>   >  『SUSHI POLICE』にみる、"クリエイターがオリジナル作品をつくる"ということ。Vol.1:企画&プロデュース
『SUSHI POLICE』にみる、"クリエイターがオリジナル作品をつくる"ということ。Vol.1:企画&プロデュース

『SUSHI POLICE』にみる、"クリエイターがオリジナル作品をつくる"ということ。Vol.1:企画&プロデュース

<2>どこか憎めないアンチヒーローで、海外の人からみたステレオタイプな日本人像とは

両社の出会いは、KOO―KIがセディックのモーションロゴ制作を担当したことだったという。「お互いにオリジナルのアニメーション製作に興味があったことから意気投合しました。セディックさんが『SUSHI POLICE』の企画をおもちで、海外の見本市などで商談相手から『その企画は何?』と高確率で聞かれるほど引きが良かったそうなのですが、まだ文字資料の状態であることを知り、ぜひパイロット版を制作させてほしいと志願したんです」と、木綿達史監督(KOO-KI代表取締役社長)は企画の経緯をふりかえる。

2013年末からプリプロダクションがスタート。「種はセディックさんが、それをどのように花開かせていくのかが自分たちの役まわりでした。実のところ劇場作品でもTVシリーズでもアウトプットは何でも良くて、とにかくオリジナルコンテンツの実績がほしかった、というのがそのときの本音でした(笑)。万が一、企画が難航した場合でも質の高いパイロット映像をつくることさえできていれば次のチャンスがやってくるだろうと。おかげさまで、こうしてテレビ放送開始までこぎ着けたのですが、今はまた別の苦しみの只中にあります(苦笑)」(木綿監督)。

短編シリーズ『SUSHI POLICE』第1回:企画&プロデュース

(後列左から)告畑 綾コンポジター、河原幸治プロデューサー、木綿達史監督、中石賢悟プロダクションマネージャー兼コンポジター/(前列左から)山内香里デザイナー、阿部晋之介コンポジター、川越洋輝プロダクションアシスタント、小堤 愛プロダクションアシスタント。以上、KOO-KI

具体的なデベロップメントについて。KOO-KI社内でまずは『スシポリスって、どういった人たちなのか?』というブレストを行い、キャラクター設定や世界観などにまとめ上げていったという。「大元の企画書は文字のみだったので、ほぼゼロからのスタートでしたが、それがかえって自由度も高くスムーズにプランをまとめることができました。具体的には、公務員のような融通のきかなさ、生真面目な日本人気質によって『日本の食文化を守ろう』という意識が暴走してしまい余計なトラブルを巻き起こす奴ら、つまりアンチヒーローとして描くという路線に定まりました」(木綿監督)。

海外展開を考え世界でも通用する日本人キャラクターを目指し、ホンダ、スズキ、カワサキという3名のアンチヒーローが生まれ、その主要キャラクターのデザイン的には、海外からみたステレオタイプな日本人はどんなだろう? というリファレンスを探していくなかで、海外のアーティストに依頼することにしたとのこと。

短編シリーズ『SUSHI POLICE』第1回:企画&プロデュース

メインキャラクター「スシポリス」の3人。右から順に、スズキ(データ分析官)、ホンダ(リーダー)、カワサキ(アンドロイド捜査官)。「社内でブレストするなかで、キャラクター名は世界にも通じる日本的な名前というアイデアが出てきました。当初は、ホンダ、カトウ、タナカだったのですが、より世界に通じる名前ということで、ホンダ、スズキ、カワサキに決定しました」(木綿監督)

「KOO-KIには、VITO(ビト)というドイツ生まれのイタリア人ディレクターが在籍しているのですが、以前に彼からトビ君(TOBI TOREBURUYA氏)を紹介してもらったことがあり、その素晴らしいセンスから一緒に仕事をしたいと前々から思っていたんです。そこでトビ君にスシポリス3人のデザインをお願いしました。眼鏡やスーツ姿といった外国人が思い描くステレオタイプな日本人をモチーフにデザインを固めていきました」(木綿監督)。

スシポリス以外のメインキャラクターのうち、サラとマダム・フジという女性(メス猫)キャラは福岡を拠点に活躍するイチノミヤモトヒロ氏が担当。その他のサブキャラクターならびにプロダクションデザイン(美術)については、福岡の新興プロダクションTriF studioに在籍する塗壁氏オカモト氏が担当。両氏は背景から小道具までデザインに関わるほぼ全てを手がけているそうだ。「お二人とも本当にものすっっっっっごく優秀で、今回の影の功労者です。世界観の大部分を担ってくれました」(木綿監督)。

短編シリーズ『SUSHI POLICE』第1回:企画&プロデュース

サラ(中央)。横暴な取り締まりを続けるスシポリスを糾弾しようと躍起になっている。サラとWFCO(World Food-culture Conservation Organization、世界食文化保存機関)事務局長の秘書であるマダム・フジという女性(メス猫)キャラについては、マーチャンダイズをねらうべく日本人の感性に訴えられるキャラクターが描ける日本人イラストレーターということでイチノミヤモトヒロ氏に白羽の矢が立てられた

© "SUSHI POLICE" Project Partners


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<3>3DCGへの強いこだわり

Profileプロフィール

空気/KOO-KI

空気/KOO-KI

『SUSHI POLICE』中核スタッフ

(後列左から)告畑 綾コンポジター、河原幸治プロデューサー、木綿達史監督、中石賢悟プロダクションマネージャー兼コンポジター
(前列左から)山内香里デザイナー、阿部晋之介コンポジター、川越洋輝プロダクションアシスタント、小堤 愛プロダクションアシスタント

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