行政と地域が動く、静岡市。新興スタジオ進出にも優しい次世代制作拠点の可能性とは?

「クリエイティブは東京でなければ」という常識が、いま静かに崩れつつある。
アクセスの良さと、暮らしやすさを兼ね備えた地方都市・静岡市。新幹線で東京からわずか1時間という距離感に加え、デジタル人材の育成やクリエイティブ企業の誘致を行政が積極的に後押ししている点で、静岡は“次世代の制作拠点”として注目を集めている。
今回は、企業誘致や就業支援に取り組む静岡市の担当者と、実際に静岡でデジタル教育・地域振興に取り組むキーマンたちにインタビューを実施。行政と地域、企業と学校が三位一体で挑む、静岡ならではの人材育成とまちづくりのリアルに迫る。
・関連記事:東京から1時間、次世代制作拠点「静岡市」のポテンシャルを探る。進出企業と教育機関に聞くデジタル人材の採用と育成の今。
ホビーの街が、スタジオとクリエイターの誘致に本気な理由とは?
まずは、行政側の取り組みとして静岡市が展開する施策や展望を紹介しよう。静岡市 産業基盤強化本部の次長補佐 恒川文栄氏と、大池駿介氏に話を伺った。

静岡市内に新規に立地した企業に対する助成や、企業の市内への新規進出や市内企業の規模拡大の促進などのサポートを行う
https://biz-navi.city.shizuoka.jp/
CGWORLD(CGW):静岡市が企業誘致を推進する背景について教えてください。
恒川文栄氏(以下、恒川):静岡市では、2023年4月に現市長を迎え、『若者の人口減少』という喫緊の課題を解決するため、これまで以上に力を入れて企業立地を推進していくこととなり、2024年4月に産業基盤強化本部が立ち上がりました。
CGW:若者に魅力ある町づくりを行うなかで、デジタル・クリエイティブ企業の誘致を積極的にされていらっしゃいますね?
恒川:これまでは、製造業の工場や、清水港があることからも港湾物流などの物流施設といった分野の立地の推進に力を入れてきました。ただ、近年は情報通信業界へのへの就職を希望する学生が多いことから、『若い人に魅力ある雇用創出の場を作り出す』ことを目的に、特にデジタルクリエイティブ産業にフォーカスした企業誘致に取り組むことにしました。
また、静岡市には教育機関も多く、学生も相当数輩出していますが、一方で地元に職がないために市外・県外に流出しているという課題を抱えています。「若者の流出をとどまらせるような魅力的な会社があれば」という声が教育機関からも挙がっていたことも企業誘致を後押しする理由となりました。
CGW:教育機関の抱える課題や学生の動向をくみ取った施策というわけですね。
恒川:それだけでなく、もともと静岡はホビーの街として知られています。プラモデルの出荷額が全国1位、シェアは80%を超えています。その長い歴史や町の成り立ちを通じて、模型メーカーが集積し、『模型の世界都市』として、国内外へその魅力を発信しています。こういった地場産業は、CGと親和性が高いと思っております。
また、市中でも、㈱静岡オリコミの江﨑氏をはじめ、エンターテインメントで静岡を盛り上げようとしている方が数多くいらっしゃる。具体的な活動の一例として、企業有志の方が開催している映像クリエイティブチャレンジというコンテストもあります。
CGW:デジタルエンターテインメントの産業を盛り上げていく環境が整っている地域なんですね。企業視点で見たときに、静岡市に拠点を構えるメリットはありますか?
大池駿介氏(以下、大池):まずビジネスの観点で考えますと、人材の確保がしやすい地域です。先ほど恒川もお話しましたが、教育機関の数が多く、3DCGなどを学ぶ学生が一定数おります。
市内には、静岡デザイン専門学校、静岡産業技術専門学校、静岡大学、静岡県立大学、常葉大学などがあるほか、近隣にも静岡文化芸術大学、沼津情報・ビジネス専門学校など3DCGやゲームプログラミングのようなデジタルクリエイティブに関連する学科がいくつもあります。合計して3,000名以上の学生数を誇ります。
2025年に新設されたデジタルハリウッドSTUDIO静岡では、子育てをしている主婦などを対象にWebデザインコースを用意されていますが、今後は3DCGや映像制作もできる人材を育てたいと伺っています。市内の教育機関に通う学生のうち8割は地元静岡出身ということもあり、静岡市内で就職を希望する学生が多いことから、首都圏に比べればスタッフの確保が容易であると考えています。
CGW:クリエイター個人にとって魅力的なポイントはありますか?
大池:首都圏からのアクセスの良さが挙げられます。東京まで新幹線で1時間、車でも3時間という近さです。関東圏で開催されるイベントにも気軽に行きやすい距離ですよね。
また、駅周辺にコワーキングスペースやレンタルオフィスなども多く、フレキシブルに働きやすいです。市内にはクリエイターを支援する施設も充実していて、SHIP(shizuoka innovation platform)や静岡市文化・クリエイティブ産業振興センター(CCC)などがあります。

CGW:東京から近場で、クリエイターをサポートしてくれる環境もありということで関東からも移住しやすそうです。
大池:住環境という面で考えても、静岡は温暖な気候で冬でも市街地は雪が降らないので生活はしやすいと思います。くわえて、自転車で海にも山にも行けるほど自然が近くにある町です。またなんといっても、温泉がいたるところで沸いているので、温泉やサウナなどのリフレッシュスペースに市内から10分で行けるといった点も魅力ですね。
▲静岡市内からほど近い用宗(もちむね)にある用宗みなと温泉。目の前には海が広がる
事務所の賃借料は50%補助。豊富なデジタルクリエイティブ人材も地元就職を待ち望んでいる
CGW:働きやすく、住みやすく、リフレッシュもできる。理想的な環境ですね! 次に、企業が進出する際に静岡市さんのほうで提供されているサポートについてお伺いできますか?
恒川:まず、人材確保の支援です。具体的には進出希望企業様と、大学や専門学校のキーパーソンとのコネクションをつくる手助けをさせていただいています。学校訪問をアテンドしたり、学生との交流の機会を作り出しています。また、今後は「ワーケーション」というかたちで、実際に学校に入ってもらう予定です。
大池:企業様が入居を検討されている場合には、物件確保の支援もさせていただいています。市内の不動産会社との関係構築も進めてきましたので、デジタルでのモノづくりに必要な通信環境も考慮に入れた希望の物件のご紹介が可能です。
CGW:企業が拠点を開設する際、補助金などのサポートはありますか?
大池:企業立地促進助成制度としてデジタル関連企業の立地に関する補助金があります。令和7年度から新たに始まった施策ですが、デジタル・クリエイティブをふくむ情報通信業にかかわる企業で、市外から市内に新規に事務所を設立する事業者が対象です。
企業に対しては、事務所の賃借料の補助や、スタッフの新規雇用の際に補助金を用意しています。いずれも3年に渡って補助されます。
CGW:事務所の賃借料の補助に関しては半額の補助がでるということですが、補助額に上限がないというのは驚きです。
大池:そうですね、かなり力を入れている部分です。また、個人のクリエイターさんに対しても、東京圏からの移住者には60万円の支援金を受けられる場合があります。住宅の賃借に係る費用などが対象です。
また、お試しテレワーク制度というのもあり、静岡市内のコワーキングスペースやシェアオフィスの利用をしていただくと、該当施設の利用料や静岡までの新幹線・高速バスの移動費用に関して補助金がでるというものです。こういった制度も活用して、ぜひ静岡に立ち寄ってほしいですね。

CGW:いろいろなサポートをご用意されているんですね! 静岡市に拠点を構えられた企業さんの反応はいかがでしょう?
恒川:アニメ制作会社のシャフトさんが令和4年に静岡に支社を開設いただきました。現在はスタッフ数が20名程度まで規模拡大しておられまして、そのうち半数くらいが地元採用と伺っています。同社からは「静岡の若い方は真面目だ」というご意見を伺いました。
またゲーム企業ではテックチャオさんにスタジオを設立いただき、こちらも30名程度まで規模拡大しています。
CGW:地元採用も順調なようですが、一方で半数は移住された方ということですね?
恒川:そうですね。移住された方の中には、静岡だから来たい、というスタッフもいらっしゃったそうです。シャフトさんのほかにも静岡に拠点をもたれた企業さんが複数いらっしゃいますが、いずれも静岡の環境の良さを実感しておられます。私たちが把握している限りではありますが、進出された企業様については、人材採用には概ね困っていないようです。入社されたスタッフさんも定着する傾向にあり、事業拡大もしやすいかと思います。
CGW:最後に、静岡市さんの今後の活動の展望をお伺いしたいです。
恒川:昨年度は協力者を探して走り回った1年でした。それが形になり始めている実感があります。令和12年度時点での目標として関連企業を10社集積したいと考えているので、来年度は静岡に来てくれる企業さんを1社でも2社でも増やしたいですね。
CGW:誘致する企業の数について、10社という目標があるんですね。
恒川:どんな企業でも良いというわけではなく、地元でデジタルスキルを学んだ学生が活躍できるような企業を誘致したいと考えています。また、一方で、静岡市には一定数の人口がいますが、母数としてとても多いとは言えません。ですので、市内の企業様同士で人の取り合いにならないように、まずは地元で学ぶ学生などが働きたいと思えるような魅力的な企業を誘致し、若者を市内に留めることができる程度の企業数を確保していきたいと考えています。
また、静岡はもともと製造業や商業の街です。デジタル・クリエイティブ関連の企業を招くことで、既存の地元企業にもデジタル化の良い影響が出るような施策をとっていきたいですね。
CGW:ありがとうございました。
<地元企業の声>町の活性化の鍵は、デジタル・クリエイティブの作り手の育成にあり
ここからは静岡で人材育成や地域振興に取り組む地元企業の活動を紹介したい。
江﨑新聞店、静岡オリコミ、静活など複数の企業を手掛ける実業家、江﨑亮介氏は、今年新たな新事業として、デジタルハリウッドSTUDIO静岡を開校した。これまでデジタルとは畑違いの事業を手掛けてきた江﨑氏が、なぜ今、静岡にデジタルハリウッドを開校したのか、その真意を伺った。

株式会社静岡オリコミ
代表取締役専務
江﨑亮介氏
1909年創業の新聞販売の江崎新聞店を母体とする。映画館・ボウリング場の静活株式会社(映画館・ボウリング場)を経営するなど、幅広い分野で静岡を支えてきた。
shizuori.com
CGW:まずは江﨑さんがデジタルハリウッドSTUDIO静岡を開校された経緯についてお聞かせください。
江﨑亮介(以下、江﨑):僕はNYU(New York University)のフィルムスクールに一学期だけさせてもらっていたことがあって、そこで撮影の方法や編集の方法などを学びました。その時に、動画のスキルがあれば観る側としても作る側としても人生の幅が広がるな、面白いなと感じたんです。
グループ会社の静活株式会社が運営するARTIEという施設でも、アートとエンタテイメントの街作りというコンセプトのもとに、当初はホログラム常設シアターで今はライブハウスとして使われている「LIVLIV」という施設を設立したり、壁画をやらせていただいたり、広場でイベントをやったりなど、様々な試みを行なってきました。

江﨑:静岡から若者が流出していく原因のひとつには遊ぶところが少ないという理由もあるのかなと思い、アートやエンタメで盛り上がるエリアを静岡に作れたらという気持ちが生まれました。ただ、ハコは作れたんですが、そこで流すコンテンツを作れるかというとそれは全然別の仕事なので、コンテンツを作れるようにしないといけないと感じました。
また、私が経営するうちの一社の静岡オリコミという新聞広告の会社が、昨今の新聞の部数減少に伴って、もう折り込み広告だけではやっていけないな、という状況になったんです。そのために、新たな新規事業を色々と立ち上げていたのですが、そのうちの本丸として、デジタル関係の事業に取り組まなければいけないなと考えたんです。
そこで、企業戦略としての新たなデジタル事業の取り組みとして、さらにはこの地域のアート・エンターテインメントを活性化させるためのコンテンツを作れる人材育成のために、デジタルハリウッドを開校するという結論に至りました。また、その事業について静岡市さんと連携して取り組ませていただいているのは、やはりエンターテインメント、アート、デジタルの人材の集積を、私が生まれ育った七間町を中心にできるといいなという思いがあってのことです。
CGW:コンテンツの作り手やデジタルの担い手が静岡にいないなら、人から育てようということですね。でも、いきなり学校を作るというのは大胆な試みですね。
江﨑:中途の人材を採ったとしても、その上司がデジタルについてわからないとうまくいかなかったりするので、やはり会社の文化ごと変えてしまわないといけないなと感じていたんです。であれば、人材育成事業を起ち上げるべきだと考えました。
またデジタルハリウッドSTUDIO静岡が入るこのビルも、コロナウイルスが流行った影響でテナントがいくつか出ていってしまったので、むしろそれを好機ととらえて、このビルがデジタルエンターテインメントの集積場になればいいなと思っています。5階にシェアオフィスもできますし、障害のある方々がデジタル関連のクリエイティブに関われるB型就労支援施設 UNIBO静岡という施設も作ろうとしています。このビルがクリエイター同士、それに学生さんも交えて交流できる場になればいいですね。

CGW:デジタルハリウッドSTUDIO静岡は現在、どのようなカリキュラムで運営されているのでしょうか?
江﨑:現在開講しているのは、動画制作コースとWeb制作コースです。これは他の地方でのデジタルハリウッドの展開を参考にさせていただきました。やはり、その2つが最も需要があるようです。特にWeb制作に関しては、子育てをしながらフリーランスとして働きたいママさんたちの需要が高いようです。それから、いずれはCGコースの開講も考えています。
CGW:受講生はどういった属性の方が多いのでしょうか?
江﨑:たとえば、自社のECサイトを構築したい経営者の方、転職のためにデジタルの技術を身に付けたいという方、それから子育てを始めたが仕事もしたいというような方など、新たなスキルを身に付けたい社会人の方が多いですね。今のところ学生さんはいないんですが、ここのスクールに入っておくと、就職にも有利だと思いますので、ぜひこれから来ていただきたいですね。
CGW:今後の目標があれば教えてください。
江﨑:先ほども言いましたが、CGコースを開講し、いずれはUnityを使える人材を育てて、ARTIEを使って色々とイベントなどができることを目指したいですね。アプリ開発ができる人とCGができる人がいると、この街のためにイベントを作ることができるので。
CGW:現在、我々と静岡市さんとで色々な企業を静岡市へ誘致したいというお話をさせていただいているんですが、静岡へ移転を検討している企業に対して、何かコメントがあればお願いします。
江﨑:街をどう発展させるかというところが、僕らの大テーマなんです。もちろん子育てをしやすい街にするだとか、福祉を充実させるだとか、そういうところも大事なんですが、やはり若者が東京へ出て行ってしまう理由の一つは、遊びがないというところが大きいということが実感としてあります。なので静岡にクリエイターが集積することで、街作りが変わっていけば、すごく面白いなと思います。
CGW:ありがとうございました。
<地元企業の声>地元愛が突き動かす、クリエイティブの町づくり
続いて、「OMACHI創造計画」や「駿府の工房 匠宿」など、静岡に密着した地域開発を手掛ける創造舎の山梨洋靖氏に、静岡の魅力や地域開発の実態、そして熱い静岡愛を伺った。

株式会社創造舎
代表取締役
山梨洋靖氏
2007年に設立した建築設計・施工会社。デベロッパ-事業や、宿泊施設の運営を通じて地元静岡の地域活性化に取り組む。
sozosya.co.jp
CGW:創造舎さんは静岡に密着した建築設計・コンサル事業を手掛けられているそうですね。
山梨洋靖(以下、山梨):はい、僕らは静岡にコミットした会社なので、静岡市に人と匠が宿る場を作り、情熱を持つ人を集めるということをミッションに掲げています。地元に密着して、ここでしか商圏を広げないという働き方をやっていこうと考えています。
CGW:もともとこの地域に思い入れはあったのでしょうか?
山梨:現在弊社が入るビルが空きビルとして売りに出ていたところに引っ越したので、たまたまここが働いて住む拠点になったというだけですね。親がどうとか縁故関係があったわけじゃなく、ただ建物に出会ったというだけの始まりでした。隣接する商店街にも何もなかったし、もっと言うと静岡市は何もない場所で、こんな何もない街はないと言っているくらい(笑)。目の前の通りにも昔は映画館があったらしいんですけど、ちょうど引っ越した時になくなっちゃってて。
ただ、何もないけどあったかい街で、引っ越してからイベントなんかをやったり、スーパーを誘致したりしてるうちに、地元の人と仲良くなったんです。それでラーメンの出前のおやじさんに「うちの裏にビルがあるから買わないか」と言われて、実際に購入したんですね。そしてそのビルをリノベーションすることになって、コワーキングスペースや立ち飲み居酒屋などを作ったんです。ただ、作ったのは良かったんですが話題性に欠けたので「OMACHI創造計画」というのをやってみようということになりました。
CGW:OMACHIというのは?
山梨:静岡市って昔から、中心市街地のことを「お町」と言ったらしいんです。なので、かつて活気があった頃の名前にあやかろうと思って付けました。
CGW:「OMACHI創造計画」は具体的にはどのようなプロセスだったのでしょうか?
山梨:通りの両サイドを開発するという計画で、10店舗くらいを同時に誘致していきました。飲食店のオーナーって互いに口を利かないなんてことがしょっちゅうなので、まずそれを紹介し合っていったりすることから関わりました。建物もリノベーションだけでなく、新築についてもうちが土地を買って、建物を建てて貸して、管理をするというところまで全部やっています。

CGW:東京では大手のデベロッパーでないとできないようなことを、個人でやっておられるんですね。
山梨:そういう経緯で、2011年に引っ越してきてから、地域イベントを3~4年やって、2016年から本腰をいれていきました。それから2021年には創造舎が指定管理者となって「駿府匠宿」を「駿府の工房 匠宿」としてリニューアルしたり、ホテルも作ったりなど、町と村を同時並行で開発するということをやってきました。
CGW:匠宿というのは、工芸と歴史の体験施設と聞いています。
山梨:これまでずっと市が22年間運営してきたんですが、匠宿卒の職人というのはゼロだったんです。その間、跡継ぎがなくて途絶えていった工芸品がいくつもあったので、ここから先の百年計画として、新卒の子を入れていって、陶芸家や染織家を育てていく計画を進めています。

CGW:それはすばらしい取り組みですね! 匠宿については、創造舎が指定管理者になっているそうですね。
山梨:はい、市から指定管理料というお金が出て、それで施設を運営するという制度なんですが、そのお金はこちらがどうとでも使えるんですよ。なので我々は、その職人たちに指定管理料が流れるようにしています。
また、匠宿だけでは限界があるので、エリア全体を工芸村にしようという構想のもと、宿を作ったり、駄菓子屋を作ったり、お風呂を作ったり、ご飯処を作ったり、茶屋を作ったりと、色んなものを誘致しています。結果として、市の立てたノルマが来場者10万人だったんですが、今18万人まで増えてきています。ただ、これは数字だけを追っていたら達成できていないでしょうね。どうやって工芸に集中してもらえるか、どうやって楽しいことをしてもらえるかを考えていった結果、勝手に付いてきたものだと思います。
CGW:最後に改めて、静岡という土地への思いを聞かせてください。山梨さんはなぜ静岡という土地にこだわるのでしょうか?
山梨:静岡は僕が生まれ育った土地で、地元を好きなことにそれ以外の理由が要るのかなと。日本のみんなが、自分の地元を好きになるといいと思います。僕は自信を持って、自分の生まれ育った静岡について全国に発信していきますし、静岡以外の土地でも「僕、静岡出身なんですよ」と誇りを持って言ってくれる人が増えたらいいなと思いながら、日々活動を続けています。
CGW:ありがとうございました。
TEXT_オムライス 駆
PHOTO_大沼洋平
INTERVIEW_池田大樹(CGWORLD)