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『青空アンダーガールズ!』OPにみる、地方スタジオ・クリエイターズインパックが取り組むデジタル作画への挑戦

『青空アンダーガールズ!』OPにみる、地方スタジオ・クリエイターズインパックが取り組むデジタル作画への挑戦

Topic 2 『青空アンダーガールズ!』OP

3D背景と相性の良いデジタル作画

ここでは、スクウェア・エニックスから配信中のスマートフォンゲーム『青空アンダーガールズ!』オープニングアニメの事例を紹介する。

本作はアルバクロウとの共同制作で、短尺だが「止メ画で観ても堪えうるかわいらしさ」が追求された。アルバクロウは、デジタル作画アニメーターのげそいくお氏と、トリガーでもプロデューサーを務める稲垣亮祐氏らがメインスタッフのマルチメディアクリエイターチームだ。今までのクリエイターズインパックとの仕事のつながりによって、今回フルデジタルによる共同制作というかたちを採っている。基本的にキャラクターは全て作画で描かれ、ダンスもキャプチャベースではなく、手描きのアニメーターが全て描き起こしたものとなっている。

本作のように背景が3DCGの場合、デジタル作画はタップズレを起こさず3D背景の連番データの上から直接作画でき、クオリティアップに貢献したという。その上で撮影まで社内で行なっているため、修正やラッシュチェックに対するオーダーにもフレキシブルに対応できたことも、精度を上げる一因となっている。さらにデジタル作画の恩恵として、東京にいるアルバクロウのメンバーともレスポンス良く作画データのやり取りを行えたという。

制作時は開発中だったこともあり、設定や世界観から絵コンテ等が設計され、この絵コンテは積極的にアレンジが加えられたという。社内スタッフを中心に演出家が編集作業まで受けもつことで、制作現場主導でクオリティアップできるフローが採用された。コミュニケーション面では、関係各社が遠隔の地にあることもあり、クライアントや社外スタッフともSkypeやハングアウトでやり取りされている。映像制作全般のやり取りそのものにもデジタルツールを用い、環境効率を向上できたメリットは大きいだろう。

また絵コンテからコンテムービーを作成し、曲に合わせて絵コンテを調整してさらにコンテムービーをブラッシュアップして......と、デジタルの利点である作業を相互に巻き戻して補完できる制作体制が採られた。さらに他の作品では、音響に強い同社ならではの取り組みとして仮プレスコでセリフを収録し、その音声を基にコンテムービーを作成して編集した後に作画に入る制作手法にも挑み、精度の高い映像に仕上げるノウハウを蓄積しているとのこと。

最後にはたなか氏は「最近はデジタルネイティブ世代の先駆者が活躍しています。ですから"何とかなるやろ"と"みんなありがとう"の精神で、スタッフと一緒にワイワイとコミュニケーションをとりながら100%の力を出せるような環境をつくっていきたいですね。人材は会社の宝ですので! 次は30分枠や劇場アニメをできると良いです。後は地産地消的なアニメ企画もできたら良いですね!」と今後の展望を語ってくれた。

チェック柄の表現(立体的な貼り込み)

キャラクターは作画で描かれている本作では、フルデジタルで作画しているメリットが存分に活かされている。スカートのチェック柄に関しては、通常の作画工程では作画として柄を描くか、撮影工程で柄の素材を貼り込むが、本作では3DCGで素材を作成し、仮色の状態でマスクを作画し、そのマスクで擬似的に3D素材を切り取ることで、キャラクターの動きに柄が追従するように見せるハイブリッドな技を使用して、衣装の向きにあった立体的なスカートの柄の貼り込みに成功している


▲完成画


▲チェック柄素材


  • ▲キャラクターのセル


  • ▲貼り込み素材

3D背景との融合

前述の通りキャラクターは作画で表現されているが、背景に関しては一部で3DCGが使用されている。アナログ作画では、紙をスキャンして調整するためタップ穴ズレなど、位置ズレの問題に神経を使うが、デジタル作画であればキャラクターと背景が共にデジタルデータのため、接地ズレやカメラワークによる馴染みの違和感も感じない。というのも、社内の撮影スタッフと連携を密にとることで、背景との違和感やズレに関しても双方で微調整をしていることがポイントだという



  • ▲3D背景



  • ▲作画のキャラクター


▲完成画

全ての画をかわいく描く

▲「全ての画をかわいく描く」という目標の下、約2分間という短尺のOPではあるものの、止メ画で観ても1枚1枚がかわいく見えるように細心の注意が払われている。使用した作画枚数は多く、ショートアニメ7~8話分とほぼ同等の枚数とのこと。また動きの激しい部分は、原画のCLIP STUDIO PAINT上でのクイックチェックが細かく行われていた。フルデジタルのため線撮影をしなくてもすぐに動きをチェックできることはデジタル作画のメリットだろう

キャラクターの性格を反映した演技

▲動きはゲーム側のダンスムービーを参考にしているが、アニメのキャラクターの演技では、あえてバラつきを与えることで生っぽい面白さのある演出が付けられている。例えば幼馴染みである櫻花ひなたと水科和歌にはほっぺたをくっつける演技を入れたり、「ドジっ子」の嘉陽千尋はわざと転ばせたりと、プロデューサーと一緒に動きとキャラクターの相関関係を確認していったそうだ。また、とことん詰めてテイク10まで撮影し直したカットも存在するという力の入れようである。ワンストップでアニメーションをつくれるからこそ、TVアニメ以外の案件にもフレキシブルに対応できる強みがあると、はたなか氏も自負していた



  • スマートフォンゲーム『青空アンダーガールズ!』
    配信:株式会社スクウェア・エニックス
    www.jp.square-enix.com/aozora
    Twitter:@AOZORA_PR
    © SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.

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