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芸術性と技術力に裏打ちされたクリエイティブ集団、Triple Additional(+++)〜『creating a fantastic world』VI

芸術性と技術力に裏打ちされたクリエイティブ集団、Triple Additional(+++)〜『creating a fantastic world』VI

絵筆とデジタル・ツールは同じ"道具"

さて、Triple Additional(+++) のメンバーの経歴を見てみると、クリエイターとしての出発点が映像ではなく、彫刻や油絵という他分野であるというのが興味深い。実際、『creating〜』のディレクションを務めた小張氏は、油彩を専攻していたが映像制作に興味を持ったのも大学生活後半の授業で動画制作をしたことがきっかけだったそうだ。
「影響を受けたのは、画家の レオナルド・クレモニーニロバート・ラウシェンバーグ の 2 人です。映像に関しては、映画は好きでよく見ていたんですけど、まさか自分で映像を作るとは思ってなかったので(苦笑)、正直インスパイアされた作品というのは今のところ思い当たりませんね」。

映像制作に興味を持ったのを機に、After Effects などのデジタル映像制作ツールを使い始めたというが、それまでは油彩をはじめとするアナログ創作しかしていなかった身として抵抗はなかったのだろうか。
「僕個人としては、アナログもデジタルもどっちも好きなんです。絵筆も AE も、あくまで道具のひとつですから。頭の中で描いているビジュアルイメージを具現化する上で、もっとも効果的な道具を使うことが何よりも大切だと考えています」。


小張氏が自主制作したフルCG短編 『phase』SIGGRAPH 2009artfutura 2009 など国内外の映像コンペで入選を果たした

3DCG に関しても、働き始めてから数年は触ったことがなかったそうだが、とある案件で 3DCG を使いたいと思ったのがきっかけとのこと。
「始めに 『表現したい!』 という意欲があれば少しずつかも知れないけど、着実に新たな技術は身に付きます。挫折してしまう人は多分、何を表現したいかではなく、とにかく 3DCG の技術を全て覚えようとしてしまうのが良くないのではないでしょうか。僕だって、未だにスクリプトは苦手ですからね(笑)」。上に載せた 『phase』 という作品が誕生できたのもひとえに小張氏の "これを描きたい" という意欲があってのことだろう。

そして、高久氏も次のように続ける。「デジタルかアナログかを問わず、出来ないという言い訳をしてはいけないと思っています。目指すビジュアルを実現させる上で、新たな技術が必要になるとしたら限られた条件下でどうやって身に付けるか、あるいは自分だけでは無理でも+++のメンバーや外部のパートナーさんに協力してもらえないかといった具合にとにかく『現時点では出来ないから無理』とは言わずに、常に挑戦心を忘れずにいたいと思っています」。少々きつい言葉にも聞こえるが、アナログにせよデジタルにせよ、理想の画を生み出す上では相応のテクニックが不可欠である.....というのは、もっともな話だ。

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