェイス修正にリソースが割かれたこともあり、このアイディアはとりやめることに。かわりにサソリの尾のような、長くしなやかに曲がる構造物で敵軍を蹴散らすアイディアが採用された。

⑦ポスター

このように中国と韓国のコラボレーションで進んだ「アサシン」クラスの制作。しかし、時には文化の違いが摩擦を生むこともあった。広報用のポスター作成はその好例だったという。トレイラーの1シーンが切り出され、いくつか候補が作成されたが、美の規準が中国と韓国で違ったのだ。最終的に「パッと見たときに女性アサシンが可愛らしく見える」という規準でキム氏が押し切ったのだという。下記はそのうちの1つだ。

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女性を抱え起こす男性、斜め上から差し込む白い光、白と黒の甲冑のコントラストといった具合に、ロマンチックなイメージが強調されている

最後にキム氏は「中国と韓国のクロスデベロップメントで、成功の鍵はコミュニケーションだった」と振り返った。重要なことはお互いの文化的な差異をみとめて、そのうえで歩み寄る努力を怠らないことだ。ちなみにキム氏は中国側のチームと個人通訳を介して(中国語=韓国語)コミュニケーションをとり、ディレクションしたという。「過去に学んだやり方を臆せずに貫き通した」(キム氏)と語る、その強靱な精神力に驚かされた。

総括

NDC17は5トラックで行われ、そのうちメイントラックと一部のセッションで日本語・英語・韓国語の同時通訳が行われた。日本語で聴講できたセッション数は計21にのぼり、韓国語や英語がわからなくても、十分に楽しめる内容になっていた。プレスを除けば日本人の参加者は少なかったが、モバイル関連のセッションが約半数にのぼったこともあり、日本からの参加も積極的に検討すべき......。そのように感じられたカンファレンスだった。

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