>   >  リアルとバーチャルの境界を技術で超える「バーチャルキャラクターをリアルイベントへ召喚する技術」~CEDEC 2018レポート(4)
リアルとバーチャルの境界を技術で超える「バーチャルキャラクターをリアルイベントへ召喚する技術」~CEDEC 2018レポート(4)

リアルとバーチャルの境界を技術で超える「バーチャルキャラクターをリアルイベントへ召喚する技術」~CEDEC 2018レポート(4)

<5>技術的にトリッキーなキャラクター召喚事例

その後は、"技術的にトリッキーな事例"の紹介が行われた。『ニコニコ超パーティ2015 AR×透過スクリーン×360度』(2015)では現地映像と配信映像が異なっており、現地の観客は透過スクリーンでキャラクターを見ているが、配信ではAR合成が行われており360度カメラを回転させることが可能となっている。なお、モーションキャプチャは現地でのMVNによるリアルタイム収録。

『電脳少女シロ~E3に行く!?~』(2018)では、ARライブシステムをフルバッテリ&無線駆動でパッケージングしており、モニタ1つで現地の方へのインタビューも行えるようなしくみを採っていた。

『にじさんじの部屋~でろ~んとおしゃべり編!~ in ニコぶくろスタジオ』(2018)はラジオの公開収録にバーチャルキャラクターが登場するという事例。透明な有機ELは裏側から見ると向こう側が透けるため、その特性を活かして裏側に視点用のカメラを置くことで「そこにいるかのようなカメラ視点」が得られると岩城氏は説明する。

講演の最後に、岩城氏はバーチャルキャラクターを取り巻くイベントの今後について、3Dアバターフォーマット「VRM」を含めて解説した。VRMはドワンゴが提唱する3Dモデルのデータフォーマットで、細かいモデルデータのちがいを吸収し、様々なソフトウェアで活用できるようにするしくみ。従来はFBX形式でつくったモデルデータをアプリケーションごとに設定を変えながら用いていたが、VRMなら単一ファイルで全てに対応可能となる。

その結果、「モデルデータと演出が別々に開発できるようになった」と岩城氏は説明する。これまではモデルデータを確認しながらシステムひとつひとつをチューニングする必要があったが、モデル規格が画一化されればシステムはシステムとして独立して開発できるようになるという。つまり、イベントで活用するシステム基盤を汎用化することができるというわけだ。バーチャルキャラクターを取り巻く環境を俯瞰的に説明した本講演。岩城氏は「リアルとバーチャルの境目は、技術で乗り越えられます。積極的に境目を溶かしていきましょう!」と語り、講演を締めくくった。

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