Cygamesが手がけるハイエンドコンシューマータイトル『Project Awakening』&プリレンダーフルCG映像制作の開発状況に迫る! "最高のコンテンツを作る"仲間を募集中
『ウマ娘 プリティーダービー』や『グランブルーファンタジー』などで知られるCygames。同社においてハイエンドコンシューマーゲーム開発および映像制作に特化したアーティスト組織が、デザイナー本部内に設置されている「デザイン4部」だ。
同部では、Cygames初のAAAタイトル『Project Awakening』の開発や、完全オリジナルのプリレンダーフルCG映像の制作を行なっている。
本記事では、各チームのマネージャー3名に、本格化するこれら2案件の開発状況を詳しく聞くとともに、求めるスキル・人物像についても取り上げていく。
ハイエンドゲーム&映像特化のアーティスト組織として発足したデザイン4部
——まず、デザイン4部はどのような部署なのでしょうか。
冨野公洋氏(以下、冨野):デザイン4部は、コンシューマーゲーム開発を担うアーティストが在籍する「コンシューマーデザイナーチーム」、CG映像を担当する「シネマティクス室」、アーティストの進行管理を専門とする「クリエイティブマネジメントチーム」の3チームで構成されています。
冨野:コンシューマーデザイナーチームとクリエイティブマネジメントチームは、『グランブルーファンタジー リリンク(以下、リリンク)』の開発メンバーが中心です。大阪と東京の2拠点で活動しており、現在コンシューマーデザイナーチームには約130名が在籍しています。
糸山祐一氏(以下、糸山):シネマティクス室はプリレンダリングを主としたCG映像制作のチームで、フォトリアルからスタイライズドまで幅広いテイストの映像を制作しています。CG映像制作だけでなく、コンシューマーデザイナーチームと技術共有やカットシーンなどの映像制作においても深く連携しています。
糸山:組織の立ち上げが東京だったこと、また映像制作会社や映像系のアーティストが関東圏に集中していることから、ほぼ全員が東京のメンバーで構成されています。全体では30〜40名ほどの規模です。
中野俊彦氏(以下、中野):クリエイティブマネジメントチームはほとんどのメンバーが大阪に在籍していますが、今後東京でも規模を拡大していく方針です。コンシューマーゲーム開発における進行管理を専門とするチームで、アーティストが品質向上に集中できる環境を整える役割を担っています。チーム全体では20人ほどで、特に3DCGの進行管理に強みがあります。
冨野:チームにより東西の人数比率は異なりますが、拠点に関係なくハイエンドな知識を高め合える組織を目指し、日々連携を図っています。
——それぞれのチームにはどのようなメンバーが集まっているのでしょうか。
冨野:コンシューマーデザイナーチームは、やはり「ハイエンドなコンシューマーゲームを作りたい」という明確な意志があり、非常に熱量の高いメンバーが集まっています。メンバーの8割が中途採用ですが、2020年からは継続して新卒も採用しており、今では多くがコアメンバーとして活躍しています。
糸山:シネマティクス室のメンバーは、関東圏のゲーム会社やCGプロダクション出身が多く、海外スタジオの経験者も在籍しています。チーム内はディレクター、キャラクター、リグ、レイアウト、アニメーション、背景、エフェクト、ライト、コンポジットなどセクションごとに分かれています。さらにTAやインフラエンジニア、PMも在籍しており、チーム内で映像制作が完結できる体制を整えています。
中野:クリエイティブマネジメントチームは、ゲーム業界出身者もいますが、アニメや映像業界など、様々なバックグラウンドをもつスタッフが在籍しています。異業種であっても、「どこに注視すべきか」、「目指すべきゴールはどこか」という管理の根本的な考え方は共通しているので、それをゲーム開発に応用してもらうかたちでチームに合流してもらっています。
“ハイパーフォトリアル”を目指す『Project Awakening』
——デザイン4部で進行中のプロジェクトについてお聞かせください。
冨野:デザイン4部全体では、大小含めて10個以上のプロジェクトに携わっています。その中でコンシューマーデザイナーチームとしては、現在『Project Awakening』の開発比重が非常に大きくなっています。2016年の発表から時間がかかってしまいましたが、ようやくゲームのコアとなる部分が出来上がってきました。
——開発がこれから本格化していくような段階、ということでしょうか?
冨野:はい。これからモノ作りが一気に加速していく段階に来ています。開発メンバーは、初期から関わっていたスタッフ、『リリンク』の開発を終えて合流したスタッフなど様々です。東京と大阪が一丸となって開発を進めている一大プロジェクトですね。
——『Project Awakening』は現時点で公表されている情報が少ないかと思います。改めて、どのようなビジュアルコンセプトなのか教えてください。
冨野:ビジュアル面では「ハイパーフォトリアル」を目指して開発しています。ただ綺麗なフォトリアルというだけでなく、人物なら人物としての生々しさや生活感、泥臭さといった空気感までを表現したいと考えています。
そのためキャラクター制作では、スキャンデータをベースにしつつ、よりキャラクター性が際立つような造形を手作業で加えています。アートディレクターとアーティストが二人三脚で、頬骨を数ミリ削るような細かな調整を日々くり返しています。また、産毛やまつ毛に関しても、従来の板ポリによる表現ではなく、ストランドベースのグルーミングをできる限り採用しています。
冨野:実は本作のキャラクターは、一度全面的に作り直しをしているんです。2019年以降にCygames社内の3Dスキャン機材のバージョンアップが行われ、より高精細なデータを取得できるようになりました。そこで、バージョンアップ以前のスキャンデータとの解像度差をなくすために、全て撮り直すことにしました。
——モーション制作はいかがでしょうか?
冨野:『リリンク』でアクション制作を担当していたメンバーも参加しているため、ボタンを押した際のレスポンスの良さなどにおいてその知見を活かせていると感じています。
ただし、本作はフォトリアルな人間の世界なので、アクションのテンポ自体は『リリンク』に比べるとスローです。プレイヤーが敵の攻撃を視認して「避ける」「受ける」といった判断を楽しめるテンポまで落としており、操作のレスポンスは担保しつつも、動きの「余韻」が感じられる重厚なモーションに仕上げています。
さらに生々しさを表現するため、モーションのバリエーションを増やす方向で設計しています。例えばボタンを連打して同じコンボを繰り出したとしても、地形に段差があれば挙動が変化します。敵に関しても、ダウンした際にただ決まったモーションで倒れるだけでなく、倒れた状態のままプレイヤーを攻撃しようとしてくるなど、モンスターの「生物感」が伝わる挙動を目指しています。
——モーション制作のベースとなるのはモーションキャプチャでしょうか?
冨野:そうです。全て自社の大阪モーションキャプチャスタジオで収録しています。本作では今まで以上に膨大なモーションの数が必要になりますし、そのバリエーションを実現するために「モーションマッチング」にも対応させています。そのため、大阪のスタジオは現在フル活用している状態ですね。
——『Project Awakening』はオープンワールドゲームと聞いていますが、フィールド制作はどのように進めていますか?
冨野:「現実世界をゲームの世界にいかに落とし込めるか」というテーマで制作しています。地形は13世紀頃のヨーロッパをベースとしており、川や火山、寒冷地といった環境ごとに変化する植生や地質をルールに基づいて再現しています。背景アーティストが片手間でカバーできる領域ではなかったため、専門職として「ベジテーションアーティスト」を立て、地質学者の方と連携しながら開発しています。
冨野:一方で、岩や崖といった地形の配置はゲーム性にも直結するため、ベジテーションアーティストはプランナーやレベルデザイナーとも密に連携しています。つまり、現実の地質や植生に可能な限り沿ったロジックの上で、オープンワールドのフィールドを構築しているということです。実際にヨーロッパを旅したことのある人ほど、「こういう景色があったな」と納得感を得られるようなクオリティを目指しています。
——コンシューマーデザイナーチームにおける使用ツールを教えてください。
冨野:ゲームエンジンはUnreal Engine 5を採用しており、DCCツールではMayaやHoudiniなどをはじめ、最新技術を積極的に採り入れています。現在はクオリティラインを作り込んでいる最中ですので、色々とチャレンジしながら進化させていきたいと考えています。
コンテンツの上流でクオリティを追求できる映像制作チーム
——続いて、シネマティクス室が手がけるプリレンダーフルCG映像についても話を聞かせてください。今回インタビューにあたり、進行中の映像素材をご提供いただきました。こちらのプロジェクトについて教えていただけますか?
糸山:シネマティクス室は5年前に立ち上がったチームで、当時は開発環境をゼロから構築すること自体が大きなハードルでした。全てを自社で完結できるチームにするためには、全体ワークフローの構築や複雑なパイプラインの設計、人材の確保や技術検証など、開発のベースから整えていかなければならなかったからです。
そのためには、実際に何かしらの映像作品を制作しながら、チームのかたちを少しずつ広げていくことが必須だと考えました。そうして始動したのが、今回の映像プロジェクトです。
——なぜフォトリアルを選んだのでしょうか?
糸山:最も難度が高いから、というのが主な理由です。フォトリアルだと少しの違和感にも気づきやすく、極めて高いクオリティ基準が求められます。また、フォトリアルが制作できればスタイライズドにも応用が利きます。最新技術を扱いながらフォトリアル映像制作の経験を積むことで、将来的にあらゆるスタイルの映像に対応できる厚みのあるチームにしたい、という狙いと構想がありました。
具体的なアプローチとして、キャラクターは社内のスキャンスタジオにあるLightCageを最大限に活用し、高精細なモデルとテクスチャを構築しています。髪の表現は、ヘアアーティストの方に実際のヘアマネキンで髪型を作ってもらい、それをスキャンしたデータをテンプレートにして1本1本制作しました。モーションについても、東京と大阪のモーションキャプチャスタジオをフル活用しています。
糸山:フェイシャルはFACS(Facial Action Coding System)をベースに、80以上のターゲットパターンを作成しました。プリレンダーだからこそデータ容量の制限にとらわれず、最高のクオリティを出せるフローの構築を目指しています。また、制作パイプラインではUSDフォーマットを採用し、非破壊的かつ効率的なワークフロー導入を進めています。
——そうして、チームとしての基礎をつくっていったわけですね。
糸山:そうですね。チームが2~3人しかいなかった状態から始まり、あるセクションのスーパーバイザーがジョインしたら、その部分のワークフローの構築を進めるといったかたちで、少しずつ規模を広げていきました。
今回の映像はまだ制作途中ではありますが、ひと通りコンポジットまでは終わっている段階です。ゼロから立ち上げたシネマティクス室が、いったん全てを作りきれるフローを構築できたことで、現在はスタイライズドも含めた他のプロジェクトも並行して受け持てるようになりました。
——Cygamesで映像制作をする面白さはどこにありますか?
糸山:コンテンツの上流に関わり、クオリティを追求できる点だと思います。パブリッシャーの中に内製の映像制作チームがある会社はそう多くはありません。「自分たちはこれがやりたい」と提案ができ、クオリティを追求できるチャンスが多くあるところが大きな魅力ではないでしょうか。
制作管理で最高の開発現場をクリエイトする
——クリエイティブマネジメントチームについて、改めて業務の範囲を教えていただけますか。
中野:クリエイティブマネジメントチームの大きな業務には、「制作進行」と「プロダクションマネジメント」の2つがあります。
制作進行は、スケジュールや進捗の管理、各セクションの前後工程との連携調整、そして外部協力会社との作業面における窓口業務を主に担っています。
プロダクションマネジメントは、大まかには外部協力会社との契約周りの窓口対応や、進行における円滑な関係構築、新規の外部協力会社の開拓といったものです。役割としては、ベンダーマネジメントに近いですね。
——プロジェクトの中ではどういった動きになるのでしょうか?
中野:『Project Awakening』を例に挙げますと、管轄は「コンシューマーゲームにおけるアーティストセクションを中心とした管理業務」となります。本作のような大規模開発になると、われわれのような管理の専任チームが必須ではないかと思います。
タスク粒度まで分解した業務役割は膨大で、各パートのリーダーが進捗管理やタスク割り当てまで行なってしまうと、本来のリーダー業務である「成果物の品質担保」に割く時間がなくなってしまいます。アーティストがアート品質を高めることに集中できるよう、管理周りをクリエイティブマネジメントチームで担っているというかたちです。『Project Awakening』では、アーティストのスケジュール提案や、タスク管理を含めた外部協力会社とのやり取りは、クリエイティブマネジメントチームが主導しています。
冨野:『リリンク』開発時の話ですが、当時はまだ人が不足している時期も多く、リーダーの管理業務が増えていく一方でした。そんなときにクリエイティブマネジメントチームが並走してくれることで、管理業務を安心して任せられる強みを実感しました。
開発規模が大きくなるとリーダーの業務はどんどん膨らみ、周囲から見ても大変なポジションになってしまいます。それでは「リーダーになりたい」という人がいなくなってしまう可能性もありますが、管理周りをクリエイティブマネジメントチームが引き受けてくれることで、本来のリーダー業務である品質担保に注力しやすい環境づくりに繋がっています。
「クオリティアップに集中できる」というのはアーティストにとって非常に魅力的で、実際、リーダーを志望してくれる人も増えています。『Project Awakening』に限らず、組織全体の成長において非常に心強い存在ですね。
——クリエイティブマネジメントチームがチームとして掲げる目標を教えてください。
中野:当社は「最高のコンテンツを作る会社」というビジョンを掲げています。これを達成するために、クリエイティブマネジメントチームでは「最高のコンテンツを作る現場をクリエイティブマネジメントチームがクリエイトする」というチーム独自のビジョンを設定しています。
その上で、メンバー個人のレベルで重要になるのが、管理業務の「能力」と「マインド」です。特に「問題をいかに未然に防げるか」というマインドは重要です。将来的に見込まれる課題やリスクを自ら拾って、期日から逆算してアプローチし、解決に向けて動いていく。そうしたマインドをいかに強くもてるかが大切です。
3チームの求める人物像とは
——それでは最後に、それぞれのチームが求める人物像を教えていただけますか?
冨野:コンシューマーデザイナーチームとして最も求めているのは、さらなるクオリティアップを牽引できるスキルをもった即戦力のリーダーです。職種としては、特にキャラクターモデラー、 エフェクト、ライト、フェイシャルアーティストのニーズが高いです。
『Project Awakening』はまだまだクオリティを突き詰められる段階にあります。世界基準のAAAタイトルとして「Game of the Year」の獲得を本気で目指していますので、この大きな挑戦に力を貸してくれる熱い方をお待ちしています。
糸山: シネマティクス室では、各セクションで必要なスキルや知見を備えていることを前提とした上で、その技術や視覚表現をどこまで突き詰めたいかというパッションを何よりも重視しています。お客さまに驚きや感動を届けたいという強い意志をもち、琴線に触れるような作品を一緒に作りたいと思っている人を求めています。
スキルももちろん大切ですが、強い意欲を持つ方であれば経験年数にかかわらず、ぜひ来ていただきたいです。技術は後から付いてくる部分も多いですが、根底にあるパッションやモノ作りにおける姿勢を外から変えることは難しいからです。
Cygamesは「最高のコンテンツを作る会社」というビジョンを、本気で実践している会社です。情熱を形にしやすい環境が整っていますので、強い気持ちをもった方はどのセクションでもぜひ来ていただきたいですね。妥協のないクオリティを追求するために、ときに切磋琢磨しながら同じ目的に向かって突き進める、そんな熱い方からの応募をお待ちしています。
中野:「最高のコンテンツは1人で作るのではなく、全員で力を合わせて作るもの」という“チーム・サイゲームス”の思想に心から共感してくれる方、そして、自ら見つけ出した課題の解決を完遂できるマインドの持ち主を強く求めています。制作管理やプロダクションマネジメントの経験も大切ですが、それ以上にこのマインドの部分を重視しています。
また、コミュニケーション能力も重視しています。これは「相手が何を求めているのかを察知する力」や「自分の意図を相手にわかりやすく伝える力」を指します。さらに、お互いにとって最適な着地点を見つけ出し、Win-Winの状態に落とし込めるホスピタリティも不可欠です。こうした素養をお持ちの方は、ぜひ積極的にアピールしていただけると嬉しいですね。
加えて、チームの強みとして、海外の外部協力会社との連携が挙げられます。そのため、英語や中国語などの他言語を扱い、ビジネスレベルのやりとりができる語学力を備えている方も求めています。
Information
Cygamesデザイン4部では、本記事に登場した3名による採用セミナーを開催予定!
奮ってご参加ください!
アーティスト採用セミナー
日時:7月28日(火)19:30〜
形式:オンライン
登壇者:
冨野公洋氏(コンシューマーデザイナーチーム マネージャー)
糸山祐一氏(シネマティクス室 サブマネージャー)
中野俊彦氏(クリエイティブマネジメントチーム マネージャー)
TEXT_谷原象牙
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)