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クリエイティブ・ロードテスト<br />ATI FirePro V8800/5800(後編)

クリエイティブ・ロードテスト
ATI FirePro V8800/5800(後編)

個人的な導入の目安

V8800 と V5800 の描画パフォーマンスについて、実際のCG・映像制作に即したクリエイター主観と、ベンチマークソフトによる客観の両面から見てきたがいかがだっただろうか? どちらも FirePro 3D Graphic シリーズの最新モデル(2011年1月上旬時点)だけあり、筆者としては非常に高い性能を実感することができた。

「機械なのに生きているようだ」、「電子機器なのに人にやさしい」というのは、Apple製品に対してよく聞くコメントである。今回のレビューでは、まさに同様の印象を V8800 と V5800 に抱いた次第。グラフィックスボード本来の役割を突き詰めると、GPU が演算した結果を、画像情報として表示デバイスに伝達する、ということになるのだろうが、両ボードには良い意味で人間臭いというか、数値至上主義とは違うベクトルの開発姿勢を感じた。思い込みかもしれないが、エンジニアだけでは気が付かない、いや、気付いていたとしても価値として見出さないアイデアがこの製品には埋め込まれている気がする。単純なハイスペック化、高機能化とは別の視点から、ユーザビリティを考慮しながら設計されているように感じるのだ。その象徴が、上述した RGB 10bit 出力による素直な画づくりである。少しでも興味を持った人には、ぜひ実際に自分の目で確かめてもらいたい。

FirePro V8800/5800製品カット

ウルトラハイエンドモデルに位置付けられる ATI FirePro V8800(奥)と、同ミドルの V5800(手前)

最後に、ヴィジブレックスという映像プロダクションの機材購入を担当する筆者の視点で購入するとしたら、ATI FirePro V5800 と FlexScan SX2262W の組み合わせである。この組み合わせで可能となるRGB 10bit 出力の滑らかな階調と忠実な色再現性に大いに魅了されてしまった。SX2262W は現在実勢価格で6万円ぐらいなので、個人のパフォーマンスを重視するフリーランスや、プロダクションの中でもエースに位置付けられるデジタル・アーティスト向けに、この組み合わせで3画面環境を構築するというのは大いにアリだろう。タイム・イズ・マネーとは言うが、時間はお金で買うことはできない。費用対効果を最大限に引き出したいのであれば、導入を考えてみてはいかがだろう?

FirePro V8800、同V5800、同V8750の主立ったスペック一覧

V8800とV5800、そして後編で解説するパフォーマンス検証時に比較した前世代の最上位モデルV8750の主立ったスペック一覧。現行シリーズではV8800のさらに上位モデルとして1枚で6画面表示が可能なATI FirePro V9800もラインナップされている
 

TEXT_田中啓生(VISIBLEX
PHOTO_弘田 充・大沼洋平
SPECIAL THANKS_株式会社ナナオ、日本ヒューレット・パッカード株式会社

「ATI FirePro」ロゴ

ATI FirePro 3D Graphicsシリーズ

問い合わせ先:株式会社エーキューブ
TEL:03-3221-5950

FAX:03-3221-5953
エーキューブ公式サイト

『TOKYO GIRLS COLLECTION 2010 A/W』の「洋服の青山」ステージ映像

『TGC '10 A/W × 洋服の青山』

今回のレビューでは、昨秋にVISIBLEXが制作した、ファッションイベント『TOKYO GIRLS COLLECTION 2010 A/W』(第11回 東京ガールズコレクション)の「洋服の青山」ステージ映像を使用させて頂いた。改めてご協力に感謝したい。

 
『TOKYO GIRLS COLLECTION 2010 A/W』「洋服の青山」ステージ映像
制作:有限会社ヴィジブレックス
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