Erindale Woodford氏は11月21日(金)、Blenderのジオメトリノードによる中世の儀礼用甲冑のメイキング動画同氏YouTubeチャンネルで公開した。プロジェクトの.blendファイルは同氏Patreonで無償提供されている。

▲配布されている.blendファイルを開いたところ
▲トップ階層のジオメトリノード(一部)

甲冑の滑らかな曲面の作成には、Woodford氏が自作したノードグループ「Bi-rail Loft Tool」を用いている。2本のガイドレールの間に断面形状を走らせて面を生成する、CADソフトに見られるような機能。通常のBlenderの機能である「カーブのメッシュ化(Curve to Mesh)」では断面のサイズが均一になりがちなところ、「Bi-rail Loft Tool」ではレールの間隔に応じて断面が伸縮するため、身体のラインに吸い付くような有機的なフィット感を実現できる。

▲Woodford氏作成のノードグループ「Bi-rail Loft」。2本のRail Curve(曲線)の間にProfile Curves(断面形状)を配置し、Railに沿ってスライドさせることで面を生成する

甲冑表面を覆う金銀線細工のような装飾は、ノイズフィールドを用いて頂点を押し出し、有機的なねじれやながれを生み出すテクニックが用いられている。単にカーブに沿ってオブジェクトを配置するのではなく、直線の状態で作成したメッシュを、カーブの接線(Tangent)と法線(Normal)に基づいて外積計算された座標空間へと変形させている。これにより、複雑にうねる装飾であっても、メッシュが破綻することなくガイドカーブへ滑らかに追従できる。

▲金銀線細工のような装飾

無数にある宝石のブローチもプロシージャルに生成。ICO球を変形して花や葉のような有機的な形状をつくり出し、そのオブジェクトの空間座標を0〜1の範囲内に正規化、そしてターゲットとなるメッシュのUV座標と照合することでテクスチャのように吸着させている。

▲肩部分の宝石のブローチ

仕上げ段階では情報量を増やすため、ランダムにパネルを持ち上げたり、エッジを抽出してパイピング処理を施したりしている。また、肩パーツの内部を埋める詰め物(Blocker)表現にはSDFブーリアンを用いている。複数のICO球からメッシュのSDFグリッド化(Mesh to SDF Grid)、SDFグリッドブーリアン(SDF Grid Boolean)、SDFグリッドフィレ(SDF Grid Fillet)の順にノードを接続し、滑らかに結合した、有機的で塊感のあるベース形状をつくっている。

▲ランダムなパネルの持ち上げ

▲SDF関連ノードを用いて球体から滑らかな詰め物オブジェクトを作成

■Nodevember Day 8 - Bejewelled(Patreon)
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