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MV『SOUND & FURY』No.1/20代ディレクターとベテランの競演で神風動画カラーを大放出

MV『SOUND & FURY』No.1/20代ディレクターとベテランの競演で神風動画カラーを大放出

シンプソン氏の原案をオリジナルの世界観へと昇華

『Sing Along』『A Good Look』『Fastest Horse In Town』からなる3曲のMVはセル調のCGアニメーションで表現されており、20代のディレクターたちが制作の中核を担った。


  • ディレクター・仲道える沙氏(神風動画)
  • その中のひとりである仲道える沙氏は、2018年の秋から制作に参加し、3曲全体のルックデヴを担当した後に、『A Good Look』のダンスパートのディレクターを務めた。『アイドリッシュセブン』シリーズの複数のMVでディレクターを務め、ダンス演出の豊富な経験を有していることが抜擢の要因だったようだ。


▲MV『A Good Look』(Official Video)


「シンプソン氏が提示したストーリーやイメージの原案を出発点にして、岡崎さんと僕とでオリジナルの世界観へと昇華させ、仲道たちのアイデアも盛り込んでいきました」(水崎氏)。例えば主人公のルックデヴでは、岡崎氏が描いた線画を基に、仲道氏が複数の配色案を制作した。「画面映えするカラフルな配色も提案しましたが、シンプソン氏の頭の中には『闇に同化して疾走する忍者』のイメージがあったらしく、『ニンジャバットマン』に近いルックに落ち着きました」(仲道氏)。

▲岡崎氏が制作初期に描いた主人公の線画【左】と、決定稿【右】。いずれも、復讐の対象である武器商人や麻薬商人の首が意味深に描かれている。このイメージもシンプソン氏の発案で、『A Good Look』の歌詞の一部「I got a SOCOM Scout and 20 extra mags, And a couple severed heads in my bug-out bag」とリンクしており、後述するMVの中でも表現されている


▲岡崎氏の線画を基に、仲道氏が制作した配色案


▲配色の決定稿。左はマスクあり、右はマスクなし。「シンプソン氏から『忍者や軍人をイメージしたルックにしてほしい』というオーダーをいただいたので、SWATのようなミリタリーテイストを意識した配色にしました」(仲道氏)

「必ずクールに仕上げますから、納品まで我慢してください」

MV『A Good Look』の制作時には、「この曲はダンスナンバーなんだ。北野 武監督の『座頭市』(2003)のタップダンスが面白かった。あれをイメージしてほしい」というシンプソン氏からのリクエストを踏まえ、ルックとカメラワークが変幻自在に切り替わる、CGの強みを最大限に引き出したダンス映像がつくられた。「ダンスパートは特にこだわりがあったようで、シンプソン氏からは『早く観たい』というリクエストを何度もいただきました。でも、今回は特殊なつくり方をしていたので『必ずクールに仕上げますから、納品まで我慢してください』とお願いしたんです」(水崎氏)。

イメージボードを見ただけでは完成形が想像できず、シンプソン氏は「コミカルになりすぎるのでは?」という不安を抱えていたようだ。しかしその不安は杞憂に終わり、納品映像を観た同氏からは惜しみない賞賛と感謝の言葉が贈られた。本来のアニメ制作では、イメージボードや絵コンテを通して、制作するカットを絞り込んでいく。その一方、実写のMV制作では大量の映像素材を撮影し、編集を通して使わないカットを捨てていく。本作のダンスパートは後者の制作スタイルを採用しており、あえて絵コンテをつくらず、カット番号も振らないままにアニメーターが映像素材を制作し、仲道氏による素材の撮影と編集を経て完成させた。「ダンスパート制作に割ける時間が限られていたが故の選択でしたが、おかげで様々なルックやカット割りを試せました。すごく冒険ができたし、新鮮だったし、楽しい案件でした」(仲道氏)。

▲MV『A Good Look』のダンスパートでは、直前までのシリアスな戦いのムードを吹き飛ばし、敵味方混然となってクールでクレイジーなタップダンスを披露。変幻自在に切り替わるルックは、全てLightWaveによる同種の映像素材を加工して表現されている


▲歌舞伎のような隈取、和紙のような質感の背景と紙芝居のような演出、劇画のようなタッチなど、仲道氏の遊び心とセンスが申し分なく発揮されている。なお、シンプソン氏からは前述の歌詞になぞらえた銃(SOCOM)や生首の表現をリクエストされたという。それを受けてつくられたカットにも注目してほしい


▲ダンスパートにおけるラストカットを制作中のLightWaveの作業画面。実写撮影では実現困難な数多くのカメラが所狭しと設定されている。なお、本作のアニメーションは全て手付けだが、ダンスパートではプロのダンサーによるタップダンスの映像を事前に撮影し、それを参考にすることで魅力的なダンスを表現している



MV『SOUND & FURY』No.1は以上です。No.2でも、引き続き神風動画の仕事にスポットを当てます。ぜひお付き合いください。

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©2019 High Top Mountain Films, LLC / Elektra Records.

info.

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    ©2019 High Top Mountain Films, LLC / Elektra Records.



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