<02>XFLAG PICTURES×anima/ILCA
『モンストアニメ 消えゆく宇宙編』
▲『モンストアニメ(2017 消えゆく宇宙編)』第1話「終わりの始まり」
豊富な資料を活用した完成度の高いCG制作
『モンストアニメ 消えゆく宇宙編』で全話数の実に半分以上の尺を占めるCGパートは、animaとILCA両社の協業で制作したものだ。本作では、複雑なデザインのモンスターを原作ゲームのイメージのままアニメに登場させることが求められた。それをCGで制作することでカメラワークが自由になり、見応えのあるアクションシーンを実現している。その好例が第1話に登場したエデン。セル調の人型モンスターと比べ、色の階調が多いためアンビエントオクルージョンやスペキュラも併用して情報量を高めている。
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左から、中村友紀CGディレクター(anima)、鮎川浩和CGスーパーバイザー(ILCA)
www.studioanima.co.jp
www.ilca.co.jp
▲『消えゆく宇宙編』第1話に登場する敵キャラ「エデン」のデザイン設定と完成3DCGモデル。当初は作画の予定だったが、anima/ILCA側からの提案によりCGで制作された
CGによるレイアウトは話数を追うごとに増え、坂本龍馬も当初は提供されたモデルをリファインして使用していたが、第8話以降はモーフターゲットを作り直し、より豊かに表情が作れるようにされた。XFLAG PICTURESからのリクエストは、イメージボードやキャラクター設定資料という形で渡された。それを指針とし、具現化の手法については両社に委ねられていた。先述のエデンも自主的に試作したモデルが採用されたのだとか。また、エフェクト表現についてもイメージボードをベースにCGを活かした表現に変換していく。0から1を生むよりも1を10にすることに作業時間を使うことができたため、完成度高く仕上げられたとのこと。「「モンスト」はキャラクターがどれだけ格好良いかが大事なので、しっかりディレクションされたものが僕らのところに届きます。逆に、質問したことに対しては基本的に即日、細かく説明を返していただけました」と、animaの中村友紀CGディレクター。
▲ミロクの電撃エネルギー弾のイメージボードと、CG作業例。こうした資料が必要に応じてXFLAG PICTURESから豊富に提供される一方、具体的な制作手法についてはパートナーに一任されるため、効率良く制作が進められたという
アニメーションチェックにおいては、CgFXシェーダでハードウェアレンダリングしできるだけ精度高いルックでチェックできるように配慮された。さらにILCAが自社開発したビューア「Aquarium」も活躍したそうだ。Webブラウザベースで作られているためどこでもスムーズなチェック環境を実現。ペイントオーバーや修正前映像と修正後で比較同時再生などが可能など、4年前の導入以来、積極的に改良が重ねられている。「限られたグローバルIPからのみアクセスを許可することで、セキュリティ面にも配慮しています。」とは、ILCAの鮎川浩和CGスーパーバイザー。
今後の目標について中村氏は「観た人が納得できるアニメCGを引き続き追求してきたいと思います。そしてanimaもILCAもCGプロダクションなので、フルCG案件もぜひXFLAG PICTURESさんとご一緒できれば」と語ってくれた。
▲animaが開発した「AnimaLine」の使用例。AnimaLineのライン表現は、レンダリングするカメラを基準としてフレーム毎にポリゴンで生成される。これにより、ビューポート上での確認ができることをメリットにしている
▲ILCAで開発したウェブベースのレビューツール「Aquarium」の使用例(最終チェック時のUI)。「クライアント、協力会社様でも閲覧ができます。ftpなどを介さなくても適確にチェックを行えるので各所のレスポンスが早くなります」(鮎川氏)
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<03>XFLAG PICTURES××サンジゲン
『閃剣の神威』PV・『救済者ミロク』PV
構成_日詰明嘉
PHOTO_蟹 由香
©XFLAG