>   >  リアルとバーチャルの境界を技術で超える「バーチャルキャラクターをリアルイベントへ召喚する技術」~CEDEC 2018レポート(4)
リアルとバーチャルの境界を技術で超える「バーチャルキャラクターをリアルイベントへ召喚する技術」~CEDEC 2018レポート(4)

リアルとバーチャルの境界を技術で超える「バーチャルキャラクターをリアルイベントへ召喚する技術」~CEDEC 2018レポート(4)

<2>キャラクターの世界観に合わせたディスプレイ選択

続いてはディスプレイについて。通常のモニタにキャラクターを投影する非透過表示、透過スクリーンやハーフミラーを用いる透過表示、配信・生放送用のARによる合成表示、そして特殊表示と4種類の手段があるが、岩城氏はキャラクターに合った世界観が最も重要だと言う。

「技術よりは、"そのキャラクターがどうしてそこにいるのか?"をきちんと考えるべきです。例えば出ハケ(舞台に登場することと、舞台から退場すること)に関しても、どういうふうに出てくるかを意識しなくてはいけません」(岩城氏)。キラキラしたパーティクルに包まれての登場は、「そういう世界観をもっているキャラクター」なら許されるが、そうでない場合は歩いて出てくる、暗転で消えるなど、キャラクターの世界観と合った演出を考えなくてはいけないと続けた。

また、透過表示についてもモーションキャプチャ同様、これを使えば万事解決するというソリューションはなく、それぞれの短所を理解した上で用いるべきだと説明された。例えば半透明なスクリーンに対してプロジェクタを当てる場合は、後ろの壁への映り込みを避けるために背面側から投影を行うが、そのためには投影距離を十分に取るためにステージの広さが必要となる。また、ハーフミラーの場合も、ミラーの奥側に立っているように見えるためその間に人が入ることができず、ステージ上での動線に制限を生んでしまう。周りの照明の明るさやステージの広さ、ステージ上での演者の動きを加味して、使用するツールを選定する必要がある。

続いていくつかの事例が紹介された。『Voca Nico Night Live Stage in nicofarre』(2012)では、ニコファーレの裏側でOptiTrackを用いてモーションキャプチャをしており、口パクは自動生成となっている。なお、以下の画像は実際の配信画面で、ステージに表示されたバーチャルキャラクターとは別に、キャラクターが配信映像にオーバーライドされている。また、『koyori(電ポルP) Live「World on Color」』(2013)では、Wiiリモコンのボタンで表情が変えられるようになっており、アクターの横でオペレーターが操作を行なっている。

「Voca Nico Night Live Stage in nicofarre」(2012)

koyori(電ポルP) Live「World on Color」(2013)

また、配信特化のコンテンツとしてキャラクターが配信画面のみに映る『IA生誕3周年LIVE We gotta run | IAxJumicchi』(2015)、特殊表示の事例として『ニコニコ超パーティ2016 VOCALOIDライブ』(2016)でのスモークに投影された初音ミクの映像が紹介された。煙が消えるとあっという間に別スクリーンに移っていくという、スモークの特性を活かした演出となっている。

【IA生誕3周年】We gotta run|IA×Jumicchi 【LIVE】

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<3>キャラクターアクターに演じてもらうアクト環境の構築

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