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プロが意識しているポイントに習う<br />背景イラストレーターに学ぶアートを描くときの考え方

プロが意識しているポイントに習う
背景イラストレーターに学ぶアートを描くときの考え方

Point 02 明暗でモチーフを描く

全てのものは明部と暗部で構成されています。デッサンで形や立体感を出すとき、白い紙に暗さを乗せて形を描き出していきますが、デジタルで描く場合も同様です。近くにあるものも遠くにあるものも、光の当たった明るい部分と陰の暗い部分を描き分けて形を出します。

1:遠景の場合

昼間の場合、遠景にあるものは光や空気の重なりで明るくなったり、青みがかったりして認識できる色数が少なくなります。暗い部分を全てつなげて描いても違和感は出にくいです。情報量が少ないと浮き出てこないので、遠景は割り切ってあっさり描く方が奥行きのある絵になりやすいです
・色......赤いものはオレンジや黄色などに色味が変化する
・影......空や環境の色が混ざる

2:近景の場合

光や空気の重なりはほとんどないので、そのもの本来の固有色がよくわかります。暗い部分は影と陰に分けて考え、色の変化をしっかり出すと存在感が増します。反射光や映り込み、ハイライトなど、表現の要素を近景にいたるまでどんどん増やして描き込みを増やすと、破綻のないバランスのいい絵を描くことができます

3:存在感を出すポイント

モチーフの存在感が薄く、のっぺりと感じたら、面にグラデーションのように色の変化があるか確認してみましょう。ザラザラとした質感があるものはタッチを増やしたり、ツルツルしたものには映り込みを描き込んだり、ひと手間でグンと存在感が増し、手前に浮き出てきます

まとめ:明暗の色選びはしっかりと!

遠景は簡単に、近景はしっかり描くとよく言いますが、そのコントロールは最初のうちは難しいと思います。影の色や光の当たった部分の色に着目し、色選びに悩んだら、遠景と近景それぞれに存在できる色を使っているかを考えます。特に影の色は目安になりやすいので、常に気を配ります。色に違和感がなければ、描き込みを近景に行くほど増やしていきます。

Point 03 構造を考えながら描く

木を描くと決めて、いきなり描き始めて上手く描ける人はなかなかいません。まずは参考となる写真や実物を見て、どういう構造をしているのかを頭の中で整理します。また、背景や風景に限らず、絵として実物のものを表現する際はそのモチーフをそのまま描くのではなく、「それらしいもの」の特徴をしっかり出して描くのがコツです。

1:木の構造 ~葉の塊の重なり~



  • 木と葉の塊を用意します。木は細かい葉を1枚1枚描くとリアルになりすぎたり、情報量が多くなりすぎて絵の中で浮いてしまうので、いくつかの葉の塊で構成すると良いです



  • 葉の塊を、重なりを意識しながら配置してみます。赤枠手前の葉の塊から他の葉の塊に影を落としてみます。当然のことながら、それぞれの葉の塊は影を落とします。立体感が出ないときはそれぞれの葉の塊がどう影響をしあっているのかを考えてみます

コントラストを上げて、暗くなる部分をくっつけてみました。影の中では一部の葉の塊が暗くなり、認識しづらくなっています。また、葉や木の隙間もところどころあり、シルエットを描くときは意識して塗り残すべき部分も見えてきました

2:木の構造 ~シルエットと明るさの表現~



  • 木の構造を意識しながらシルエットを描きます。手前の葉から奥の葉までは距離があるので、その空間を表現するため、葉の隙間のあたりを少し明るくします



  • 葉の塊と幹の明るい部分だけ描き加えます。葉の構造で確認した明るい部分のみを描くだけでも立体感が出ます

明るい部分の中でも暗くなる部分を想像して色を塗り分けます。最後に手前の数か所に細かい葉を描き加えて完成です。細かい葉を全て描こうとすると、枝ごとの葉のまとまりや、奥への葉の回り込みの表現が難しくなるので、細かい葉は要所のみに描き入れるのをオススメします

観察によって"気づく"ことが絵には大切

背景や風景は自分で見てきたものや経験を基に描くものです。ファンタジーイラストでさえ、ほとんどのものが今までの経験で培ってきたものを組み替えて構成しなおしたものです。光や影の関係など、基本となる部分は(意図的に世界観を変更しない限り)変わるものではありません。上手くいかないときは外に出て実物を観察してみましょう。私の経験上、絵で悩むときは「わからない」のではなく「気づいていない」ことが多かったです。調べる段階に到達するためにぜひ観察してみてください。何がわからないのかがしっかりとわかれば人に頼ることもできます。そして、わかったら、まだ気づいていない人に教えてあげてください。そのくり返しで自信を手に入れていきます。



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