直感的な使用感のバーチャルカメラ
体験デモの参加者は、バーチャルカメラを操作してプリビズ制作の一部を実践できる。三脚に固定しての撮影、肩に担いでの撮影、手持ち撮影など、本誌スタッフ達も実際に試してみたが、パン、ティルト、ドリーといったカメラワークはもちろん、ズームやレンズの変更も可能で、通常のカメラに近い直感的な使用感だった。
「CGアーティストはもちろん、実写の撮影監督やカメラマンも違和感なく扱えるシステムを実現しています」と、興村氏は語る。
撮影した映像は、その場で編集や差し替えができるため、カメラの動きやフレーミング、演出のリズムなどを、監督やカメラマン、CG ディレクターが納得いくまで検証できる。 プリビズを使って試行錯誤やシミュレーションを入念に行っておけば、その後の実写撮影や 3DCG 、VFX 制作にかかる費用や時間、スタッフの負担は大きく軽減される。
バーチャルカメラの撮影結果は、写真上部の液晶モニタにリアルタイム表示される。写真下部のコントローラは、ズームなどのレンズワークに用いる。今回の体験デモでは、同研究所があらかじめ制作しておいたプリビズ用の 3DCG シーンを撮影した。それ以外にも、マーカを付けたアクターをバーチャルカメラで撮影し、アクターとカメラの動きをシーンデータに反映させ、リアルタイムに表示することも可能だ。
カメラ位置の計測には、光学式モーションキャプチャのVICON T160を用いており、非常に精度の高い撮影が可能だ。同研究所のスタジオには24台のVICON T160が常設されており、オプションで更に増設することもできる。
多様な設備と経験を土台に、後工程を見越した提案が可能
同研究所のシステムと、母体である東映撮影所の機能を組み合わせれば、プリビズから、美術セットの制作、実写撮影、モーションキャプチャ、 VFX 、編集、アフレコ、試写まで、映像制作の全領域に対応できる。たとえば『プリキュア』シリーズのダンスシーン制作では、モーションキャプチャの6人同時収録を行ったそうだ。「10人以上の同時収録を行ったこともあります」と、村社氏は語る。
多様な設備と経験があるからこそ、プリビズ制作の段階で、後工程を見越した様々な提案ができることも同研究所の強みだろう。なお、現在はフェイシャルキャプチャの新システムを開発中で、実現すれば『アバター』のように身体の動きと表情を同時撮影する、パフォーマンスキャプチャが可能になるという。
次回の体験デモは、5月中旬以降の開催を予定しているそうだ。プリビズ未体験の映像
関係者は、ぜひ同研究所でバーチャルカメラとプリビズの効果を体感して欲しい。
TEXT_尾形美幸
東映デジタルセンター ツークン研究所
●プリビズ&バーチャルカメラ体験デモ
5月中旬以降より随時開催予定。詳細は下記より。
http://www.zukun-lab.com
●お問い合わせ先
東映株式会社 デジタルセンター ツークン研究所
mail: zukun@toei.co.jp
電話: 03 - 3867 - 5029