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MV『SOUND & FURY』No.1/20代ディレクターとベテランの競演で神風動画カラーを大放出

MV『SOUND & FURY』No.1/20代ディレクターとベテランの競演で神風動画カラーを大放出

『SOUND & FURY』は、前作でグラミー賞を受賞したスタージル・シンプソン氏の最新作だ。本作発売後、同氏はBANDSINTOWN+BILLBOARD GLOBAL TOP ARTIST INDEX 1位となった。収録作の全10曲に合わせたMVも制作され、Netflixで全世界配信されている。本特集では、多彩なアーティストによるMV制作の舞台裏を全4回に分けて紹介していく。No.1とNo.2では、全10曲中5曲のMV制作に関わった神風動画の仕事にスポットを当てる。

MV『SOUND & FURY』No.2/バラエティ豊かなカラーを引き出す神風動画の制作体制
MV『SOUND & FURY』No.3/実写・作画・3D素材を駆使した森本晃司監督の新たな挑戦
MV『SOUND & FURY』No.4 /松本 勝監督が旧知のスタッフと共にディストピア世界を表現

※本記事は月刊『CGWORLD + digital video』vol. 257(2020年1月号)掲載の「20代ディレクターとベテランの競演で神風動画カラーを大放出 MV『SOUND & FURY』(前篇)」に加筆したものです。

TEXT_尾形美幸 / Miyuki Ogata(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota

▲MV『Sing Along』(Official Video)。神風動画が手がけた本作は2019年8月にYouTubeで先行公開され、その再生数は既に300万回を突破している


▲左から、代表取締役/ディレクター・水崎淳平氏(神風動画)、アニメーションディレクター・石川剛史氏(フリーランス)、CGIディレクター・宇都宮隆文氏(神風動画)、ディレクター・仲道える沙氏(神風動画)、取締役/ディレクター・水野貴信氏(神風動画)

若い人が前に座り、シルバーシート勢がバックアップ

2018年の夏、MVのエグゼクティブ・プロデューサーを務めた黒田貴泰氏(stu)を介して神風動画にMV制作が打診された。「第三次世界大戦後の荒廃した街を、マスクを被った主人公が黒い車で疾走している。主人公は復讐に燃えており、戦いの中でマスクを外すと、その素顔は少女だった......というようなストーリー原案が、最初にシンプソン氏から提示されました。

  • 黒澤 明監督の『用心棒』(1961)のようなテイストで、『アニマトリックス』(2003)のようなオムニバス作品にしたい。さらに『ニンジャバットマン』(2018)のカラーも盛り込みたいという要望を受け、岡崎能士さんと当社が再びタッグを組むことになりました」とディレクターの水崎淳平氏はふり返った。

  • 代表取締役/ディレクター・水崎淳平氏(神風動画)


同社は全10曲中5曲のMV制作に関わることとなり、『ニンジャバットマン』で演出を担った高木真司氏、CGIディレクターを担った水野貴信氏などのベテラン勢に加え、20代のディレクターたちも招集された結果、同社のバラエティに富んだカラーを大放出した作品群に仕上がった。

▲【上】MV『Remember To Breathe』の武器商人/【中】MV『A Good Look』の武器商人/【下】MV『Best Clockmaker On Mars』の武器商人(画面左側)。全て神風動画が手がけているが、異なる時間のストーリーを、大きく異なるルックで表現している。「アニメ作品はルックが統一される傾向にありますが、バラバラのルックでも視聴者は感情移入してくださると思っています」(水崎氏)。なお、【上】は水野貴信氏をはじめとするベテラン勢、【中】は石川剛史氏、宇都宮隆文氏、仲道える沙氏をはじめとする20代のディレクター、【下】は続『刀剣乱舞-花丸-』のEDを手がけた佐々木 元氏、鈴木 理氏らが制作の中核を担っている


「今回に限らず、20代が座る席を用意することをすごく意識しています。アニメの歴史を紐解くと、河森正治さんは24歳で『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(1984)を監督し、大張正己さんは19歳で『超獣機神ダンクーガ』(1985)のメカニックデザインをしています。この業界に進む若い人を増やすためには、それが"普通のこと"であって然るべきだと思います。若い人が前に座り、高木さんや水野、僕のようなシルバーシート勢(笑)がバックアップする。そういう体制が一番イイ感じだなと思っています」(水崎氏)。

前述したようにYouTubeで公開中のMV『Sing Along』の再生数は既に300万回を突破しており、同年10月のNY Comic Conではコミカライズも発表された。好評を博す本作の舞台裏をみていこう。

▲MV『Sing Along』の作中カット


▲【左】MV全10本の完成披露のため、NY Comic Con(2019年10月開催)に参加したときのスナップショット/【右】左から、落合隼亮氏(スタージル・シンプソン氏の長年の友人で、同氏のA&Rプロデューサーを務めた)、スタージル・シンプソン氏、水崎淳平氏、岡崎能士氏(本作のキャラクターデザイナーを務めた)、森本晃司氏(同氏が監督したMV『Mercury In Retrograde』の制作の舞台裏は本記事のNo.3(3月18日(水)公開)で紹介する )


©2019 High Top Mountain Films, LLC / Elektra Records.

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シンプソン氏の原案をオリジナルの世界観へと昇華

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