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技術デモ『BackStage』- Luminous Engineが挑戦するリアルタイムパストレーシング

技術デモ『BackStage』- Luminous Engineが挑戦するリアルタイムパストレーシング

メッシュ量の削減と、デノイズ量の調整


  • プログラマー・増野健人氏
  • さらに、処理するデータ量を軽減するため、直接見えない部分のメッシュを削減したり、髪の毛の本数を現実の人間よりも減らすなどの工夫を行なっている。なお、当初は髪の毛をビルボードで表現していたが、鏡からの反射レイにヒットしないことがわかり、三角柱メッシュとして出力したそうだ。


▲【上】キャラクターのメッシュを最適化した上で、【下】衣服の下の直接見えない部分のメッシュは削減している


▲現実の人間の髪の毛は10万本程度だが、Curveは2,458本、Runtime Hairは約6万本まで減らし、少し太くした髪の毛を織り交ぜることで自然な見た目にしている


▲【上】髪の毛をビルボードで表現すると鏡からの反射レイにヒットしないことがわかったため、【下】三角柱メッシュとして出力した


デノイズをかける際、あまりかけすぎるとディテールを損ねてしまったり、眼や金属のハイライトが減光してしまうことが判明したため、アーティストがその量を加減できるよう、デノイズの値を視覚的に確認できるデバッグモードが用意された。

▲デノイズ成分を視覚的に確認できるデバッグモード


▲髪は100%、眼は70%、肌は40%のデノイズがかかっていることを視覚的に示している


▲【上】眼のデノイズを100%にした場合/【下】眼のデノイズを70%にした場合。デノイズを抑えることで、眼のハイライトが明るさを取り戻している


これらの様々な創意工夫により、間接光、反射・屈折、ソフトシャドウ、被写界深度を含む極めて複雑なシーンであっても、最終的には1秒間に30フレームを超える計算速度を得ることができたという。

ゲームであれ、VRであれ、コンピュータがリアルタイムで描画する映像は、まだまだリアリティが足りていない。特にリアリティで先行するプリレンダーされた映画を見慣れている世代は、厳しい目をもっている。それらの課題は、テクノロジーの進歩により、近い将来に解決されるかもしれない。しかし、課題解決の先取りに貪欲だったLuminous Engineの開発チームは、現状のハードウェアにおける様々な制約を乗り越えて、リアルタイムに、パストレーシングを用いたフォトリアル描画を行うという夢のようなエンジンを実現させてきた。このエンジンが描くゲームやVRの映像ならば、今までとはレベルのちがう没入感を得ることができるだろう。開発に携わった彼らの熱いハートに心からエールを送りたい。


© Luminous Productions Co., Ltd.


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