>   >  アニメ業界就職フェア「ワクワーク2020」レポート〜ポートフォリオ指導や先輩就活生からのアドバイスも
アニメ業界就職フェア「ワクワーク2020」レポート〜ポートフォリオ指導や先輩就活生からのアドバイスも

アニメ業界就職フェア「ワクワーク2020」レポート〜ポートフォリオ指導や先輩就活生からのアドバイスも

アニメ業界の就職戦線をどう勝ち抜いたのか? 内定者座談会

アニメ業界の内定者による座談会「僕らのアニメ業界就職記」では、アニメ制作会社に制作進行として入社が決まった5人の先輩就活生が登壇。スタジオコロリドの江部我空氏、プロダクション・アイジーの高橋将大氏、サンライズの能勢崇右氏と米山智也氏、ウィットスタジオの楊 暁羽氏がそれぞれの就職活動をふり返った。


写真左から、江部我空氏、高橋将大氏、能勢崇右氏、楊 暁羽氏、米山智也氏

アニメ業界の就職活動は一般的な就活と異なる点も多く、その秘密を解き明かす座談会は、立ち見も含めて約100名の就活生が来場するほどの注目を集めた。まずはアニメ業界に就職するにあたって、「アニメの知識はどの程度必要なのか」ということが話題に。今回登壇した5人の中では、大学でアニメーションの勉強をしていたのは楊氏だけで、米山氏は理系の大学院卒とアニメとまったく異なる専攻のため、そういった知識は必ずしも必要でないことが語られた。

しかし業界研究はそれぞれが行なっており、各企業のホームページを見たり、説明会に参加したりするだけでなく、積極的に情報を得た登壇者も複数いた。特に本を参考にしたという声は多く、アニメ制作会社・トリガーの舛本和也取締役が制作進行について語った『アニメを仕事に!』や、アニメジャーナリスト・数土直志氏がアニメビジネスを解説した『誰がこれからのアニメをつくるのか?』、一般社団法人 日本動画協会が毎年刊行している『アニメ産業レポート』など、具体的な書名が上がった。

江部氏は業界研究のために、アニメ業界人が登壇するトークイベントへ足繁く通っていたことを明かした。とりわけライブハウスなどで行われるトークショーでは、説明会で語られないような本音が飛び出すことが多々あり、業界の内実を知る手助けになったと語る。能勢氏もクリエイターが公開しているネットラジオやブログのおかげで現場の様子が掴めたと話した。アニメ業界はOB訪問といった習慣が少ないこともあり、イベントやWebが生の声が聴ける貴重な機会になっているようだ。


面接では「何年後にどういった役職に就いているか?」と入社後のビジョンを問われることが多く、その質問に答えるためにも業界研究は重要である。登壇者からは、もしやりたい仕事が決まっているのであれば、具体的な年数を挙げて将来像を提示した方が良いというアドバイスが出た。しかし明確なビジョンが決まっていない場合は、まだ悩んでいると正直に打ち明けても問題はないという。一般的な就職活動と同じように無理をして嘘を付くのではなく、等身大の自分を伝えることが重要だと語られた。

応募時の課題は主にエントリーシートと作文だが、制作進行は演出家やプロデューサーへのキャリアアップに繋がる職種のため、絵コンテもしくは企画書の提出を求められる企業もあるそうだ。車の運転試験を課せられる企業が存在するのは、アニメの素材を各所に届けるために運転免許が必要な制作進行ならではだろう。面接についてはグループ面接の1回だけで決まるところもあれば、複数回にわたるところもあり、こちらも通常の就活と同様に会社の色が出るようだ。

アニメ業界にかかわらず、就活の応募条件によくある「コミュニケーション能力」については、「性格が明るいか暗いかは関係ない」という意見が出た。「コミュ力とは誰とでも仲良くなれることではなく、打ち合わせなどで言うべきことをきちんと伝えられる能力のことであり、アニメ制作に必要なコミュニケーションが取れるか否かが大事だ」という。「いわゆる"パリピ"である必要はない」との発言に、会場から笑いが起きる一幕もあった。


質疑応答では海外の留学生から「就活に苦戦しているがどうやって乗り越えたのか?」という質問が出た。実際に就職が決まった楊氏も、外国籍の制作進行はあまり多くないこともあって、就活中は不安な気持ちがあったことを明かす。ただ高校生のころからアニメ業界に入りたいと思っていたため、全ての制作会社を受ける覚悟で就活に臨んだそうだ。

実際に内定をもらってみると、社内には外国籍の先輩も意外に多かったと語っており、ほかの登壇者からも「制作会社の人間が海外に行くケースも多く、多言語を話せることはプラスになる」といったコメントが複数寄せられた。座談会のラストでは5人の登壇者が自分のスタジオの魅力と、就活生に向けてエールを伝えて、イベントは予定時間を大幅に超える大盛況で幕を閉じた。

  • アニメ業界就職フェア「ワクワーク2020」
    日時:2019年3月12日(火)11時~18時
    場所:大田区産業プラザ PiO 大展示ホール
    〒144-0035 東京都大田区南蒲田1丁目20-20
    参加対象:2020年3月卒業見込みの学生、2019年3月卒業見込みの学生、第二新卒の方々を含む、今後アニメ業界で働くことに興味をもっている全ての若者
    参加費:無料
    wakuwork.net/info/483/

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