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匠たちによる阿吽の呼吸〜OVA『武装神姫 Moon Angel』

匠たちによる阿吽の呼吸〜OVA『武装神姫 Moon Angel』

ゲーム用モデルをブラッシュアップ〜キャラクター CG 制作

3DCG カットの主役は、アーンヴァルとストラーフという 2 機の女性型フィギュアロボ・武装神姫。アニメ版のキャラクターデザインを担当しているのは『Fate/Zero』他、数多くの作品で作画監督や原画を手掛けている 碇谷 敦 。ベースのデザインは、島田フミカネ のデザイン画を踏襲しているが、元々はゲーム開発向けに描き起こされたものだったため、アニメ用にアレンジする必要があったという。
「島田さんの作成したオリジナルのデザインには、コナミさんが非常に思い入れを持っているので、なるべく崩さないようにアニメ用に描き起こすのが大変でした。キャラクターデザイン表の作成には最大限時間をかけましたよ」(碇谷氏)。

アーンヴァル設定画 ストラーフ設定画

碇谷氏によって描かれた、アーンヴァル(上)とストラーフ(下)のアニメ用キャラクターの設定図。ゲーム版のキャラクターや、フィギュアを参考にしながら、アニメにあったキャラクターデザインに修正されている。手足にも少し丸みが追加され、よりも女の子らしいデザインに仕上がっている

神姫の 3D モデルは、ゲームタイトル用の既存 3D モデルをベースにアニメ向けにブラッシュアップする形で制作。その際、ゲーム用のモデルはローポリゴンで制作されておりディテールに乏しかったため、フィギュアなどを参考にしながら 1 体につき 3 ~ 4 週間かけて、リファインされた。

アーンヴァル ストラーフ

3ds Maxでモデリングされた、ゲーム用のアーンヴァル(左)とストラーフ(右)のキャラクターモデル。アニメ版ではキャラクターのデザインがリニューアルされたため、このモデルを元に、一部のパーツを新しく作りながら細部の形状が詰められた。最終的にアニメのキャラクターとして見栄えがするように、プロポーションの調整やパーツの位置調整が行われている

また、本編では武装パーツが外れた素体の状態も登場するので、手足などの細かい部分も新たに作成。セットアップは 3ds Max の CAT でリグ組みされている。これは、アニメ作品ではカメラワークによって体のパーツの形状やスケールを変更しないといけない場合が多いため、ボーンのスケール調整が可能な CAT が使いやすかったためだという。また、2体の顔に関しては、目や鼻など、一応モデリングされてはいるが、最終的には碇谷氏が作画した絵素材を張り替えて表現している。
一方、背景モデルに関しても、ゲームで使用していた背景の3Dモデルをもらい、ディテールが足らない部分などをブラッシュアップする方法で、作成されているそうだ。

アーンヴァル最終モデル ストラーフ最終モデル

オレンジによってリファインされた、アーンヴァル(上)とストラーフ(下)の最終モデル。デカールの部分もテクスチャで表現するのではなく、アップのカットでもアラが見えないよう、ポリゴンで作り起こされている。細かく面取りされているような形状には、ポリゴンのエッジにスプラインを配置し、Pencil+ で効果的にラインがレンダリングされるよう工夫されている

アーンヴァルセットアップ ストラーフセットアップ

アーンヴァル(左)とストラーフ(右)のセットアップ。基本的に CAT でセットアップされているが、機械的なパーツにはヘルパーをリンクしている。また、関節の形状に応じて、スキンとリンクを使い分けているそうだ。また、ストラーフについている大きな機械の腕のようなパーツは、演技にも関わってくる部分なので、CAT で腕のリグを追加。アーンヴァルの髪の毛は IK とスプリングの設定を施し、モーションに追従してなびくようにセットアップされている

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