宝石の髪の表現
▲最も試行錯誤した髪の質感の変遷過程。髪の表面を滑らかにすると柔らかく見えてしまうため、髪のモデル内に屈折・反射するモデルを仕込み、硬質でシャープな印象を出した。また、透明な髪では頭の形が透けて見え、背景の映り込みなど周りの影響を受けすぎてしまうため、最終的に「透明じゃないけど透明に見える風」に修正したという。キャラクターによって対応策はまちまちだが、屈折・反射用モデルで頭を隠しつつ、マテリアルで根元や毛先の透明度を濃くし、自己照明をほぼ100%にして環境の干渉を受けないようにしている
▲V-Rayの設定。「ビットマップの組み合わせが多層にわたっているので複雑そうに見えますが、構造としてはシンプルで、屈折・反射用モデルで質感をつくり、自己照明で色をつくっているだけです。ライティングの影響はほぼ受けません」(山本氏)。なお、一部を除きバンプマップは不使用とのこと
髪の光沢表現
髪の毛は後工程での修正を考慮し、複数のパーツには分けず、まるっとひとつの素材として出力されている
▲髪の3Dモデル(左)と屈折・反射用モデル、ハイライト用の素材(右)
▲左はハイライトなし、右は屈折・反射・ハイライトありの状態。髪の質感はリアルな宝石に寄せられているが、作画アニメ的な部分も採り入れて、エンジェルリングのハイライトが表現されている
▲V-Rayの設定。「最終的に自己照明がほぼ100%のため、V-Rayの旨味はだいぶ消えてしまいました(苦笑)」とは山本氏の言
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TVアニメ『宝石の国』
TOKYO MX、MBS、BS11、AT-Xにて10月7日(土)より放送開始!
原作:市川春子『宝石の国』(講談社『アフタヌーン』連載)
監督:京極尚彦
CGチーフディレクター:井野元英二
制作:オレンジ
© 2017 市川春子・講談社/「宝石の国」製作委員会