>   >  DELTAGENで広がるCADデータによる3Dビジュアライゼーションの可能性~ダッソー・システムズセミナーレポート
DELTAGENで広がるCADデータによる3Dビジュアライゼーションの可能性~ダッソー・システムズセミナーレポート

DELTAGENで広がるCADデータによる3Dビジュアライゼーションの可能性~ダッソー・システムズセミナーレポート

<2>設計・デザインからマーケティングに広がる3DCADデータの活用法

もっとも、DELTAGENの開発元である3DEXCITEでR&DディレクターをつとめるJan Ohlenburg氏によれば、DELTAGENは設計・デザインのためのビジュアライゼーションツールという領域を越えて、今や商品体験やマーケティングに活用できる統合ツールにまで成長したという。それがデータ準備に特化したモジュールであるDELTAGEN HUBを核に、同社の製品群で構成されるDELTAGEN MARKETING SUITだ。

Ohlenburg氏は「消費者は商品を体験という視点で購入している。そのため3DCADからビジュアルイメージをつくり上げて、マーケティングに活かすことが重要だ。DELTAGEN MARKETING SUITは、そのための強力なツールだといえる」と有効性をアピール。「3DCADデータが複雑であるほど」、「3DCADデータが頻繁にアップデートされるほど」、「マーケティングのチャネルが増加するほど」効果を発揮すると力説した。


3DEXCITE R&Dディレクター Jan Ohlenburg氏

最新版であるDELTAGEN 2018の機能紹介とデモも行われた。中でも強調されたのが、3DCADのNURBSデータを活用したポリゴンのテッセレーションや、不要なポリゴンを自動的に削除するジャケッティング、より改善されたUVの自動展開、シャドウ・ベーキングの拡充、強力なポリゴン・リダクションなどだ。ほかに3DCADデータに含まれるマテリアルのメタデータを読み取り、DELTAGENのエディタ上で検索などに使う機能なども、作業効率を上げるのに役立つという。

そのほかにも「VRコンテンツの生成(STELLARレンダー・エンジンによるステレオ・パノラマ映像の出力対応)」、「モデル・オプティマイザーを用いたモデルの軽量化と、それに伴うパフォーマンスの向上」、「ゴニオトリックライトのネイティブサポート」、「XPDMXMLファイルのネイティブサポート」、「PBRに対応したレンダリング」などの機能が備わっている。また、DELTAGEN 2019のベータ版も公式サイトで映像を公開中だ。

DELTAGEN 2019x BETA Webinar | DASSAULT SYSTEMES 3DEXCITE



エピックゲームズジャパン 杉山 明氏

エピックゲームズジャパンの杉山 明氏からは、UE4における産業界の活用事例も紹介された。いずれも3DCADデータが同社のDATASMITHを経由して3DCGに変換され、UE4上でリアルタイムレンダリングされている。このようにUE4では単体で3DCADデータをインポートすることもできるし、DELTAGENと組み合わせて使用することもできる。逆にDELTAGENからUE4やUnityにデータをエキスポートすることも可能だ。

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ほかに会場ではDELTAGENやUE4の処理結果をストリーミングでブラウザ上に配信し、インタラクションできる機能が紹介された。DELTAGENでは「ストリーミングピクチャー」、UE4では「ピクセルストリーミング」と呼ばれているものだ。セミナー修了後の交流会では、参加者から「3DCADデータでつくられた新車のデザインを、ストリーミング経由で遠隔地から確認したい」、「レイテンシーやセキュリティはどうなるのか」など、さまざまな会話が飛び交い、高い関心度がうかがえた。

4K・8K映像からスマートフォンまで、多種多様な解像度の映像デバイスであふれている現代社会。こうした中、3DCADデータを高い情報量を保ったまま3DCGに変換できるDELTAGENは、制作ワークフローを構築する上で、ユニークな存在だといえる。さまざまな分野のクリエイターが交錯する中、産業界だけでなく、今後エンタテインメント分野のCGアーティストにとっても、動向が注目されるツールになりそうだ。

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