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MV『SOUND & FURY』No.4 /松本 勝監督が旧知のスタッフと共にディストピア世界を表現

MV『SOUND & FURY』No.4 /松本 勝監督が旧知のスタッフと共にディストピア世界を表現

独立したショットは、熟練スタッフや松本監督が全工程を担当

町田氏が担当したロケット発射ショットは、ほかのショットとの共有アセットをもたない独立したショットだったため、アセットのデザインやモデリングからショットワークにいたるまで、全ての工程をまかされた。「クオリティを担保しつつ、限られたスケジュールの中で仕上げるため、使い慣れた3ds Maxで制作しました。エフェクト制作では主にFumeFXを使いましたが、学習とテストを兼ねてtyFlowも使っています」(町田氏)。

▲エフェクトを制作中の3ds Maxの作業画面


▲After Effectsの作業画面


▲完成画像。早々に松本監督からのOKをもらった町田氏は、さらに追加のショット制作も担当したそうだ


地表から複数のミサイルが発射されるショットは松本監督自らが担当した。「独立したいくつかのショットは、ほぼ自分ひとりで制作しました。GPUレンダラのOctaneRenderと、GPU2枚挿しのPC4台を使ったおかげで、1ショットあたりの制作期間を0.5~2日まで圧縮できました」(松本監督)。本ショットではディスプレイスメントマップで地形をつくり、町田氏が制作したエフェクトをOpenVDBで配置し、ミサイルの光源を入れた状態で1発レンダリングしている。ポスプロでのエフェクト処理も、OctaneRenderによって別パスで出力したものを使用した。

▲Fusionの作業画面


▲DaVinci Resolveの作業画面。ほぼファイナルに近い状態のショットをマルチパスでレンダリングし、Fusionで微調整を加え、DaVinci Resolveで編集とグレーディングを行なっている


▲完成画像


▲同じく、松本監督がひとりで制作した車内ラジオのクロースアップショット。前述したように、クルマが登場するショットは複数のスタッフで手分けしているが、このような独立したショットはワークフローに乗せづらいため松本監督が引き受けた

納期直前まで情報量を追加し続けた、崩壊した都市のモデル

プロダクションマネージャーとして5月末から加わった金城侑香氏は「参加直後はスタッフのアサインが追いついておらず、いろんな方々に追加の仕事を依頼して、助けていただきました。ラストの崩壊した都市の空撮はしっかり情報量を詰め込む必要があったので、7月に入ってもモデリングが終わりませんでした」と当時の切迫した様子を語った。そんな中でも松本監督は丁寧な説明を心がけていたようで、机を並べて作業した徳永元博氏(CURO)は「ショットワークは初めてだったので、すごく勉強になりました」と語った。

▲崩壊した都市のモデルを表示したMayaの作業画面。本シーンでは、崩壊した都市の道路を主人公の乗ったクルマが走行し、その様子を空撮によって追いかけることが求められた。そのため都市全体をしっかりモデリングする必要があり、作業は納期直前まで続けられた


▲【上】崩壊した都市の制作途中のモデル/【下】完成画像。本シーンの制作にあたっては、最初に松本監督がレイアウトモデルを制作し、徳永氏をはじめとするCUROのモデラーが情報量を増やしていった。時間節約のため、プロシージャルにビルを生成できるスクリプト(Maya Structures)や、Evermotionの市販モデルも使用している


▲同じく、【上】制作途中のモデルと【下】完成画像。「ある程度レイアウトが固まった段階で、ビル近景、ビル遠景、メインの道路といった単位でリファレンス化し、各モデラーに割り振りました。リファレンス化したことで、マテリアルやテクスチャの把握、データのクリーンナップなどが容易になったと思います」(徳永氏)


▲同じく、【上】制作途中のモデルと【下】完成画像。クルマ、瓦礫、草などのポリゴン数やテクスチャ枚数が多いパーツに関してはVRayProxyを積極的に活用し、レンダリング時のメモリ負荷の軽減を図っている。「松本監督から要望のあった『崩壊感』が終盤まで出しきれず、最後は監督にも協力していただきながら、座礁したタンカー、メインの道路に配置されたバリケード、墜落したカーゴシップを思わせるパーツなどのモデルを追加していきました」(徳永氏)


以上の工程を経て完成した映像を観たシンプソン氏はおおいに満足し、リテイクはいっさい出さなかったという。皆の努力が良い結果につながり、本当に嬉しかったと大竹氏は顔をほころばせた。

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©2019 High Top Mountain Films, LLC / Elektra Records.

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