>   >  コロナ禍における小規模ゲームクリエイター、2020年の日本のインディーゲームをとりまく状況<3>
コロナ禍における小規模ゲームクリエイター、2020年の日本のインディーゲームをとりまく状況<3>

コロナ禍における小規模ゲームクリエイター、2020年の日本のインディーゲームをとりまく状況<3>

<4>まずは、ゲームエンジンをさわってみよう~インディーゲーム開発に興味がある人へ~

このシリーズの最後に、インディーゲームの開発に興味をもった方へ、どうやったらゲームがつくれるのか、そのながれを簡単に説明します。

3DCGの制作をされている方がゲーム開発にチャレンジする際は、UnityまたはUnreal Engine 4いずれかのゲームエンジンを使って挑戦することをお勧めします。理由としてはBlenderMayaZbrushなどのツールから、これらのゲームエンジンへデータをエクスポートする方法がWeb上に多くまとまっているからです。

Unreal Engine 4には、様々なゲームプロジェクトの「テンプレート」がエンジンに含まれており、すぐに自作の3DCGモデルをゲームに組み入れて試すことができます。



Unityの場合は、公式チュートリアルで各種サンプルが配布されています。

store.unity.com/ja/download-nuo



これらサンプルを開いて、ゲーム内のオブジェクトやキャラクターを自作のモデルに差し替えてみる、というのが最初のステップになるでしょう。自作のモデルを自由に動かすだけでも、大変楽しいものです。

次に、ゲームエンジンの各操作について学んでいきましょう。Unityは、公式の解説動画をYouTubeにアップロードしています。特に、最近公開された「【初心者向け】3D飛行機ゲームでUnityの基本操作を学ぼう!」については、本当にゲーム開発が初めての方にお勧めの動画です。

【初心者向け】3D飛行機ゲームでUnityの基本操作を学ぼう! (7月29日号) - Unityステーション



Unreal Engine 4を使う場合は、「猫でも分かる UE4を使ったゲーム開発 超初級編」シリーズがオススメです。タイトル通り、誰でもわかるレベルでツールの使い方を丁寧に解説している動画です。

そのほか、YouTubeにはたくさんの解説動画がアップロードされていますが、ゲームエンジンやツールのメーカー自身による動画が正確で早いソースと言えます。初心者の方は、まずは公式動画から始めて見ることが重要です。

<5>小さなゲームから始めよう

ゲームの開発には想像の数十倍時間がかかります。しかも、悲しいことにゲームの価格や販売数は、かかった時間と比例しません。これからインディーゲームづくりに取り組みたいと考えている方は、まずは余暇の時間を使って、小さな規模のゲームづくりから始めるとよいです。いきなり全ての仕事を辞めてゲームづくりに入ろうとすると、完成するまで収入がありませんから、体力が尽きてしまいます。

最初のゲームは、とにかく1プレイが短いゲームをつくることをお勧めします。キャラクターがアイテムを集めるだけですとか、弾を避けるだけといったワンアクション・ワンボタンのゲームをつくります。そのかわりに、タイトル→ゲーム→スコア表示などといった、ゲームとしての一連のながれをつくりきると良いでしょう。

次に、オンライン開催のミニゲームコンテストに参加して、たくさんの人に自分の作品を遊んでもらいましょう。出されたお題に対して1週間でミニゲームをつくる「Unity1週間ゲームジャム」というイベントや、「UE4ぷちコン」というコンテストが開催されています。

そうした経験を積んだら、小さなプロジェクトを少し発展させて、PCやスマートフォン向けのゲームをストアへリリースするか、イベントに出展してPCゲームを販売するなどで、「ゲームの対価を得る」ことを試してみましょう。ゲームをプレイヤーの手に届けるまでには、やることはたくさんあります。プロジェクトが小さいうちに販売や宣伝の経験を積んでおくことが重要です。

小さな作品をリリースしきった次に、クリアに数時間かかる規模のゲーム制作に取りかかかりましょう。そして、もしもその作品がメディアに紹介され、家庭用ゲーム機展開のためのパブリッシャーが見つかったら、インディーゲームクリエイターとして独立を検討してもいい時期かもしれません。

当然ながら、発売したゲームの売上が次の作品を発売するまで生きられるほどの収入になるかは誰にもわかりません。受託の仕事も並行して続けていくなど、ゲーム販売が上手くいかなかった場合のサブプランを常に用意しておくことが肝心です。

実は、今回の連載の中で紹介している3つの「日本のインディーゲーム作例」は、全て2D/3Dのアーティストが中心となって進めているプロジェクトです。彼らは自分自身でゲームエンジンを学習したり、開発の仲間を見つけることで、「ゲーム」という新しい表現力を手に入れています。ぜひ、みなさんも自らの世界観を「ゲーム」というインタラクティブなコンテンツで表現してみてもらえればと思っています。

日本のインディーゲーム作例紹介③『黄昏ニ眠ル街』

この作品は、前回記事で紹介したEpic Gamesのクリエイター支援プログラム「Epic MegaGrants」を取得したタイトルです。

美しい東洋風の町並みを散策する本作は、コミックマーケットなどで体験版が配布されていましたがつい先日パブリッシャー「Playism」からの発売が発表されました。Steamでのダウンロード販売が予定されています。

『黄昏ニ眠ル街』
開発:Orbital Express(nocras.wixsite.com/tasomachi
発売日:2021年
プラットフォーム:PC
store.steampowered.com/app/1015890/TASOMACHI/?l=japanese

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