>   >  デジタル造形師による交流会『デジタル原型交流会 第6回』レポート
デジタル造形師による交流会『デジタル原型交流会 第6回』レポート

デジタル造形師による交流会『デジタル原型交流会 第6回』レポート

<2>原型師のYOSHI氏(@trepanger)、片桐氏(@katagirigiri)による「原型師、フィニッシャー、製造みんなが幸せになる分割」

片桐氏が体調不良のため、原型師のYOSHI氏のみでの講演となったが、片桐氏が用意していたという実際のフィギュア「ユニティちゃん」のデジタルデータを例として、実際のフィギュアの中国などでの量産製造ラインに乗せるのにベストなパーツ分割方法を画像と共に質疑応答の形式で原型師と交流をしながら解説。質疑応答形式なのでYOSHIさんの会社では腕の部分を連結するダボ(凸凹)の形状断面は四角形とL字形などで制作し、中国で組み上げ量産する際に、右左のパーツを間違えないように分かりやすくしていると解説したが、参加していた原型師の質問で「僕の教わっている方法では四角形とL字形の使用はNGな形状だった」という話が出て、YOSHIさんは「その時は何が正解だったか?」ということ話しのやりとりとなっていたところに、会場の「榊馨」氏からは「自分がやる時は刺す向きが分かるように台形や四角形の角を1つだけ取った形状に向きを分かりやすくしているがどちらが良いか?」という意見をもらい、それにYOSHIさんは「それが正解ですね」というように、ダボ(凸凹)1つについての作業においても深く掘り下げてプロ原型師ならではの現場での意見を交えながらの実践的な会話のキャッチボールをしながら正解を導きだすという交流会ならではの講演となっていた。

▲「ユニティちゃん」のデータの腕のダボ(凸凹)の形状の例

  • ▲フィギュアの腕などの部分のダボ(凸凹)の断面(四角形とL字形)の例

  • ▲フィギュアのスカートの端の部分などを作る際の断面の例

▲ニーハイと太もも部分のパーツ分割する際の断面の例(右側が正解)

<3>Pixologicのトマ氏(@lecaramel)によるZBrushデモンストレーション

「ZBrush」のPixologicのマーケティングディレクターであるトマ・マーセル氏がワンダーフェスティバル用に作成したという「シドニアの騎士」の「エナ星白」の制作工程を参考画像から「ZBrush」を使用してデジタル出力するまでの講演。

▲Pixologicのトマ氏がデジタルで作ったフィギュア

▲この「エナ星白」の画像からフィギュアを作成

▲「ZBrush」で作成したビュー内の「エナ星白」

<髪の毛の作り方①「ZSphere」で作る>

▲「ZBrush」の「ZSphere」の機能を使って髪の毛の形状を作成

▲「ZSphere」を「Skin」に変換し、「Crease」で髪の毛のエッジを立たせる

▲髪の毛を短冊状にブラシなどを使用してディテールを入れて仕上げる

<髪の毛の作り方②「ブラシ」で作る>

▲髪の毛を頭の形状に沿って作成することができる「Curve Brush」を使用して作成

▲「Curve Brush」に登録するモデルとして3色に分けてブラシの始まり、伸びる部分、終わりとなる形状を作成

▲モデルを「Curve Brush」に登録して使用する3色に分けた部分で筆のように髪の毛を作成することができる

<体の作り方>

▲トマ氏が以前に作成した体のデータから再利用することで作業時間を短縮して作成

▲回転しない部分をマスクしながら「Transpose」で足などを回転してポーズを作成

▲エナのウロコ形状をブラシで作成した後、「ClayPolish」機能を使用することで表面を綺麗している

<ダボ(凸凹)とパーツ分割>

▲「Polygroups」でパーツを分けていき、「SubTool」の「Split」で出来た穴を「Close Holes」で塞ぎ、「EdgeLoop」の「GroupsLoops」などでダボ(凸凹)の作成

▲各パーツにダボ(凸凹)を作成してパーツ分割

▲触手部分は星白を支えられるように形状を検証しながら3Dプリンターで強度のある樹脂を使用して出力されたという

▲パーツ分割されて出力されたフィギュア

▶︎次ページ:
<4>フリータイム〜<5>総括

特集