>   >  ILMでも活用されているオープンソース・ライブラリ「MaterialX」最新情報 ~SIGGRAPH 2017レポート vol.1~
ILMでも活用されているオープンソース・ライブラリ「MaterialX」最新情報 ~SIGGRAPH 2017レポート vol.1~

ILMでも活用されているオープンソース・ライブラリ「MaterialX」最新情報 ~SIGGRAPH 2017レポート vol.1~

ラリー・グリッツ氏(Sony Pictures Imageworks,Software Architect)によるプレゼンテーション

MaterialXのOSLには、リファレンス実装が提供される。これは、atomic shaderノードのライブラリとして、MaterialX最新バージョンのv1.35に完全対応した内容となっている。開発には、プロダクション・レンダリングの分野で長年のシェーダ開発経験をもつ複数のエンジニアが参加しており、鋭意開発が進められている。

OSL(Open Shading Language)
github.com/imageworks/OpenShadingLanguage
※この日のプレゼンテーションではサンプル・コードなども披露されたが、このレポートでは割愛させていただいたく

ニクラス・ハリソン氏(Autodesk, Principal Engineer)によるプレゼンテーション


MaterialX to Arnoldのワークフロー

MarterialXの強みはいくつか挙げられるが......

・アプリケーションやパッケージにとらわれない
・シェーダノードのスタンダード・ライブラリが利用できる
・拡張が可能
・マテリアルだけでなく、ルックを完成させる段階までをカバー
・計算負荷が軽いSDK
・ディペンデンシー(依存関係)がない
・業界をリードする主要パートナー達によるオープンソース

など、多くの利点がある。

AutodeskではMaterialXに対応したShaderX、LookdevX、MaterialX to Arnoldなどの開発を鋭意進めていく予定である。

グイド・クアロニ氏(Pixar Animation Studios)によるプレゼンテーション

USDはPixarが2016年に公開した新しいオープンソース・プロジェクト。MaterialXはUSDでもサポートされている。


昨年のSIGGRAPH2016におけるUSD関連記事はこちら

LucasfilmとPixarは、MaterialXとUSDの完全互換に向けて開発を進めており、MaterialXノードグラフはUSDShade内でエンコードすることが可能となっている。これにより、MaterialXのネットワークに対してUSDのシーン構成機能を利用することが可能となる。また、MaterialXとUSDShadeネットワーク間の変換を可能にするユーティリティとプラグインのセットが提供される。Pixarはこの秋、MaterialXに対応したAPIを完成させる予定で、UsdMatxエクステンションによって、USDShade全般のエンコードが可能になる予定である。

MaterialXのサードパーティサポートについて
www.materialx.org/ThirdPartySupport.html

MaterialXの今後の展望について

数あるアプリケーション・ベンダーの中で、これまでMaterialXの共同開発者として手が上がったのは、AutodeskとThe Foundryの2社。この2社の協力を得て鋭意開発が進められているが、他のアプリケーション・ベンダーの協力も募っているという。


オープンソースなので幅広い可能性が期待される(このイメージは今後の可能性を示唆したもので、現段階ではまだサポートしていないアプリケーションやOS、ハードなども含まれている)

各アプリケーションや各VFXスタジオは仕様やパイプラインが異なるため、MaterialXを実際に使用することで、MaterialXコミュニティから様々な興味深いアイデアが出てくることが期待され、開発陣もとても楽しみだという。また今後の具体的な展望については、オープンソースが公開されたばかりの段階なので、あまり詳しいことは明らかにされなかったが、OpenEXRやAlembicと同様、業界標準として広く定着していくことを目指していきたい、と語られた。

info.

  • SIGGRAPH 2017ダイジェスト
  • SIGGRAPH 2017
    会期:2017年7月31日(日)~8月3日(木)
    場所:Los Angeles Convention Center
    主催:ACM SIGGRAPH

    公式サイト

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