>   >  exsaが解説 現場で今すぐ使える!!遊技機向け映像制作テクニック
exsaが解説 現場で今すぐ使える!!<br />遊技機向け映像制作テクニック

exsaが解説 現場で今すぐ使える!!
遊技機向け映像制作テクニック

Topic 02 ノイズを使用した文字の発光エフェクト

ここでは岩壁に書かれた文字が徐々に発光していく表現について解説していく。普通に発光させるだけでは岩に書かれている質感が薄れてしまうため、フラクタルノイズを使い、にじみ出るように発光させる。
まず、ノイズのコントラストの設定を2,000近くの強めの設定にし、明るさのアニメーションを使ってにじみ出るようなマスクを作成 。より複雑な不均一さを出すため、ノイズ3種類をステンシルルミナンスキーで重ねて文字に適用した。このコンポにSapphireのS_Glowを適用して発光したイメージにする。さらに、黄色に発光させたコンポの上に同じコンポで赤色で発光させたものを重ね、フラクタルノイズのコアとなる部分とエッジに近い部分との温度差を表現した。最後に、文字の中心から外側に向かって暗くなっていくグラデーションを重ね、中心部分と外側で輝度が均一にならないように調整を加える。プロシージャルテクスチャの均一感を崩してメリハリを付け、派手な印象へと近づけていく



フラクタルノイズは様々な場面で使う非常に使用頻度が高いエフェクトのひとつだ。今回は明るさによるアニメーションでにじみ出るようなマスクを作成した


設定の異なるフラクタルを複数枚重ねることによって、より複雑なアニメーションになるように調整。単純なエフェクトも重ね合わせることでディテールをアップさせることができる


にじみ出るアニメーションの文字の発光エフェクトとしてSapphireのS_Glowを使用している(A) 。温度表現のグラデーションを入れることにより、リアリティが増す(B) 。マグマなど熱をもって発光している物質などを参考にして、見映えの良い色味になるように調整。さらに、Sapphire Gradient Radialを使用して外側に向かって暗くなっていくグラデーションを重ね、中心の輝度が高くなるようにしてメリハリを付けていく(C) 。こうすることで遊技機らしい派手な印象となる



Topic 03 FIX時のキメのエフェクト

文字がFIXする瞬間は、最も派手に演出する必要のある重要な部分である。迫力ある表現にするためにロゴオブジェクトはElement 3Dで制作し、動きを3D的に表現した。ハイライトの入り方や反射の映り込みもロゴの動作や形状によってアニメーションするため、存在感や重量感が増し、豪華に見せることが可能だ
また、ロゴが張り付くタイミングに合わせ、衝撃波のような形状のエフェクトを発生させ何層も重ねることにより、衝突の勢いや高速感を出している。円にTrapcode Shineをかけた放射状の衝撃波のエフェクト、スクロールするフラクタルノイズにシリンダで円筒上にし広角カメラで放射状に変形したエフェクト、このふたつを重ね合わせ、S_Warp Vortexをかけて渦状に変形し、螺旋を描きながら広がるエフェクト素材とした
ほかにも中心で弾ける金属の火花や火の粉のようなエフェクト素材をParticularなどにて制作し、派手さやランダム感を追加し厚みをもたせている。Particularの設定、Turbulence FieldのAffect PositionとScaleで全体の動きが大きなうねりになるよう調整。パーティクルの発光はS_Glowと、厚みをもった発光にするためTrapcode Shineを併用し調整してある。
これらのエフェクト素材をロゴの動きに合わせて合成するのだが、ロゴにも発光アニメーションを付与することにより、衝撃エフェクトとのバランスがとれるよう調整している。張り付いた瞬間のロゴ上を左から右へ流れる反射エフェクトは、白色平面をマスクでアニメーションさせたものに、Element3Dのノーマルマップを利用したディスプレイスメントマップをかけ、立体感のあるスペキュラアニメーションを表現している



ロゴはElement 3Dを使って制作。質感を描き込んだテクスチャのディフューズ、反射を制御するスペキュラ、立体感を追加するノーマルマップ。それぞれテクスチャを割り当てて質感を上げていく


円にShineをかけて勢いのある衝撃エフェクトを制作(A)。ほかにもフラクタルノイズを極座標で円状にする、パーティクルを放射状に飛ばすなどの作り方がある。また、(B)はノイズと3Dカメラを利用した放射状エフェクト。円筒状に丸める際に発生するつなぎ目の処理をぼかすなどしてなじませている。そして、(C)が放射状エフェクト完成画像。今回はSapphireのS_WarpVortexを使用し、螺旋状になるように調整した。おおもとのテクスチャを変更することにより、様々な表現が可能だ


制作したパーティクル。Turbulence Fieldの設定はリアルな動きを表現する際、重要な設定項目となる。今回はAffectPositionとScaleを調整し、大きなうねりを表現した。また、動きを調整した後はShineとS_Glowで発光感を追加している


反射エフェクトの動きは白色平面をマスクし、アニメーションさせることで表現した。ロゴモデルのライティングやリフレクションなどの方法もあるが、マスクでのアニメーションが一番求める動きに調整しやすかったため、今回はその手法を採っている。Element 3Dにてノーマルマップを生成し、ディスプレイスメントマップに適用して平面を押し出すことで、ロゴの立体に沿ったハイライトを表現した。なお、ノーマルマップが水色ではなくなっているが、これはロゴ表面の傷などの質感がハイライトに影響されるよう凹凸の値を大きくし誇張しているため



まとめ たくさんの手法で表現の幅を広げよう

遊技機映像の中で、特に「当たり」のタイトル出現エフェクトは、遊技者が最も熱くなれる場面であるため、制作する側にとっても力の入る箇所である。制作者は遊技機の演出意図を正しく理解し、それを表現するにふさわしいを手法を、たくさんの引き出しから選択していくことが重要だ。今回、紹介したのはその一部であるが、exsaでは様々なニーズに応えられるよう、幅広い表現のテクニックをストックし、効率化を図っている。これからも日々進化する遊技機向け映像において、特有の表現にしばられず、これまでにない新たな手法も常に模索し、さらなる品質の向上を目指していくつもりだ。

TEXT_exsa 制作部
エフェクト・コンポジット:須田 尭(名古屋支社)
ロゴデザイン:田川杏美(福岡スタジオ)

リンクの画像

exsa

exsaは東京、名古屋、福岡に制作拠点を置く映像制作会社。ハイクオリティな3DCG映像の企画製作のほか、遊技機の企画開発を行なっている。
4月より札幌に新拠点を開設。各拠点にて絶賛人材募集中!詳細はこちら
www.exsa.jp

制作環境
●OS:Windows 7 Professional 64bit
●CPU:Intel Xeon E5-1620 3.6GHz
●RAM:16GB
●グラフィックスボード:NVIDIA Quadro 2000
●使用バージョン:After Effects CS6
exsaのYouTube公式チャンネルにて、
今回制作した動画を公開中
●exsaチャンネル
www.youtube.com/exsacorp
●動画直リンク
youtu.be/w1XHcxdzRgQ

特集