ローポリモデリングの技術で実現できる3D出力フィギュア
取材した3Dプリンタが読み込めるデータフォーマットは、VRML 、STL 、3DS など汎用的な形式で対等している(Metasequoia や Blender を使っている場合は、プラグイン等で変換すれば良いだろう)。モデリングさえできれば、誰でもフィギュアを制作できるというわけだ。
しかし、3Dデータを立体にするためには、出力用データ制作のノウハウが必要だ。「映像」用モデルと「造形」用モデルの違いやポイントをしっかり把握する必要がある。ここからは、出力に適した3Dデータを作るためのポイントを3つ紹介しよう。
【POINT 1】ポリゴンが閉じていること
出力する3Dデータは、必ず閉じたポリゴンで構成する。前半で見た、3D出力の仕組みを思い出してほしい。ポリゴンが閉じていないと、断面を印刷する際に本来内部と認識されるはずの箇所に糊が塗布されない。すると、フィギュアの表面だけしか糊が付着していない状態となり、強度が落ちてしまう。
ポリゴンを閉じることは造形時の必須条件
なお、モデリング時にオブジェクト同士が重なっていても出力上問題ない。むしろ強度を保つという点では、積極的にオブジェクト同士を接触させ、厚みを付けたり、物理的な構造上の強度をもたせることが多いという(後述)
【POINT 2】強度を確保できる造型にする
立体造形にする以上、その形を保ち続けられるような構造にデザインしなければならない。具体的には以下の通り。
<A> 薄くしない・細くしない・尖らせない
<B> なるべく何かに接触させる
<C> 全体のサイズを小さくする
今回サンプルとして使用した「猫足軽(にゃしがる)」は、これら3点のノウハウを活かしたデジタル原型というわけだ。
サンプルは石膏粉末P氏のオリジナルフィギュア「猫足軽」(にゃしがる)
薄く細いものは壊れやすい。必要な厚みは形状に依存するが、サンプルのフィギュアでは台座の直径は18mm、厚み3mm。細い槍の柄の部分でも厚みが1.8〜2.0mmあるので目安にするとよい<A>。また、槍のように先端を尖らせたいデザインは、テクスチャで工夫する(後述)
そのほかにも細い部分や、薄い部分は必ずどこかに接触させると安定する。極力パーツの両端を支えるデザインが望ましい。例えば、写真の「猫足軽」の槍が良い例だ。中央を手で、両端を頭と台座で支えている。このように、台座があると自立しやすく、ポーズの自由度や強度も上がるのもポイントだ。<B>
大きなプリンを作ると自重で潰れやすくなるように、サイズは小さい方が強度が増す。この例は100円玉1.5個程度の大きさで安定している<C>
実際に出力したフィギュア
【POINT 3】デザインの制約を補うテクスチャの設定
造型上の制約は、テクスチャで補うことも可能だ。取材した例では、エッジや先端を明るくして尖っているように見せるというテクニックを使っている。槍の穂先をテクスチャで明るくすることより、イメージを損なうことなく強度も確保できるというわけだ。
テクスチャの解像度は台座抜きで1024×1024ピクセル。出力の関係から、テクスチャ画像はあまり描き込んでも再現されないという。
設定したテクスチャをフルカラーで出力できるのも嬉しい
3DCGを使って、個人でプロダクトが作れる時代に
3Dプリンタによって、今までモニタでしか見れなかったデータが、実際に手で触れる・重さを感じられるようになる。作り手としては腕をふるわずにはいられないだろう。
今回のイベントで驚いたのは、参加者の多くが MMD をきっかけに趣味でモデリングをはじめた人たちだったということ。そして、一連のデモを熱心に見入っていたのも印象的で、モチベーションの高さが伝わってきた。
こうした志のあるデジタル・アーティストたちによって、今後も魅力的な作品が次々に出てくることだろう。そうした意味でもデジタル造形の大きな可能性を感じるイベントであった。
TEXT_橋本 和明(lunaworks)
PHOTO_大沼 洋平
自動で色が付く3Dプリンターで
チビフィギュアつくるお!
MMDモデラー集会
主催:一般社団法人3Dデータを活用する会「3D-GAN」
3d-gan.jp
























