制約の中でダイナミックな動きをつくる
エマール氏によるスケルトンの解説がひと通り終わった後は、Esoteric SoftwareのErika Inzitari/エリカ・インズィタリ氏によるアニメーション制作デモが行われた。
▲エリカ・インズィタリ氏。挨拶など一部は日本語字幕付きで出演
エリカ氏はEsoteric Softwareのコンサルタント兼インハウスアニメーターで、Spineの公式サンプルアニメーションの制作を担当しているほか、TwitchでもSpineアニメーション制作の配信を行なっている。今回は、光の玉が浮かんで弾ける魔法エフェクトに合わせてアニメーションをつくる様子が紹介された。
制作しながら、作業を行いやすくするためのいくつかのテクニックも紹介。例えばツリー上でボーンを非表示に設定すればドープシート上でキーが見えなくなるのを利用して、エフェクト用ボーンを非表示にしてキーを選択できないようにし、うっかりエフェクトの動きを変えてしまうというミスを防げること。それから、髪やスカートのような揺れものの動きはまずは一緒に動かし、後でキーをオフセットする(数フレームずらす)ことで自然なうねりを表現できることなど、初心者にも採り入れやすい内容だった。
▲エリカ氏のアニメーション制作風景
限られたパーツを使用しての制作だったが、スカートや髪の毛による揺れを使って魔法の勢いを巧みに表現。前半の解説で作成したアニメーションとはまたひと味ちがったダイナミックさをもつアニメーションが仕上がった。
リグを壊すことを恐れない
最後にエリカ氏から視聴者へメッセージが贈られた。そこでは、Esoteric Softwareの創立者でありSpineの開発者であるNate Sweet/ネイト・スウィート氏と一緒に少しずつ機能改善を行なってきたこと、そして、ときにスケルトンによるアニメーションをつくる人は、ボーンはつくった通りに動かさなければならないと思っている節があるが、自分のアイデアを実現するためにリグを壊すことを恐れないでほしいという願いが語られた。
「スケルトンは、あなたが考えているアニメーションを作成するために役立つべきであり、あなたが作成できるアニメーションを制限するものではありません! 今日のイベントによって、あなたのスケルトンやアニメーションにも自分なりの切り替えポーズを追加できるようになることを願っています。そして、これをきっかけにSpineのさらに進化した使い方が生み出されるされることを願っています」(エリカ氏)。
ますます広がる「Spiners MeetUp」の輪
本イベントでは視聴者同士が繋がれる場としてDiscordサーバも用意されており、vol.2開催当日はDiscordチャンネルのチャットで質問を随時募集するという形式が採られた。2020年12月現在では100名以上のSpineユーザーが参加するコミュニティに成長している。vol.1とvol.2で進行を務めたエマール氏はもちろん、ゲストで登場したエリカ氏や本イベントを共同で企画しているArtnerの代表・長沢誠一氏なども参加しており、アーカイブでイベントを視聴した場合も直接質問をすることができる場となっている。
「Spiners MeetUp」Discordサーバ招待URL
discord.gg/ae5aHK9
本レポートでは細かい手順は省略したが、配信時には次にどのボーンを動かせば良いか、何フレームにタイムラインを合わせれば良いか、など詳しく解説されているので、実践してみたい方はアーカイブを確認してほしい。
Spiners MeetUpは現在vol.3まで開催されており、次回開催については後日発表予定となっている。気になる方は見逃さないよう、Peatixグループをフォローすることをオススメする。
Spiners MeetUp | Peatix
spinersmeetup.peatix.com