>   >  『スター・ウォーズ』という夢に向かって、走り続ける。(今川真史)「20人に聞く」<3>CGWORLD創刊20周年記念シリーズ企画
『スター・ウォーズ』という夢に向かって、走り続ける。(今川真史)「20人に聞く」<3>CGWORLD創刊20周年記念シリーズ企画

『スター・ウォーズ』という夢に向かって、走り続ける。(今川真史)「20人に聞く」<3>CGWORLD創刊20周年記念シリーズ企画

<2>短いショットの中に、自分の全てを詰め込む

CGW:ところで、休日はどのように過ごされているんですか?

今川:家でCG創作をしています。

CGW:今月からCGWORLD本誌で新連載「NEO ACT」もはじまりましたもんね。

今川:そうですね。仕事もプライベートもCG漬けの毎日です(笑)

CGW:「NEO ACT」は実写VFXを題材にしたTIPSを紹介する連載ですが、今川さんがこの連載で挑戦してみたいことはどんなことですか?

今川:これまで描いてきたものは、近未来を舞台にしたものばかりでしたが、連載ではもっとちがうジャンルに挑戦したいと思っています。SFの世界を描くことは自分にとって得意なのですが、それだけではいつか終わりがきます。だから自分の世界を広げつつ、コンポジットのテクニックをもっと磨ける内容にしていきたいですね。例えば、未来の世界を描くとしても、ネオンが印象的な夜の世界ではなく昼を舞台にしてみるとか。



新連載「NEO ACT」がスタート!
今月号から今川さんによるTIPS系の新連載が始まります。オリジナルのVFXショットを題材に、3DCG制作からコンポジットワークまで、一連の制作過程について解説していく予定とのこと。まずは、P62からの記念すべき第1回を要チェック!

CGWSNS(@masashiimagawa)には短い動画をコンスタントに投稿されていていますが、静止画の作品もあるんですか?

今川:静止画は極力作らないようにしています。CGWORLD Entry Vol.19の表紙で初めて静止画を描いたんじゃないでしょうか。最近は、時々Twitterにも静止画を投稿しているんですが、そこから動画にするためのコンセプトアートにすぎません。というのも、ハリウッドのスタジオに送るリールは、動画じゃないとダメなんですよ。だからプライベートで作る作品は、全てそこに繋がるようにしています。

CGW:なるほど、計画的に作品を作られているんですね。ハリウッドのスタジオで仕事をする際に、希望するポジションはありますか? 『第9地区』『チャッピー』の監督、ニール・ブロムカンプのようにデジタルアーティスト出身の映画監督として活躍中のクリエイターもいますよね。

今川:コンポジター職を希望しています。自分の場合、短いショットの中に自分の全てを詰め込むのが好きなので、長編を監督するということには今のところ実感がありません。短距離走者タイプというか、一瞬で力を全て発揮するのが向いているようです。

CGW:クライアントワークとオリジナル、さらにCGWORLDで連載も始まって、スケジュール管理が大変では?

今川:手が進まないときはどんどん時間が迫って正直、焦ることもありますよ。そんなときは家に帰って、自分で脱出法を見つけ出すようにしています。

CGW:脱出法を見つけ出す、というと?

今川:先日、広い街の一枚絵でどうしてもスケール感が出ない、ということがありました。悩んで家に帰っていろんな資料を見て同じようなモデルを並べてみたり、配置を変えてみたり。家でトライ&エラーを何度もくり返して実験を済ませておけば、職場では実作業に注力できます。正解への道すじを一本に絞っておくことが、効率化に通じるのではないかと思っています。

CGW:本当に熱心に打ち込まれているんですね。 先ほど「ゴールに『スター・ウォーズ』があればがんばれる」とおっしゃっていましたが、今川さんにとって『スター・ウォーズ』の魅力とは?

今川:あの壮大な世界観とメカのデザインです。幼い頃から観ているので "刷り込み" もあるかも(笑)。お正月に親戚一同で『スター・ウォーズ』を観に行くほど大好きです(笑)

Base Reconnaissance from Masashi Imagawa on Vimeo.

CGW:それはすごい(笑)。美大に入学した頃から『スター・ウォーズ』をCGで作ることを目指していたのですか?

今川:美大に進学してしばらくの間は、自分のやっていることと『スター・ウォーズ』はまったく結びつかなかったですね。授業でCGを学び始めて、突如「CG=『スター・ウォーズ』」という図式が明確になったんです。人生を全て捧げてもいいくらいに好きなことを見つけた瞬間で、そこからの成長スピードはわれながら凄まじかったです。

CGW:『スター・ウォーズ』が好きだというシンプルな思いが、いまでも今川さんを導いているわけですね。

今川:そうですね。自分は好きなものが極端で、目標も明確だったのでそれが返ってよかったのかも知れませんね。もし『スター・ウォーズ』がなかったとして、これだけ多くの選択肢がある時代に、今からCGを勉強し始めると考えるとかなり悩んだと思います。

CGW:今後、後輩ができたり審査する立場になったりすると思います。彼らに何かアドバイスはありますか?

今川:人生を全て捧げてもいいくらい好きなものを見つけられたことは、自分にとって重要でした。CGだけを見て上手くなろうとはせずもっと広い分野を見渡して、好きなものとCGが直結する何かがあると良いと思います。

CGW:連載で発表する作品を含め、何かをゼロからつくるときのモチベーションはどこから得るのでしょうか?

今川:映画を観た帰り道とかが多いのですが、電車の中から見た景色に映画の中に出てきた何かを合成してみるとどうなるかな、と思うところから始まったりします。それで、家に帰って実際に試してみる。これまで発表してきた作品はほぼ全て同じアプローチですね。

CGW:映画を観た後は創作意欲が湧くものですよね。映画と言えば、映像と音の関係も重要です。音楽で気分を盛り上げて創作に取り組むことはありませんか?

今川:ありますね。『スター・ウォーズ』のサウンド・トラックはよく聴いてます。

CGW:本当に『スター・ウォーズ』づくしだ(笑)



Profileプロフィール

今川真史/Masashi Imagawa

今川真史/Masashi Imagawa

1995年生まれ、京都造形芸術大学 キャラクターデザイン学科卒業。現在はAnimationCafe所属。大学1年次に受けた授業をきっかけに、ほぼ独学でCG・VFXを学ぶ。オリジナル短編『THE SEABED』でKLab Creative Fes'17動画部門グランプリを受賞。
www.artstation.com/masashivfx321

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