<2>個性豊かな内容の6作品の概要
ここからは、各チームの作品とその評価について順に紹介していく。
2−1.【Aチーム】『フライ揚げイン』
おばちゃんが経営する定食屋を繁盛させるために、美味しいアジフライを揚げて来客に届けるというゲーム。
スマートフォンの画面をタイミング良くタップしながら、衣を付けたり、油で揚げたり、障害物を避けたりしながら、皿に盛り付けていく。「笑い」をコンセプトに掲げており、アジフライが空中を飛んだり、おばちゃんがコミカルに動いたりと、シュールなセンスで世界観を統一している。
『フライ揚げイン』デモ画面
学生が緊張していたのか、デモプレイではクリアにいたらず、リザルト画面(皿に盛り付けられた画面)を紹介できなかった。これに対して質疑応答では「プレイ内容がリザルト画面にどの程度反映されるのか」といった質問が聞かれた。
一方で「笑い」というコンセプトがグループ内でしっかり共有されており、グラフィックや仕様などがコンセプトにそって、ロジカルに開発されていた点を賞賛する声もあった。
Aチームの面々
2−2.【Bチーム】『とびうお魂』
トビウオを操作して障害物を避けながらエビを食べてパワーを蓄積し、タイミング良くタップして飛距離を競うという内容。泳ぐ速度(速度は自動的に上がり、障害物に当たると低下する)・パワーの蓄積度・タップのタイミングの三要素で飛距離が決まり、最大で北海道から沖縄までジャンプできる。鳥にバカにされたトビウオがリベンジに挑むという設定で、男子高校生を対象にシュールなカジュアルゲームをめざしたと説明された。
『とびうお魂』デモ画面
質疑応答では前半の「泳ぐ」パートと後半の「飛翔する」パートで両者の整合性が乏しく、速度やパワーゲージなどもないため、総じて説明不足だという指摘がみられた。タップのタイミングで演出を強化した方が良かったという指摘や、宇宙まで飛び出しても良かったという指摘もあった。チームメンバーからは企画がなかなかまとまらず、強引にゲーム内容を着地させてしまったという反省が聞かれた。
Bチームの面々
2−3.【Cチーム】『エスケーパー』
水面を50メートル近く飛翔することで知られるトビイカを操作し、天敵のマグロから逃げつつ餌を補食して体を大きくし、最終的にマグロを補食することをめざすというゲーム。将来的にVRゲームにすることを念頭に、ビハインドビュー視点による3Dゲームとなっており、操作もシンプルにまとめられている。ゲームのテーマに「緊張感」を掲げており、マグロが後ろに近づくと不気味な効果音が鳴るなどの演出も加えられている。
『エスケーパー』デモ画面
過度な緊張のあまり、発表者がPCのサウンドをミュートのまま発表してしまい、肝心の効果音演出を示せなかった。また海中の表現が単調で、対象物や水面までの距離感がつかみにくいという指摘もあった。一方、最も進捗が遅れていたチームでありながら、制限時間内によくまとめあげたという声も聞かれた。チームメンバーからも動き出しが遅く、海中の明度の変化など、やりたいと思っていたことが十分にできなかったという反省があった。
Cチームの面々
2−4.【Dチーム】『リードラ』
子ドラゴンの群れをゴールまで誘導していくゲームで、親ドラゴンが地面を踏みつけて子ドラゴンを浮き上がらせ、風の向きを調節して吹き飛ばしながら進めていく。コンセプトは「可愛らしさ」の提示で、子ドラゴンがチョコマカと歩き回ったり、リザルト画面(結果画面)で表示される子ドラゴンの数で愛情を表現したと説明。メンバーのバランスにより、プログラマー志望の学生がモデリングやモーションを担当する光景もみられた。
『リードラ』デモ画面
質疑応答ではコンセプトとゲーム内容の関連性に乏しいという指摘があった。これに対してチームメンバーからは時間不足が原因で、子ドラゴンの動きが単調になってしまい、ワチャワチャ感が上手く出せなかったという反省があった。企画が固まるのが遅れたことで、チームメンバーの意識共有が不足していたという声も聞かれた。一方で子ドラゴンのモデルやグラフィックは良くできていると賞賛する声もあった。
Dチームの面々