>   >  より多くの人へ......。ブランドイメージを一新させたHoudiniベンダー、SideFXの次なる展望とは?
より多くの人へ......。ブランドイメージを一新させたHoudiniベンダー、SideFXの次なる展望とは?

より多くの人へ......。ブランドイメージを一新させたHoudiniベンダー、SideFXの次なる展望とは?

<2>創立30周年をむかえる今、新たに目指すものとは

ーー2017年にHoudiniは誕生30周年をむかえるとうかがいました。

デビッドソン氏:先日、VFX-JAPANで講演する機会がありました。そのときにSideFX社の歴史と、創業間もない頃の話をする際に日本のCG先駆者として知られるポリゴン・ピクチュアズやオムニバス・ジャパンが当時からのユーザーであり、今なお愛用してくれていることにもふれさせてもらいました。3DCG表現は数学的な面と、芸術的な面を上手く融合させることが必須ですが、世界的なCG黎明期から日本のプロダクションが活躍し続けていることは素晴らしいことだと思います。そして、SideFXは2017年6月26日(月)に、創立30周年をむかえます。30年ちかくも継続して、Houdiniという3DCGソフトウェアをつくりつつ、どこにも買収されることなく独立独歩を保っています。企業として独立性を保っていることは、市場で正当な評価を得られるソフトウェアをつくれる理由でもあります。当社の従業員第1号は、今でも現役エンジニアとして働いているんですよ!

ーーHoudiniは、多種多様な映像制作の現場で活用されていると思うのですが、最近の導入事例のなかでベンダーの立場から印象的だったものを教えてください。

デビッドソン氏:『GE : Raining Octopusses』というGEのCMに登場する、ソフトボディで作られたタコの表現が印象的でした。SideFX公式サイトにユーザー事例(英文)を掲載させていただいています。そのほかにもゲームシネマティクス『SMITE: To Hell and Back』や、テイラー・スウィフト『Out of the Woods』MVなども興味深かったです(両作品の事例記事もSideFX公式サイトで公開中)。映画VFXでは、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』『ベイマックス』などでも活躍しています。数え上げたらキリがありません(笑)。

『GE : Raining Octopusses』(制作:Method Studios)

Taylor Swift『Out Of The Woods』MV

SideFXならびにHoudini、今後の展望

ーークラウドコンピューティングや4K、HDRといった新たな技法や規格への取り組みを教えてください。

デビッドソン氏:現行バージョンでも4KやHDRによるレンダリングをサポートしていますし、HQueue(レンダリング・ジョブ・マネージャー)による分散レンダリングにも対応しています。もちろん今後もレンダラを改良して、より速く、より綺麗に使えるよう常に考えています。最近ではHoudini の中から、AmazonのAWSで直接レンダリングできるようにもしました。レンダラはHQueueから、クラウドというオプションを選び、そこからAmazonを選び、データセンターの選択で、東京リージョンを選んで、プリセットされたマシン構成を選んでレンダリングに使えるようになっています。そのほかにも例えば、GoogleのGCE(Google Compute Engine)も使えます。Mantraレンダラは基本無料ですので、Houdini ENGINEなどの有効なグローバルライセンスが最低1本あれば、クラウド上のマシンが何台であってもMantraによるレンダリングを実行することができますよ。

ーーHoudini Indieの位置づけを改めて教えてください。

デビッドソン氏:Houdini Indieは、収益、利益的にも、Houdini をユーザー層を厚くするという意味でも相乗効果があると考えています。また、従来までの3DCG的なアプローチとはちがったことをやってみたい、一般的な映画VFXとはまた別の表現に取り組んでみたいといった芸術的なプロジェクトもそこから生まれています。例えばKevin Mack/ケビン・マックさんは、Digital Domainで映画『ファイトクラブ』のVFXにも関わり、アカデミー賞も獲得する一方で彫刻家としても活躍する人物です。そんな彼の彫刻作品にはHoudiniが活用されているんですよ。最近ネットで話題になったパーティクルを駆使したモーションキャプチャの作品『AICP Showreel』でもHoudiniが利用されました。また『Nimbus Knights』など、VRゲームの領域で活躍中のMike Murdock/マイク・マードック氏もHoudiniユーザーなんですよ。これからもHoudiniを使いこなす新しいアーティストが出てくるのが楽しみですね。

2016 AICP Sponsor Reel - Dir Cut from Method Studios on Vimeo

Houdini Connect - GDC - Mike Murdock from Go Procedural on Vimeo.

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ーー最後に日本の Houdiniユーザーへ、そして今後ユーザーになってくれるだろうと思われる方々へのメッセージをお願いします。

デビッドソン氏:何事にも常に"変化"がつきものです。それが30年間SideFXという会社をやってきてわかったことでもあります。これからもSideFXは、常に世間に習い、常に変化してきます。この記事をご覧になった方にもぜひわれわれの変化にご期待ください。

Profileプロフィール

キム・デビッドソン/Kim Davidson(Side Effects Software, Inc. CEO)

キム・デビッドソン/Kim Davidson(Side Effects Software, Inc. CEO)

Side Effects Software, Inc.共同創業者ならびにCEO(最高経営責任者)。SideFX公式サイトにて「FROM THE PRESIDENT」を不定期配信中。
http://www.sidefx.com/
http://www.sidefx.jp/

スペシャルインタビュー