>   >  コスパ最高! RICOH THETA Z1を利用した ACES対応HDRI制作フロー<2>現像からスティッチ処理まで
コスパ最高! RICOH THETA Z1を利用した ACES対応HDRI制作フロー<2>現像からスティッチ処理まで

コスパ最高! RICOH THETA Z1を利用した ACES対応HDRI制作フロー<2>現像からスティッチ処理まで

<STEP 5>ステッチ化処理

外部でステッチ処理をする場合は、ここで書き出しを行います。この段階でHDRな画像になっているため、OpenEXRフォーマットで書き出します。カラースペースはデフォルトでACESとなりますが、使用するレンダラや用途によってはsRGBなどに変更しても良いでしょう。より精度の高いステッチ処理を行いたい場合はPTGuiでの手法をオススメしますが、先に「NukeHDRIMerge.nk」で用意した「STMapを使用したスティッチ」と、「CaraVRを使用したスティッチ(NukeX12~)」を紹介します。



<1>STMapを使用したスティッチ~NUKEにおける簡易ステッチ~

  • 一番シンプルな簡易ステッチ処理はSTMapを用いた手法です。ブレンド処理はアルファブレンドのみなので境界の色むら補正はされませんがNUKE内で完結することが可能です(※STMap作成時のステッチに縛られるので万能ではありません)。
    STMapを自分で作成する方法は、NUKEで作成したUV画像を書き出し、PTGuiでUV Map画像に差し替え「個々のHDRレイヤー」で書き出すことができます。


<2>Cara VRを使用したスティッチ(NUKE X12)

NUKE X12から標準で同梱されるようになったCara VRでステッチを行 う手法です。試用してみた感じでは、THETA Z1の二眼画像に対しては調整が難しいです。



<3>PTGui Proを使ったスティッチ処理

  • PTGui Pro(11以降)はTHETA Z1に標準対応しており、一番綺麗にステッチ処理を行うことが可能です。しかしOpenEXRデータではEXIFメタデータが含まれないため、レンズ設定などの処理が自動で行われません。
    そのため事前にテンプレートを作成しておき、そちらを使用することで作業工程の簡略化が可能になります。配布のテンプレート(ThetaZ1.pts)をデフォルトのテンプレートフォルダに配置するか[ファイル→テンプレートの適用→その他]から選択することでテンプレートを使用できます。

(1)
スティチの手順を解説します。まず、[ソース画像]でOpenEXRを読み込み(同じデータを2回読み込む)テンプレートを適用します。プロジェクトアシスタントの工程通り[画像を整列する]から[パノラマを作成する]を実行すれば完了です。
コントロールポイントによる調整が不要な場合「画像を整列する」の工程を省くことも可能です(※場合によりステッチ精度は下がります)。同一箇所でチャートありなしなど複数撮影した場合は、1つ目を処理したプロジェクトファイルを基にOpenEXRを[置換]で差し替え、[画像を 整列する]の工程を省くことで完全に位置等が一致した処理を行えます。誌面の都合上、バッチ処理の説明は省略します。



(2)
テンプレートを使用しない場合は下記の手順になります。

1.適正露出に近い基の撮影データ(.DNG)か現像したTIFFファイル1枚を[ソース画像]に読み込む
2.メタデータから必要な設定は読み込まれるので[画像を整列する]をクリックして、データに問題ないかパノラマエディタで確認
3.ステッチに問題がある場合コントロールポイントを調整していく
4.[ソース画像]で読み込んだ画像を[右クリック→置換]で書き出したOpenEXRに差し替える
5.[露出合成/HDR]設定を「トゥルーHDR」に変更(※最適化等の操作は不要)
6.[パノラマを作成する]で「HDR:HDRパノラマ」を有効にして[パノラマの作成]で書き出す

......この工程をテンプレートとして保存したものが配布データの内容になります。

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