開発前半では効率化を図り、開発後半ではこだわりを炸裂
前述の通り、本作は短期間・少人数での開発を重視していたため、キャラクターやエネミーのモデル・モーション・エフェクトは並行して制作された。「膨大な数のモーションを2名でつくる必要があったので、おおまかな仕様とデザインが決まった段階で仮モデルをつくり、ダイナミクスの検証やモーション制作を始めました。完成モデルに差し替えた後の調整は必要でしたが、先行して必須モーションを仕上げたおかげで、後半では演出にこだわることができました」とモーションリードの黒瀬美樹氏は語る。人型キャラクターの場合は顔の頂点数・頂点番号や、基本的なボーン構造を共通にすることで、作業の効率化も図ったという。
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黒瀬美樹
モーションリード。『CRYSTAR -クライスタ-』では、主に人型キャラクターや零の愛犬のセレマ、ラスボスのモーションを担当。さらにモーションリードとして、モーション関連の仕様も制作。2003年にゲーム業界でのキャリアをスタートし、主にモーション制作を担当。2014年にジェムドロップへ入社し、今にいたる。
▲零の私服モデルのリグ。ボーン数は116本。右下に並ぶ15個の頭部はフェイシャル用のブレンドシェイプ。なお、バトル用モデルのブレンドシェイプは目パチ・口パクの2個に減らし、負荷を軽減している
▲人型キャラクターの顔のポリゴンは頂点数・頂点番号が共通になっており、零の法線マップやブレンドシェイブを転用することで作業の効率化を図っている
▲左から、幡田 零、不動寺 小衣、恵羽 千、777、幡田 みらい、アナムネシス、メフィス、フェレス。小衣と777はntny氏がデザインしているが、リウイチ氏の画風に合わせてあり、どれも体型は似ている。そのため基本的なボーン構造も共通になっており、セットアップやモーション制作の効率化につながった
▲ゲーム内で描画された前述のモデル
▲千のターンテーブル
▲アナムネシスのターンテーブル
「前半はなるべく効率化に頭を使い、余裕がない中でも余裕をつくっておき、後半に駆け込みでこだわりを炸裂させるというのが当社のパターンですね。今回は特にそれが顕著で、黒瀬の場合は変身シーンの演出にこだわり、エフェクト担当の石井拓也を巻き込んでねばりを見せていました」(北尾氏)。
▲零が初めて変身するカットシーン。「より感情移入できる演出にしたい」という黒瀬氏の提案により、開発後半で専用モーションと専用エフェクトが追加された
前編は以上です。後編では、ノンプレイヤーキャラクターとステージのメイキングを中心にお伝えします。ぜひお付き合いください。
・後編はこちらでご覧いただけます。
©FURYU Corporation.
info.
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『CRYSTAR -クライスタ-』
発売:フリュー
開発:ジェムドロップ
発売日:2018年10月18日
価格:7,980円(税抜)
プラットフォーム:PS4
ジャンル:アクションRPG
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