>   >  韓国最大級のゲーム開発者会議「NDC 17」、日米をはじめ海外クリエイターの講演も実施~「Nexon Developers Conference 2017」レポート~
韓国最大級のゲーム開発者会議「NDC 17」、日米をはじめ海外クリエイターの講演も実施<br />~「Nexon Developers Conference 2017」レポート~

韓国最大級のゲーム開発者会議「NDC 17」、日米をはじめ海外クリエイターの講演も実施
~「Nexon Developers Conference 2017」レポート~

いわゆる「ゲーム開発の民主化」に伴い、世界各地でゲームが開発されている。ゲーム産業の地域ごとの成熟の目安となるのがゲーム開発者会議で、米サンフランシスコで開催されるGDC(Game Developers Conference)を筆頭に、様々な規模の会議が一年を通して行われている。日本で毎年8月に開催されるCEDEC(Computer Entertainment Developers Conference)もそのひとつだ。その中でも異彩を放っているのが、韓国で毎年4月に開催されるNDC(Nexon Developers Conference)。業界団体などではなく、PCオンラインゲーム大手のネクソングループが主催する会議で、今年も2017年4月25日から3日間にわたって開催された。ネクソン社員以外も参加が可能で、参加費も無料、それでいて内容も高度という、世界でも珍しいゲーム開発者会議の模様をレポートする。

TEXT & PHOTO_小野憲史 / Kenji Ono
EDIT_山田桃子 / Momoko Yamada

<1>韓国で起業し日本に本社を移転、アメリカ人の新代表で世界企業をめざすネクソングループ

韓国最大級のゲーム開発者会議「NDC 17」、日米をはじめ海外クリエイターの講演も実施<br />~「Nexon Developpers Conference 2017」レポート~

ネクソンコリアのWHAT!STUDIOでディレクターをつとめるイ・ウンソク氏の基調講演。400名強の座席が満席となった

PCオンラインゲーム大国で知られる韓国。2017年の市場予測もPCゲームの7兆7000億ウォン(約7200億円)に対して、モバイルゲームが4兆4000億ウォン(約4,100億円)と倍近い(韓国コンテンツ振興院調べ)。その中でも最古参にして最大手がネクソングループだ。1994年に創業し、1996年にリリースした『風の王国』はMMORPGの草分け的存在として知られている。

2005年には本社を日本に移転し、2011年に東証一部に上場したが、ルーツは韓国だ。ソウル郊外のパンギョエリア(同地区は韓国のICT産業が軒を並べる「パンギョバレー」として知られている)には4棟のビルを構え、グループ全体の社員数は5,525名にのぼる(2016年12月31日時点)。スクウェア・エニックスの連結社員数が3,924名(2016年3月31日時点)なので、規模感がわかるだろう。

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ネクソンコリアでパンギョエリアにある4棟のビルの1つ

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上記ビルには託児所も併設されている

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ネクソングループ(赤枠)が位置するパンギョバレーには韓国ICT企業の本社ビルが軒を連ねる

その一方で、2014年にアメリカ人のオーウェン・マホニー氏が代表取締役社長に就任し、新たな成長のステップを刻み始めた。前日本法人社長の崔 承祐氏は名誉会長に退いている。マホニー氏は元EAで経営企画担当シニア・バイス・プレジデントを務めた後、2010年にネクソングループに移籍。家庭用ゲーム出身という異色の経歴の持ち主だ。

このように同社がベンチャー企業からグローバル企業に成長を続ける過程で、2007年にスタートしたのがNDCだ。初年度の参加者数は1,301名で、年々規模が拡大し、2011年からは社員以外にも開放。2016年は参加者数が20,680名と韓国最大級の会議にまで成長した(うち学生は610名)。2017年は5トラック120セッション以上で開催され、セッションごとに先着順で参加できる()。

参加者数はセッションごとののべ人数で集計

スピーカーも同社社員に加えて米AmazonRiot GamesBlizzard Entertainment、中国NetEase、フィンランドからはSupercell、さらにはインディゲーム開発者と幅広いラインアップだ。日本からもコーエーテクモゲームスクリプトン・フューチャー・メディアが登壇した。市場の成長に伴い、約半数がモバイル関連のセッションだった点も特徴的だった。

2015年からは(新社長就任の翌年だ)クロースドで開催されるNDCP(Nexon Developers Conference for Partners)も開催されている。主に欧米のパートナー企業向けに、同社のサーバエンジニアリングやマネタイズのノウハウを共有することがねらいだ。2017年はNDCに併催する形で10社23名が参加。『アラド戦記』の10年にわたる運営ノウハウや、ライブAPIの知見などが共有された。

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「Nexon Developers Conference for Partners」(NDCP)の模様

NDCP事務局長のチョン・ソクモ氏とファン・ジンファン氏はNDCPの背景に、2013年から始まった欧米の開発会社に対する積極的に投資を挙げた。その過程でコンソールゲームに強い欧米系企業と、PCオンラインゲームで実績のあるネクソンとの間で技術やノウハウに差があることがわかり、開催に至ったという。第2回目は韓国最大級のゲーム展示会「G-STAR」に合わせて開催され、翌年からNDCと併催となった。

もっとも、開催3回目で早くも技術レベルの共有が進みつつあるという。成果のひとつとして挙げられたのが、米Big Huge Gamesが開発し、ネクソングループが配信、全世界2000万ダウンロードを記録したモバイルゲーム『ドミネーションズ-文明創造-』だ。NDCPでも要素技術の解説だけでなく、今後はタイトルに紐付いた事後検証のセッションを増やしていきたいという。

『ドミネーションズ-文明創造-』PV

ただし、NDCの目的は開発者会議だけではない。会場の屋外ステージでは社員有志によるジャズバンドやコーラスなどが披露され、ネクソンコリア社内ロビーではゲームのコンセプトアートやイラストを展示。同社のクリエイティビティが様々なかたちで紹介された。天候にも恵まれ、会場周辺では多くのゲーム開発者が思い思いに楽しむ姿が見られ、ゲーム開発者のお祭りにふさわしい3日間となった。

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屋外特設ステージ「ゲーム音楽ストリート公演」による同社社員のコーラス

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「NEXON ART EXHIBITON」では同社タイトルのコンセプトアートやイラストを展示

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ゲームのロゴ制作に関する展示

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Epic Games KoreaによるUnreal Engine 4を用いたVRデモ『Robo Recall』の体験エリアも設けられた

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